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833. 城内侵入1
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「まったく何故、こんな目に。疲れるだけでござる」
約一名、ぶつくさと言っていたが、
マリアンヌに一睨みされると、大仰にため息をついて
後に続いた。
「アル、何か勝算でもあるのか?
城壁が閉じられていたら、潜入するは厄介だぞ」
「大丈夫よ。あれだけ後方で陽動を仕掛けてきた上に
本隊からの伝令、遠くに聞える戦場からの声。
多分、城門を開けて、ジェミロ・ジェルミラは
軍を繰り出しているわ」
シエンナが横から口を挟んできた。
それに誠一が補足を加えた。
「多分、ここまで大した抵抗もしなかったのは、
ここまで誘い込むのと、兵力を集中。
そして、こちらの疲労の蓄積、油断を
誘うためだったんだろうね」
ごくりと唾を飲みこむヴェルであった。
ヴェルには思いもつかない様な壮大な戦術であった。
「だけどよう、兵があの練度じゃ。
どうにもならないだろ」
「上位魔人が参戦したところをみると、
闇の勢力圏と大森林を経由して、ダンブルから
それ相応の軍が派兵されているとみるべきだろう。
だから、ジェミロ・ジェルミラもこの策に
乗ったんだろうね」
誠一たちに映る戦場は、王国軍の先鋒隊が崩壊して、
無秩序に撤退しているところであった。
遠目にも分かる全身を鎧に包んだ少数の兵団が
その場に留まることなく前進していた。
その後方へ様々な旗幟を掲げた軍が
殺し合いを避ける様にのろのろと続いていた。
最前線の戦況を見つめた誠一は城門の方へ目を向けた。
正門は開門されたままになっていた。
「さすがに城門を閉めてないようね。
しかし、不用心なことこの上ないわね」
キャロリーヌがさてどうしようと小首を傾げた。
「閉めるも吉、閉じるも吉ってところよね。
どちらも一長一短ある気がするけど。
今回は、ジェミロ・ジェルミラのこの一戦に示す覚悟を
示したってことね」
シエンナが軍師さながらの態で評した。
「それは本人が出陣すれば、
いいことのような気がするけどね。
あのジェイコブの従弟じゃ。無理か。
どうにも中途半端だけど、
余程、あの先陣の重兵の力に自信があるのかしら」
胡散臭げな視線を敵軍の重兵に送るサリナだった。
「あのような異常な状態が長く続く訳ないだろう。
今の攻撃を受けきれば、終いだ」
普段と何ら変わることなく語るマリアンヌであった。
「おっし!そういうことならば、突撃だー。
見た目、城門の守備兵も大したこと無さそうだしな」
「賛成なのです。堂々と正門から突撃なのです」
ヴェルが声高らかにとんでもないことを吠えると、
それに拍車をかける様にアミラがその案を後押しした。
約一名、ぶつくさと言っていたが、
マリアンヌに一睨みされると、大仰にため息をついて
後に続いた。
「アル、何か勝算でもあるのか?
城壁が閉じられていたら、潜入するは厄介だぞ」
「大丈夫よ。あれだけ後方で陽動を仕掛けてきた上に
本隊からの伝令、遠くに聞える戦場からの声。
多分、城門を開けて、ジェミロ・ジェルミラは
軍を繰り出しているわ」
シエンナが横から口を挟んできた。
それに誠一が補足を加えた。
「多分、ここまで大した抵抗もしなかったのは、
ここまで誘い込むのと、兵力を集中。
そして、こちらの疲労の蓄積、油断を
誘うためだったんだろうね」
ごくりと唾を飲みこむヴェルであった。
ヴェルには思いもつかない様な壮大な戦術であった。
「だけどよう、兵があの練度じゃ。
どうにもならないだろ」
「上位魔人が参戦したところをみると、
闇の勢力圏と大森林を経由して、ダンブルから
それ相応の軍が派兵されているとみるべきだろう。
だから、ジェミロ・ジェルミラもこの策に
乗ったんだろうね」
誠一たちに映る戦場は、王国軍の先鋒隊が崩壊して、
無秩序に撤退しているところであった。
遠目にも分かる全身を鎧に包んだ少数の兵団が
その場に留まることなく前進していた。
その後方へ様々な旗幟を掲げた軍が
殺し合いを避ける様にのろのろと続いていた。
最前線の戦況を見つめた誠一は城門の方へ目を向けた。
正門は開門されたままになっていた。
「さすがに城門を閉めてないようね。
しかし、不用心なことこの上ないわね」
キャロリーヌがさてどうしようと小首を傾げた。
「閉めるも吉、閉じるも吉ってところよね。
どちらも一長一短ある気がするけど。
今回は、ジェミロ・ジェルミラのこの一戦に示す覚悟を
示したってことね」
シエンナが軍師さながらの態で評した。
「それは本人が出陣すれば、
いいことのような気がするけどね。
あのジェイコブの従弟じゃ。無理か。
どうにも中途半端だけど、
余程、あの先陣の重兵の力に自信があるのかしら」
胡散臭げな視線を敵軍の重兵に送るサリナだった。
「あのような異常な状態が長く続く訳ないだろう。
今の攻撃を受けきれば、終いだ」
普段と何ら変わることなく語るマリアンヌであった。
「おっし!そういうことならば、突撃だー。
見た目、城門の守備兵も大したこと無さそうだしな」
「賛成なのです。堂々と正門から突撃なのです」
ヴェルが声高らかにとんでもないことを吠えると、
それに拍車をかける様にアミラがその案を後押しした。
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