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843.城内侵入11
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この程度で人の心を思うままに操れると思うなよ。
誠一は心の中で書に向かって言い放った。
本からの強制力は更に強くなったが、誠一は動じることがなかった。
『この程度の力、千晴の鬼畜な囁きに比べれば何てことも無い』
「燃やせ、炎の礫。ファイアボール」
誠一の放った炎は禁書を燃やし、屍体を燃やした。
炎をじっと見つめる誠一はディプレの死に
何の感傷も湧かなかった。当然の死に様だと思った。
誠一は、燃え尽きる直前に禁書から
断末魔の様な声が聞えたような気がした。
「みみっ見つけた、見つけたよーひゃっほー」
シエンナがめずらしく本を掲げて、
歓声を上げながら小躍りしていた。
その場違いなはしゃぎ声で誠一は
ぼんやりとしていた気持ちが引き戻された。
大はしゃぎするシエンナを誠一は窘めた。
「シエンナ、静かに。ここは敵城の真っ只中だ」
「はっ、確かに。私としたことが
ついつい昂る感情を押さえられずに
ごめんなさい」
誠一はつい笑ってしまった。
どんだけ本がすきなのだろうか
誠一には想像もつかなかった。
「城が陥落したら、褒美にここの稀覯書を
貰えるように話してみようか」
「アル!それ、ナイスな案ね。
俄然やる気が出てきたわ。
さっさと警備兵どもを叩きのめして、
ジェミロをとっ捕まえましょう」
シエンナはサリナ達が戦っている方へ走り出した。
誠一が仲間に合流した時、
既に警備兵は倒された後であった。
「さてと目的の本も入手が出来たし、どうすべきか」
ここは思案のしどころであった。
城内の何処かに戦が終わるまで潜んでやり過ごすか、
それとも何気ない態を装って、城外に脱出すべきか
誠一は頭を悩ませた。
「こうなったらこのまま最上階に
籠っているジェミロを討つか」
ヴェルをキラキラした瞳で見つめる少女が一名。
他は、ヴェルの案を完全にスルーした。
「最悪の想像を働かせると、王国軍が負けて
撤退もしくは戦術的に後退した時よね」
「おいおい、シエンナそれは違うぞ。
最悪なのは見つかったときだろ」
はぁとシエンナがため息をついた。
「そうなったら、最悪も何もかも終わりよ。
ダンブルに降っても拷問の上、殺されるでしょ。
既に一度、仕えた振りして、騙しているし。
だからそうなったら、力尽きるまで戦うしか
選択肢はないわ」
誰もシエンナに反論しなかった。
如何に強くとも圧倒的な数の暴力に
抗しえないことを理解していた。
無限の体力と集中力など夢物語であることは
自明の理であった。
「状況が落ち着くまでどこで潜伏してやり過ごすかが
重要なポイントになるけど、何か良い案はない?」
誠一には良案が浮かばず、メンバーに意見を求めた。
誠一は、何でもかんでも気負って
自分で背負い込まなくなった。
誠一は心の中で書に向かって言い放った。
本からの強制力は更に強くなったが、誠一は動じることがなかった。
『この程度の力、千晴の鬼畜な囁きに比べれば何てことも無い』
「燃やせ、炎の礫。ファイアボール」
誠一の放った炎は禁書を燃やし、屍体を燃やした。
炎をじっと見つめる誠一はディプレの死に
何の感傷も湧かなかった。当然の死に様だと思った。
誠一は、燃え尽きる直前に禁書から
断末魔の様な声が聞えたような気がした。
「みみっ見つけた、見つけたよーひゃっほー」
シエンナがめずらしく本を掲げて、
歓声を上げながら小躍りしていた。
その場違いなはしゃぎ声で誠一は
ぼんやりとしていた気持ちが引き戻された。
大はしゃぎするシエンナを誠一は窘めた。
「シエンナ、静かに。ここは敵城の真っ只中だ」
「はっ、確かに。私としたことが
ついつい昂る感情を押さえられずに
ごめんなさい」
誠一はつい笑ってしまった。
どんだけ本がすきなのだろうか
誠一には想像もつかなかった。
「城が陥落したら、褒美にここの稀覯書を
貰えるように話してみようか」
「アル!それ、ナイスな案ね。
俄然やる気が出てきたわ。
さっさと警備兵どもを叩きのめして、
ジェミロをとっ捕まえましょう」
シエンナはサリナ達が戦っている方へ走り出した。
誠一が仲間に合流した時、
既に警備兵は倒された後であった。
「さてと目的の本も入手が出来たし、どうすべきか」
ここは思案のしどころであった。
城内の何処かに戦が終わるまで潜んでやり過ごすか、
それとも何気ない態を装って、城外に脱出すべきか
誠一は頭を悩ませた。
「こうなったらこのまま最上階に
籠っているジェミロを討つか」
ヴェルをキラキラした瞳で見つめる少女が一名。
他は、ヴェルの案を完全にスルーした。
「最悪の想像を働かせると、王国軍が負けて
撤退もしくは戦術的に後退した時よね」
「おいおい、シエンナそれは違うぞ。
最悪なのは見つかったときだろ」
はぁとシエンナがため息をついた。
「そうなったら、最悪も何もかも終わりよ。
ダンブルに降っても拷問の上、殺されるでしょ。
既に一度、仕えた振りして、騙しているし。
だからそうなったら、力尽きるまで戦うしか
選択肢はないわ」
誰もシエンナに反論しなかった。
如何に強くとも圧倒的な数の暴力に
抗しえないことを理解していた。
無限の体力と集中力など夢物語であることは
自明の理であった。
「状況が落ち着くまでどこで潜伏してやり過ごすかが
重要なポイントになるけど、何か良い案はない?」
誠一には良案が浮かばず、メンバーに意見を求めた。
誠一は、何でもかんでも気負って
自分で背負い込まなくなった。
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