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飼い主人外(宇宙人)×ニンゲンくん
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人外×ペットにされてしまった人間くん
あらすじ的な設定:
彼女とのデート中、付き添いで立ち寄ったペットショップで”ニンゲン”という非常に珍しい生き物と遭遇した人外くん(攻め)。
縁あって彼の飼い主になるのだが…?
========================
「わぁニンゲンだわ、珍しい!」
彼女は「この子かわいいなぁ♡♡」と、ニンゲン(♂)と書かれた生き物に心を奪われたのか、興味津々でガラスにべったり張り付いていた。
(いやいや、かわいい生き物は他にもいるだろうよ)
ゲージに入れられたニンゲンは小さな体に、黒曜星のような真っ黒な二つの瞳。確かに庇護欲を誘う見た目をしているが、ニンゲンの世話はかなり大変で、慣れるまで根気がいると噂に聞く。
さらに飼ってしまうと結婚できなくなるペットナンバーワンの座を惑星***** ――チキュウと呼ばれる惑星を見つけてから数十年間、ずっと維持し続けている。
「………」
ただ、じっとこちらを怯えるように見つめてくるニンゲンを「可愛くない」とは言えず、仕方なく恋人に話を合わせることにしたのだが…。
「飼いたい~!!」
「は?…いや、かなり手がかかる生き物だぞ?ちゃんと面倒みれるのか?」
「ひっどーい!ちゃんと世話するもん!」
【ね、お願い♡買って?♡】と恋人の可愛いおねだりに、(本当か??)と半信半疑だった。
しかしニンゲンは非常に賢いとも聞く。出来たばかりの恋人に悪い虫がつかないよう番犬くらいにはなるかもしれない。
♀は倍以上の金額がするし、高額とはいえ「セール中」と書かれた♂なら…と結局せがまれるまま財布を開いた人外であった。
彼女は上機嫌だった。毎日送られてくるメールや彼女のSNSには、「今日のうちの子♡」と檻に入ったニンゲンの写真だ。高い買い物だったが、まぁちゃんと世話をしているならいいかと思っていた
しかし、突然、人外の元を警察が訪ねてきた。
恋人だったはずの彼女が、結婚詐欺の罪で捕まったので署まで来て欲しいとのことだった。
(あーーー、クッソッッあの女っ…!!)
”しばらく繁忙期で会えない、寂しいわ”、などと思わせぶりなメールばかりで会う回数は減っていた。
しかしまさか結婚詐欺とは――――――――…。
夕方までどっぷり話を聞かされ疲れきったどころか、せっかくの休みも潰されてしまった。けれど何より信じていた恋人に裏切られていたことに怒り心頭だった。
(……そういえば、あのペットはどうなった?)
ふと冬のボーナスを叩いて買ってやった、若いニンゲンのことを思い出した。
* *
「あぁ、そのニンゲンならこちらで保護してますよ」
(ん?保護施設ではなく病院なのか?)
それでも一応と…ニンゲン専門の病院に様子を見にいった人外は、その変貌に驚いた。
意識のないニンゲンの彼はベッドに寝かされ、腕には細い透明なチューブと口には酸素を送る機械。頬は痩せこけてくぼんでしまっていた。
「かわいそうに、長い間飼育放棄されていたようですね」
「……」
ニンゲンは飼い主に忠順でとても懐く、また知能が高い…と言われているが実際は繊細で環境へのストレスに大変弱く、扱いづらいのだ。
そして、この個体は彼女を主人と認めなかった。
「彼女にとってはブランドバッグと同じですよ。可愛いペットの写真を撮るだけで飼い主としては…」
あまりにも無責任だ。彼は狭い檻に入れたままで、女も世話を疎かにしていたらしい。
さらに逮捕される数日間は家に帰らないで逃げ回っていたのだ。そんなの、ニンゲンでなくとも衰弱するに決まっている。
いくら珍しいニンゲンでも次の引き取り先が決まらない以上、最低限の治療しかできない。と専門医が語った。
「コレを飼う金を払ったのは俺だ」
こうしてニンゲンの引き取り手になることを決めた人外。
ニンゲンは手厚い治療を受けれることになり、一命は取り留めた。そして新しい飼い主の元へ行くも……ぎゃあぎゃあと喚く、人外が手を差し出せばパニックに陥り噛み付く始末だった。
(これは確かに檻が必要だ…)
彼女が与えていたというニンゲン用ペットフードも全然食べない。また痩せ始めたし精神も不安定ときた。これではせっかく退院したというのにすぐに病院に逆戻りになってしまう。
(どうしたもんか…)
お手上げ状態だ。はぁーーと職場で盛大なため息をつけば、「何かあったのか??」と実家でニンゲンを飼っていたという同僚に話しかけられた。
「んー、それって食の好みが合ってないんじゃね??」
さらにニンゲンは冷たすぎても熱すぎても食べられないらしく、抱きしめる時の力加減やタイミングも大事。体もだが心も超繊細だから、飼い主がとにかく甘やかして世話をしなきゃ生きていけない生き物なんだと饒舌に語られた。
ふむ。思っていた以上に面倒くさい。
「……頼む、お前が引き取ってくれ」
「ダメダメ!うちにはもうかわいいのがいるから。その子も飼ってやりたいけど二匹以上の飼育は法律で禁止されてんだぞ」
―――こうしてオススメのサイトやグッズを布教されまくり、そのいくつかを渋々ながらも実践してみた。
「…!」
食事に見向きもしなかったニンゲンが、すんすんと鼻を動かしておそるおそる口に含んだ!
そしてパァッと目を明るくしてまさかの完食、だったが…
「うっ、うぇっ…」
「!?」
痩せた胃に固形物は重たかった。おかわりを喜んで食べていたニンゲンが吐いてしまった。
同僚が言った通り、ニンゲンはか弱かった。か弱すぎた。
「大丈夫か?ほら、無理するな……っ」
そっと優しく抱き起した体は薄く、すぐ骨の感覚を感じた。けれどそれ以上に感じたニンゲンの温もり、「ごめんなさい」と言ってるかのようにポロポロと落とす透明の涙。
全身を振るわせながら自分に縋り付くように細い鳴声をあげていた。
(なるほど、これが……噂の保護欲ってやつか)
それからしばらくはスープに煮溶かした白い穀物を与えた。同じ味に飽きないよう少し味を変えると尚いいとアドバイスされたのでやってみた。
他にも試行錯誤を重ねながら世話をしていくうちにどんどんニンゲンにハマってしまった。
「お、今日も定時か?」
仕事の鬼と呼ばれていたはずなのに気がつけば時計の針を眺めてしまう。
ニンゲンを飼うと恋人ができなくなる、と聞いたことがあるが……
「あぁ。先に失礼する、お疲れ様」
「はは。そうか、お疲れさん」
「ねぇ、なんか最近の先輩…めっちゃ表情柔らかくなりましたよね?やっぱ彼女効果ですかね?」
「それよりもずっとかわいいのがいんだろーよ」
ニンゲンも少しずつ慣れてくれたのか元気になり、帰ってきた人外を見ても以前のようにパニックになったり喚き叫ぶことはなくなった。それどころか解錠の音がすれば玄関まで出迎えにくるようになっていた。
「ただいま」
「gamwt#!」
ニンゲンを抱き上げて満面の笑顔を見せる人外攻めと
宇宙人の中にもいいヤツがいるんだなぁと感動してる、宇宙船に攫われた日本男子。
――――――――――――――――――――――――
あとがき
ちなみにニンゲンは晩年発情期のため、雄雌問わず性処理が必須である。攻めは全然乗り気じゃなかったのに半年後には「そろそろか!?」なんて、書き込みにあるような仕草を待つのだけれど… 受けくんにそんな気持ちは微塵もないのですれ違ってたらいいね
あらすじ的な設定:
彼女とのデート中、付き添いで立ち寄ったペットショップで”ニンゲン”という非常に珍しい生き物と遭遇した人外くん(攻め)。
縁あって彼の飼い主になるのだが…?
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「わぁニンゲンだわ、珍しい!」
彼女は「この子かわいいなぁ♡♡」と、ニンゲン(♂)と書かれた生き物に心を奪われたのか、興味津々でガラスにべったり張り付いていた。
(いやいや、かわいい生き物は他にもいるだろうよ)
ゲージに入れられたニンゲンは小さな体に、黒曜星のような真っ黒な二つの瞳。確かに庇護欲を誘う見た目をしているが、ニンゲンの世話はかなり大変で、慣れるまで根気がいると噂に聞く。
さらに飼ってしまうと結婚できなくなるペットナンバーワンの座を惑星***** ――チキュウと呼ばれる惑星を見つけてから数十年間、ずっと維持し続けている。
「………」
ただ、じっとこちらを怯えるように見つめてくるニンゲンを「可愛くない」とは言えず、仕方なく恋人に話を合わせることにしたのだが…。
「飼いたい~!!」
「は?…いや、かなり手がかかる生き物だぞ?ちゃんと面倒みれるのか?」
「ひっどーい!ちゃんと世話するもん!」
【ね、お願い♡買って?♡】と恋人の可愛いおねだりに、(本当か??)と半信半疑だった。
しかしニンゲンは非常に賢いとも聞く。出来たばかりの恋人に悪い虫がつかないよう番犬くらいにはなるかもしれない。
♀は倍以上の金額がするし、高額とはいえ「セール中」と書かれた♂なら…と結局せがまれるまま財布を開いた人外であった。
彼女は上機嫌だった。毎日送られてくるメールや彼女のSNSには、「今日のうちの子♡」と檻に入ったニンゲンの写真だ。高い買い物だったが、まぁちゃんと世話をしているならいいかと思っていた
しかし、突然、人外の元を警察が訪ねてきた。
恋人だったはずの彼女が、結婚詐欺の罪で捕まったので署まで来て欲しいとのことだった。
(あーーー、クッソッッあの女っ…!!)
”しばらく繁忙期で会えない、寂しいわ”、などと思わせぶりなメールばかりで会う回数は減っていた。
しかしまさか結婚詐欺とは――――――――…。
夕方までどっぷり話を聞かされ疲れきったどころか、せっかくの休みも潰されてしまった。けれど何より信じていた恋人に裏切られていたことに怒り心頭だった。
(……そういえば、あのペットはどうなった?)
ふと冬のボーナスを叩いて買ってやった、若いニンゲンのことを思い出した。
* *
「あぁ、そのニンゲンならこちらで保護してますよ」
(ん?保護施設ではなく病院なのか?)
それでも一応と…ニンゲン専門の病院に様子を見にいった人外は、その変貌に驚いた。
意識のないニンゲンの彼はベッドに寝かされ、腕には細い透明なチューブと口には酸素を送る機械。頬は痩せこけてくぼんでしまっていた。
「かわいそうに、長い間飼育放棄されていたようですね」
「……」
ニンゲンは飼い主に忠順でとても懐く、また知能が高い…と言われているが実際は繊細で環境へのストレスに大変弱く、扱いづらいのだ。
そして、この個体は彼女を主人と認めなかった。
「彼女にとってはブランドバッグと同じですよ。可愛いペットの写真を撮るだけで飼い主としては…」
あまりにも無責任だ。彼は狭い檻に入れたままで、女も世話を疎かにしていたらしい。
さらに逮捕される数日間は家に帰らないで逃げ回っていたのだ。そんなの、ニンゲンでなくとも衰弱するに決まっている。
いくら珍しいニンゲンでも次の引き取り先が決まらない以上、最低限の治療しかできない。と専門医が語った。
「コレを飼う金を払ったのは俺だ」
こうしてニンゲンの引き取り手になることを決めた人外。
ニンゲンは手厚い治療を受けれることになり、一命は取り留めた。そして新しい飼い主の元へ行くも……ぎゃあぎゃあと喚く、人外が手を差し出せばパニックに陥り噛み付く始末だった。
(これは確かに檻が必要だ…)
彼女が与えていたというニンゲン用ペットフードも全然食べない。また痩せ始めたし精神も不安定ときた。これではせっかく退院したというのにすぐに病院に逆戻りになってしまう。
(どうしたもんか…)
お手上げ状態だ。はぁーーと職場で盛大なため息をつけば、「何かあったのか??」と実家でニンゲンを飼っていたという同僚に話しかけられた。
「んー、それって食の好みが合ってないんじゃね??」
さらにニンゲンは冷たすぎても熱すぎても食べられないらしく、抱きしめる時の力加減やタイミングも大事。体もだが心も超繊細だから、飼い主がとにかく甘やかして世話をしなきゃ生きていけない生き物なんだと饒舌に語られた。
ふむ。思っていた以上に面倒くさい。
「……頼む、お前が引き取ってくれ」
「ダメダメ!うちにはもうかわいいのがいるから。その子も飼ってやりたいけど二匹以上の飼育は法律で禁止されてんだぞ」
―――こうしてオススメのサイトやグッズを布教されまくり、そのいくつかを渋々ながらも実践してみた。
「…!」
食事に見向きもしなかったニンゲンが、すんすんと鼻を動かしておそるおそる口に含んだ!
そしてパァッと目を明るくしてまさかの完食、だったが…
「うっ、うぇっ…」
「!?」
痩せた胃に固形物は重たかった。おかわりを喜んで食べていたニンゲンが吐いてしまった。
同僚が言った通り、ニンゲンはか弱かった。か弱すぎた。
「大丈夫か?ほら、無理するな……っ」
そっと優しく抱き起した体は薄く、すぐ骨の感覚を感じた。けれどそれ以上に感じたニンゲンの温もり、「ごめんなさい」と言ってるかのようにポロポロと落とす透明の涙。
全身を振るわせながら自分に縋り付くように細い鳴声をあげていた。
(なるほど、これが……噂の保護欲ってやつか)
それからしばらくはスープに煮溶かした白い穀物を与えた。同じ味に飽きないよう少し味を変えると尚いいとアドバイスされたのでやってみた。
他にも試行錯誤を重ねながら世話をしていくうちにどんどんニンゲンにハマってしまった。
「お、今日も定時か?」
仕事の鬼と呼ばれていたはずなのに気がつけば時計の針を眺めてしまう。
ニンゲンを飼うと恋人ができなくなる、と聞いたことがあるが……
「あぁ。先に失礼する、お疲れ様」
「はは。そうか、お疲れさん」
「ねぇ、なんか最近の先輩…めっちゃ表情柔らかくなりましたよね?やっぱ彼女効果ですかね?」
「それよりもずっとかわいいのがいんだろーよ」
ニンゲンも少しずつ慣れてくれたのか元気になり、帰ってきた人外を見ても以前のようにパニックになったり喚き叫ぶことはなくなった。それどころか解錠の音がすれば玄関まで出迎えにくるようになっていた。
「ただいま」
「gamwt#!」
ニンゲンを抱き上げて満面の笑顔を見せる人外攻めと
宇宙人の中にもいいヤツがいるんだなぁと感動してる、宇宙船に攫われた日本男子。
――――――――――――――――――――――――
あとがき
ちなみにニンゲンは晩年発情期のため、雄雌問わず性処理が必須である。攻めは全然乗り気じゃなかったのに半年後には「そろそろか!?」なんて、書き込みにあるような仕草を待つのだけれど… 受けくんにそんな気持ちは微塵もないのですれ違ってたらいいね
応援ありがとうございます!
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