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逃げたいの番外編〜
番外編 vs嫉妬②
新野さんが嫉妬する話ですが
唯君は完全なとばっちりで可哀想です
――――――――――――――――――――
寒くなってきた夜の定番と言えば、鍋だ!
―――ということで具材を求めて俺は一人、近所のスーパーに買い出しに来ていた。
白菜にキノコ、豆腐。
あとは牛肉じゃなくて――豚と鶏肉をメインにしての節約っと…。
(あとは、かさ増し用のもやしと、麺はうんどんでいいかな)
どちらもたくさん食べてくれる先生には必要だ。
カートを野菜売り場に戻そうとしたとき、正面からどこかスーパーには似合わない、一目で人を惹きつけるオーラを身に纏う存在がカッカッと俺に近づいてきた。
「こんにちは」
「あ…、こんにちは」
彼女は、同じマンションに住む女性だった。
年は先生と同じか近いくらいだろう。たまに見かけるスーツ姿よりラフそうな恰好なのに彼女の雰囲気のせいか、ここがデパートの食品売り場に見える。
「今日はお連れの方は一緒じゃないのね」
「え、あっ…はい。仕事中なので俺一人です」
「そうなの偉いわね」
偉いと言われても、本当にほめられたのかは分からない。
元々女性は母親の影響もあって苦手だったけど、表情を変えず淡々と話す綺麗な彼女は余計に……。
「でも、もっと肉があった方がいいわ」
「あ…、」
「可哀想に。私ならもっといいもの、食べさせてあげるのに」
それを聞いた途端、カッと顔が熱くなった。
別に先生に節約を求められたりはしてないけど、俺の買い物カゴには二割引きと書かれた安くなった肉ばかりが入っていた。きっと俺がケチだから、あの人にいいものを食べさせないんだと思われてしまった。
「あら、大丈夫?顔が赤いようだけれど、」
「て、店内が熱くて…、すみません。俺もう行きますのでっ」
―――ッ。伸ばされた手を大げさに回避してしまった。
これじゃ挙動不審じゃんかっ
居た堪れない俺はすぐさまぺこっと深く頭を下げ、彼女から逃げるように会計を済ませ退店してしまった。
「ただいま」
あー疲れた。いつものスーパーに行っただけなのに…。
先生と俺が釣り合わないと思われるのは仕方がない、むしろ自然だろ。
だからちゃんと平気なのに、あの鋭くて冷たい目が…どうしても、怖いんだ。
「おかえり」
「あ、先生。今日は鍋にするけど味付けは何がいい?」
「そうだねぇ…、ん?」
ぴたりと俺に近づく先生の足が止まった。
けど、そんなことに気付かない俺は上着を脱いで、ひょいひょいと買い物バッグから買ってきた野菜らを台へと並べていた。
「唯君。今日誰かに会った?」
「ん?いや、別に」
ここでスーパーで彼女に会ったことを言っていれば
もしくは、先生の方に振り返らなかったら何かが変わったのかもしれない。
「――――先生?」
怪訝そうに眉を顰めた俊哉さんの目を見た瞬間、事の重大さと選択肢を間違えたことにやっと気付いた。
「ちょ、っ、やめ…っ」
「脱いで、その服。いますぐゴミ袋に入れるから」
腕を掴まれ、風呂場に放り込まれたと思えば、服のままシャワーを浴びせられた。それが冷水からではなく湯に変わったことを確かめてから浴びせるのが新野らしいが、唯にそんなことを考える余裕はない。
なんで脱がなきゃならないのか
それに捨てる、の意味も理解できなかった。
「―――αの、臭いだ」
「なに、…アル、ファが、なんてっ、!?」
「なんで君からそんな臭いがするのかな?」
不快だと番いが怒っている。
けれど、指摘をされても納得できない。身に覚えがない、それに仮にαの臭いがしたらなんだというのか…?
ふと一瞬だけスーパーで接触しそうになった彼女の事を思い出したが、あの選ばれるより選ぶタイプの人が、マーキングをしてくるなど微塵も思えなかった。
「脱がないから引き裂くけど」
「やめろって、脱ぐ、から…、っ」
アンタの言う、不快な臭いを洗い流せば満足するんだろ?と単に唯は思っていた。だから濡れて重い服をなんとか脱いで、前を隠すように番いに服を渡した。
「・…ほら、出てってよ、体も洗うから」
「駄目だよ。君だけじゃ臭いが消えたって分からないでしょう?腹が立ってしょうがないなぁ、肺の中にもそのαの臭いがあると思ったら」
肺の、なか――――?
ぞわっと、恐怖から鳥肌が立った。
ぐちゃぐちゃと胎を掻き回されるような感覚に恐怖した。
こんなのはセックスじゃない、ただの暴力だと思うのに…っ
「あ、っ、あ゛、やめ、っ…やぁ!」
風呂場で何度も息を奪うような激しいキスをされて隅々まで体を洗われた。その後は寝室に連れ込まれ、お互いロクに乾いてない状態で無理やり行為へと持ち込まれた。
「・・、せんっ、やめ゛、あっ、あぁ」
「唯、唯…、俺の番いだ…、誰にも渡さない」
「い゛、いや、っ…、やめ゛、…!!」
ガリッと項を噛まれて悲鳴を上げた。
なんでだよ…っ。
聞いてくれない、こんなに近くにいるのに、お互いの息も熱もあるのに…っ、・
「ねぇ、誰につけられたんだい?いい加減教えて欲しいな」
「し、しらないっ…、しらないっ、…!」
――――これで何度目のやり取りかもわからない。
心当たりがなくて顔を真っ赤にして何度も首を振る。
何度、例え何十回聞かれたって、本当に知らないのだ。
「ほんと?心当たりもないの?」
「…ない、っ、ほんとに…ない゛からぁ、ゆるして…っ、」
ガクガクと暴力的でも、教え込まれた体はすぐ快楽を見つけて達してしまう。
もう―――苦しくて、辛いっ。本来なら今ごろ夕飯ができて、仲良く鍋を囲んでるはずだったのに…
(もうやだ、…っ、)
ぐずぐずと泣きながら、許してくれと必死に番いへと手を伸ばす。
「番いがいるΩに手を出そうなんて、そんな悪趣味なαが近所にいるなんて心配だなぁ」
「ごめっ、…っ、ごめんなさい、っ…、」
「唯君は悪くない。だから、一週間は外出禁止ね」
―――――――そんなのいやだ、と声を上げて叫びたかった。
本当に俺が悪くないと言うなら閉じ込める必要なんてないだろ!?
なんで、どうして…。
あんなに知らないと訴えたのに信じてもらえないのかと、心が悲鳴を上げた。
「鍋の材料ごめんね。今日は出前頼むから、たくさんしようね」
「……う゛、…っ…」
「ねぇ、唯君の番いは誰?」
その闇深い感情を、嫉妬と名付ける事すら できなかった。
end
唯君は完全なとばっちりで可哀想です
――――――――――――――――――――
寒くなってきた夜の定番と言えば、鍋だ!
―――ということで具材を求めて俺は一人、近所のスーパーに買い出しに来ていた。
白菜にキノコ、豆腐。
あとは牛肉じゃなくて――豚と鶏肉をメインにしての節約っと…。
(あとは、かさ増し用のもやしと、麺はうんどんでいいかな)
どちらもたくさん食べてくれる先生には必要だ。
カートを野菜売り場に戻そうとしたとき、正面からどこかスーパーには似合わない、一目で人を惹きつけるオーラを身に纏う存在がカッカッと俺に近づいてきた。
「こんにちは」
「あ…、こんにちは」
彼女は、同じマンションに住む女性だった。
年は先生と同じか近いくらいだろう。たまに見かけるスーツ姿よりラフそうな恰好なのに彼女の雰囲気のせいか、ここがデパートの食品売り場に見える。
「今日はお連れの方は一緒じゃないのね」
「え、あっ…はい。仕事中なので俺一人です」
「そうなの偉いわね」
偉いと言われても、本当にほめられたのかは分からない。
元々女性は母親の影響もあって苦手だったけど、表情を変えず淡々と話す綺麗な彼女は余計に……。
「でも、もっと肉があった方がいいわ」
「あ…、」
「可哀想に。私ならもっといいもの、食べさせてあげるのに」
それを聞いた途端、カッと顔が熱くなった。
別に先生に節約を求められたりはしてないけど、俺の買い物カゴには二割引きと書かれた安くなった肉ばかりが入っていた。きっと俺がケチだから、あの人にいいものを食べさせないんだと思われてしまった。
「あら、大丈夫?顔が赤いようだけれど、」
「て、店内が熱くて…、すみません。俺もう行きますのでっ」
―――ッ。伸ばされた手を大げさに回避してしまった。
これじゃ挙動不審じゃんかっ
居た堪れない俺はすぐさまぺこっと深く頭を下げ、彼女から逃げるように会計を済ませ退店してしまった。
「ただいま」
あー疲れた。いつものスーパーに行っただけなのに…。
先生と俺が釣り合わないと思われるのは仕方がない、むしろ自然だろ。
だからちゃんと平気なのに、あの鋭くて冷たい目が…どうしても、怖いんだ。
「おかえり」
「あ、先生。今日は鍋にするけど味付けは何がいい?」
「そうだねぇ…、ん?」
ぴたりと俺に近づく先生の足が止まった。
けど、そんなことに気付かない俺は上着を脱いで、ひょいひょいと買い物バッグから買ってきた野菜らを台へと並べていた。
「唯君。今日誰かに会った?」
「ん?いや、別に」
ここでスーパーで彼女に会ったことを言っていれば
もしくは、先生の方に振り返らなかったら何かが変わったのかもしれない。
「――――先生?」
怪訝そうに眉を顰めた俊哉さんの目を見た瞬間、事の重大さと選択肢を間違えたことにやっと気付いた。
「ちょ、っ、やめ…っ」
「脱いで、その服。いますぐゴミ袋に入れるから」
腕を掴まれ、風呂場に放り込まれたと思えば、服のままシャワーを浴びせられた。それが冷水からではなく湯に変わったことを確かめてから浴びせるのが新野らしいが、唯にそんなことを考える余裕はない。
なんで脱がなきゃならないのか
それに捨てる、の意味も理解できなかった。
「―――αの、臭いだ」
「なに、…アル、ファが、なんてっ、!?」
「なんで君からそんな臭いがするのかな?」
不快だと番いが怒っている。
けれど、指摘をされても納得できない。身に覚えがない、それに仮にαの臭いがしたらなんだというのか…?
ふと一瞬だけスーパーで接触しそうになった彼女の事を思い出したが、あの選ばれるより選ぶタイプの人が、マーキングをしてくるなど微塵も思えなかった。
「脱がないから引き裂くけど」
「やめろって、脱ぐ、から…、っ」
アンタの言う、不快な臭いを洗い流せば満足するんだろ?と単に唯は思っていた。だから濡れて重い服をなんとか脱いで、前を隠すように番いに服を渡した。
「・…ほら、出てってよ、体も洗うから」
「駄目だよ。君だけじゃ臭いが消えたって分からないでしょう?腹が立ってしょうがないなぁ、肺の中にもそのαの臭いがあると思ったら」
肺の、なか――――?
ぞわっと、恐怖から鳥肌が立った。
ぐちゃぐちゃと胎を掻き回されるような感覚に恐怖した。
こんなのはセックスじゃない、ただの暴力だと思うのに…っ
「あ、っ、あ゛、やめ、っ…やぁ!」
風呂場で何度も息を奪うような激しいキスをされて隅々まで体を洗われた。その後は寝室に連れ込まれ、お互いロクに乾いてない状態で無理やり行為へと持ち込まれた。
「・・、せんっ、やめ゛、あっ、あぁ」
「唯、唯…、俺の番いだ…、誰にも渡さない」
「い゛、いや、っ…、やめ゛、…!!」
ガリッと項を噛まれて悲鳴を上げた。
なんでだよ…っ。
聞いてくれない、こんなに近くにいるのに、お互いの息も熱もあるのに…っ、・
「ねぇ、誰につけられたんだい?いい加減教えて欲しいな」
「し、しらないっ…、しらないっ、…!」
――――これで何度目のやり取りかもわからない。
心当たりがなくて顔を真っ赤にして何度も首を振る。
何度、例え何十回聞かれたって、本当に知らないのだ。
「ほんと?心当たりもないの?」
「…ない、っ、ほんとに…ない゛からぁ、ゆるして…っ、」
ガクガクと暴力的でも、教え込まれた体はすぐ快楽を見つけて達してしまう。
もう―――苦しくて、辛いっ。本来なら今ごろ夕飯ができて、仲良く鍋を囲んでるはずだったのに…
(もうやだ、…っ、)
ぐずぐずと泣きながら、許してくれと必死に番いへと手を伸ばす。
「番いがいるΩに手を出そうなんて、そんな悪趣味なαが近所にいるなんて心配だなぁ」
「ごめっ、…っ、ごめんなさい、っ…、」
「唯君は悪くない。だから、一週間は外出禁止ね」
―――――――そんなのいやだ、と声を上げて叫びたかった。
本当に俺が悪くないと言うなら閉じ込める必要なんてないだろ!?
なんで、どうして…。
あんなに知らないと訴えたのに信じてもらえないのかと、心が悲鳴を上げた。
「鍋の材料ごめんね。今日は出前頼むから、たくさんしようね」
「……う゛、…っ…」
「ねぇ、唯君の番いは誰?」
その闇深い感情を、嫉妬と名付ける事すら できなかった。
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