番いのαから逃げたいΩくんの話

田舎

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逃げたいの番外編〜

番外編 VS留守番

番外編 VS留守番




番いに放置されたΩはストレスで弱ってしまう。
だからαは番いを一人残して長時間の外出はしないし、もしするとしても自分の匂いのある衣類を置いていくのが一般的だ。

「え?全部洗濯しちゃったの!?」
「当たり前だろ、だって俺発情期じゃないもん。それに出張つっても半日で帰ってくるんだろ?」
「そんな寝具まで洗うなんて…」

それはしょうがなくないか?冬だって寝汗はかくし今日は洗濯する日って決めてた。
先生は血相を変えてあわあわと取り乱すオーバーリアクションをしてるけど、ここは先生んちだ。心配しなくても匂いのあるものばっかだ。

「明日もかなり冷え込むし、もしかすると雪かもしれないって天気予報で言ってたよ。ちょっとの遅延ならいいけど運休になったら……なんて考えたくない。やっぱり、」
「出張はキャンセルする、なんて馬鹿言うなよ?」

そんなことをすればどんだけ相手に迷惑をかけるか…。
番いの起こす不安分離みたいな症状を不安がるαは多いみたいだけど、先生ほど過保護じゃないだろ。
なんなら一泊のんびりしてくる?と言えば、相変わらず強気だねぇ君は。と半笑いで返された。













(ま、こうなるとは思ってたけどね)

幸い運休までにはならなかったが大雪で大遅延。タクシーが捕まるはずもなく、新野がマンションに戻れたのは深夜も回ってのようやくであった。
そして…、かわいい唯と言えば待ち焦がれた新野の帰宅にも気づかずベッドの上でぐすぐすと泣いていた。


「唯君、ただいま」
「、…しやさん、っ、…、?」
「泣かないでよ、自分が悪かったこと反省できた?」

こくこくと何度も頷く。
どんなに心が認めていなくても離れたくとも、唯の体は番いとなったα――新野のモノだ。

そもそも番いを求めるのが本能なのだから、気持ちどうこうで片付く問題ではない。


「…ちゃんとできなくって・…、ごめんなさいっ…」
「いいから、おいで」

――――どうしてやろうか、と昨日は少しだけ考えてしまった。
どんなに新野が甘やかそうとしても反抗的な態度ばかりで素直になってはくれない。そんな唯が、こうして抱き上げれば必死に番いの匂いを求め嗅いで、弱くて、惨めなΩに成り下がる。

「寂しかったね、ごめん」
「ん、っ」

ゾクッと鳥肌が立つ。
額へのキス。たったその一つで泣き顔を一変させ、とろんと柔らかく蕩けた表情になる唯が愛おしい。
番いのαがいないと生きられないような存在がいるのに、複数のΩと番いを契約をしまえるαが信じられない。どうして番いを二人も三人も作ろうと思えるのか不思議に思う。

(だけど全部が君だったら、そう思えるのかな…)

過去の唯と未来の唯。
彼らがある日、新野の目の前に現れたのなら――――など、笑えない冗談だ。


「君みたいに手のかかる番いは一人でいいよ」
「あ、っ、あっ…、ン」

胸や腹を愛撫するだけでピクピクと甘い反応を見せる。

唯の体はどんどん変化している。
マンションに囲われて番いが常にいる環境で生活すれば、番いがいることに安心し、Ω性から来るストレスは最小限になる。
そして、体が馴染めば心も動く。
まだ戸惑っていても、優しく包み込んで慰めてくれるαに依存したい願望が芽生えるのは当然のことだ。

「俺の番いは君だけだ」
「や、だめっ…っ!おれ、ひとりがいい、ングッツ…!」

未だに抵抗しようとする唯の口を覆うと、シーっと黙るように囁く。


「お仕置きだよ、唯」


俊哉さん…?と見開かれた瞳。
まだ発情期前というのにふわっと漂うのは、”ごめんなさい、俊哉さん”。”怒らないで、気持ちよくして”。
そんな健気な謝罪と快楽の要求を込めた誘うフェロモンだった。

「君も期待して、分かってたんじゃないか…、」
「・…、ッ、づ゛!?」

ガリッ、と項を噛むと唯の腰が大きく跳ねた。


「あ、…、あ、…っ」
「いい子だよ、唯。もっと気持ちよくなろうね」

――――痛みだけでも絶頂に達する体。
余韻があるのか、ひくひくと足を震わせて可愛い反応だ。

分かっていたことだがやはり、唯には若干のマゾヒズムがある。加虐心と嫉妬心を煽るには十分だった。



「唯、悪いけど今日はゴムを買う余裕がなかった。気絶しなかったらアフターピル、飲ませてあげるね」



優しい声と、唯の大好きな優しい笑顔で 恐ろしいセリフを吐いた。







――――――――――――――――――


あとがき


唯君は新野さんから独り立ちできる機会があるなら…!と喜んで受けた試練でしたが本能に負けました。
新野さんが帰ってくる一時間前くらいは本能に抗ってたんですが、どんどん無気力になりなんとかベッドまで行けた感じですね。
なので発情期でなくとも半分理性のない状態です。
新野さんはそんな唯君が可愛い反面、だから言わんこっちゃない…と呆れてますが、唯君が一生懸命「俊哉さん、俊哉さん…」て求めてくるのでそこまで怒ってません。

不穏な台詞を吐いてますが、新野さん的にはもっと唯君とイチャイチャしたい。ついでに自分似の子どもが生まれるのは不快でしかない為、ちゃんとアフターピルを与えてます。



感想 10

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