新選組誕生秘録ー愛しきはお勢ー

工藤かずや

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9 警護役クビー豪士ー

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その夜、俺は土方さんの部屋へ呼ばれた。
何の用か、まるで見当がつかなかった。
よもや警護役クビになるだなんて、夢にも思わない!

確かに失敗したけれど、たった一度だけだろう。
次からはきっとうまくやる。
俺はそう軽く考えていた!

しかし、彼の部屋で言い渡されたのは、
容赦無く厳しかった!問答無用で、警護役即刻クビだった。
申し開きは許されなかった。

たった一度の失敗だからと考えていたが、
その一度が、取り返しのつかない事態となる。
本当に、永倉さんが来なかったらどうなってたかわからない!
俺は甘かった。

お勢さんが連れ去られていたら、もちろん俺は切腹!
近藤さんや土方さんも責任を取らされ
会津本陣でよくて切腹、悪くすると斬首!

お勢さんの秘密とは、局長や副長でも自由にならない
くらい重いものなのだ。
その夜からお勢さんの部屋の前から俺の布団が消え
また平隊士が雑居する大部屋へ移された。

こんな時の土方さんは人が変わる。
鬼の土方、氷の土方そのものだ。
切腹でなくてよかったと本当に思う。

だが、今朝の会津の二人を相手にしても
剣だったら勝つ自信があった。
口でこられたんじゃどうしようもない。

ああ言う戦い方があるってことを、始めて知った。
あれに勝つには経験と場数を多く踏むしかない。
その点、永倉さんの度胸には舌を巻いた。

十八才のガキの俺では、幕府や朝廷相手に
百戦錬磨の公用方が相手になるわけがない。
お勢さんも見ていてそう思っただろう。

大部屋へ移るとタロも付いて来た。
ただし、僕の肩に乗ったままま
決して降りようとしない。

平隊士たちは猫がいると力任せに蹴る。
真剣で試し斬りしようとする。
絞めて猫鍋にしようとするやつもいる。

そんなやつは猫や犬なんて、
鍋で煮て食うためにいると思ってるから始末が悪い。

タロもそれをちゃんと心得てる。
だから、大部屋では絶対に僕の肩からおりようとしない。
猫の知恵は人間以上だ。

突然、お勢さんに会いたい!!と思った。
あの笑顔と話し方、あの目で見詰められたい。
今になって、俺はお勢さんが好きだったんだと改めて思った。

女性を恋するってこういうことなのか!
もっともっと彼女を大切にすべきだった。
彼女から離れたくない!

こんな気持ち、始めてだ!!
全ては遅すぎたけど!
土方さんがいるから、賄い方へは行けない。

けど、行きたい!!
俺が知りたいのは、何者が彼女の奪取を企てているのかを
正確に突き止めることだ。

公儀、朝廷、そして各藩が彼女を狙っていることは分かった。
なら、新選組の後ろ盾の会津は最大の味方のはずだ。
なのに、なんで!なんで!なんでお勢さんをもっと大切にしないのか!
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