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1巻
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しおりを挟む永遠の愛を信じるか否か。
私――レナ・ミリアムは、それはほとんど幻のようなものだと思っている。
世の中には、生涯ずっと愛し合っている人たちがいるのは知っている。
だけど貴族として生きていれば、それがどれだけ珍しいことか、進んで知ろうとしなくてもわかる。
政略結婚が当たり前の貴族社会では、愛人を囲う者も多いし、愛憎劇の末に殺傷事件を起こすような者もいる。社交界に入ったばかりの私の耳にも、そういう情報が沢山入ってきていた。
神様の前で永遠の愛を誓っても、その思いが失われるのはよくあること。
だから、永遠の愛なんてないのかもしれない。
けれど私は、それを信じたい。
私には、十年も前から抱えている愛がある。
それは敬愛であり、異性に対する愛でもあると私は認識している。
あの方の役に立ちたい。
その一心で知識を身につけ、外見を磨いた。
あの方が私を愛してくれなくてもいいのだ。あの方のためになにかできればいい。
それはただの自己満足。だから、見返りなんて求めない。
初めてあの方に会ったのは、十年前の、あるパーティーでのこと。
そこであの方は、泣いていた私にハンカチを差し出してくださった。
初めて彼を見た時、なんて綺麗な人なんだろうと、思わず見惚れてしまったことを覚えている。
私に微笑みかけて、どうしたんだと聞いてくださった。
まだ子供で、ちょっとしたことで泣いてしまった私の涙を拭い、私を安心させるような笑みを浮かべてくださった。
その笑顔に、なぜか運命を感じてしまうくらい強く惹かれたのだ。
彼と話すうちに落ち込んでいた気持ちは浮上していて、私の心にはあの方の笑顔と、あの方と交わした些細な会話だけが残った。
彼にとっては記憶さえ残っていないであろう、本当に小さな出来事。だけど、私はそれだけで単純にも恋に落ちてしまった。
それから、ずっとずっと、あの方が好きだ。もしかしたらこの気持ちは、淡い初恋として消えていくのではないかと思ったこともあるけれど、そうはならなかった。
いまでも鮮明に思い出せる。幼い頃に出会った彼のことを……
出会った頃、王太子だったあの方――アースグラウンド様は、このたび王となった。
そして私は侯爵家の令嬢として、あの方の後宮に入ることになっている。
あの方の妃の一人になれる。愛するあの方のために、なにかできる。
それだけで、私はどうしようもなく幸せだ。
だから私は誓う――
「後宮できっとあの方の力になりますわ!!」
第一章
「ようこそおいでくださいました。レナ・ミリアム様」
後宮の門の前で、女官長が頭を下げた。その後ろには、三人の侍女が控えている。
「お出迎えありがとうございます。これからよろしくお願いしますわ」
私は貴族令嬢らしく挨拶し、にっこりと笑いかけた。
私の名前は、レナ・ミリアム。
ミリアム侯爵家の長女で、この国で成人として認められる十六歳になったばかりだ。
私は今日から、王の妃の一人になった。
この国の後宮は、普段は閉鎖されている。正妃を決める時にのみ建物が開かれ、そこに各地から妃たちが集められる。そしてその中から、陛下が相応しい者を選ぶという仕組みだ。
先日、陛下の正妃選びが行われるとのお触れがあり、それとともに各地の令嬢たちに妃として後宮に入るよう、勅令が下った。
私もそれに従い、ここにやってきたというわけだ。
目の前で、女官長がまた深々と頭を下げた。
「こちらこそよろしくお願いします、レナ・ミリアム様。ご要望通り、三人の侍女を手配させていただきました。これだけ少人数で大丈夫でしょうか」
「ええ。問題ありません」
私の後ろには、実家から連れてきた四人の侍女――チェリ、カアラ、メルディノ、フィーノが控えていた。
この国の貴族の令嬢は、普通は侍女を十五人は連れている。これは、単に身の回りの世話をさせるためだけでなく、その数で自分の権力を誇示するためでもあるからだ。家の爵位が高ければ高いほど、連れている侍女の数も多い。
けれど私は、実家から連れてきた侍女四人と、今日から私付きになった侍女三人がいれば十分だ。
それに、実家から連れてきた侍女たちは信頼できるけれど、後宮から手配された侍女のことは正直信頼できない。私の目的のためにも、新しい侍女の数は少ないほうがよかった。
私の目的。それは、愛する陛下を幸せにすること。
陛下は、前国王夫妻が事故で急死したことにより王位を継いだ。まだ即位されたばかりで、毎日政務に追われていることだろう。
ご両親である前国王夫妻がお亡くなりになってから日も浅く、きっと心身ともにお辛いにちがいない。
そんな中、正妃選びまでしなければならない陛下のご負担を、少しでもいいから軽くしたいと思っている。
あの方に恋をしてからずっと、私はあの方の力になるために様々な努力をしてきた。彼のために行動できる機会を色々想定して、自分を磨いた。
その成果を活かす時が来たのだ。
私はこの後宮で、きっと陛下の力になってみせる!
そう心の中で意気込んでいた私に、女官長が三人の侍女を紹介してくれる。
彼女たちはそれぞれ緊張した面持ちで頭を下げた。
三人とも素直で、一生懸命仕事をしてくれそうな印象だ。私はひとまず安心した。
女官長は、見ている者をほっとさせるような笑みを浮かべていて、好感が持てた。後宮を統括している彼女は、妃たちの住まう部屋の準備、妃に仕える侍女たちの手配や教育といった様々な仕事をしている。また王宮と後宮をつなぐ重要な役割を担っていて、豊富な人脈を持つ。
「お部屋にご案内いたします」
女官長がそう言って歩き出した。
後宮は王宮と同様、外観も内装も白で統一された美しい建築物だ。王宮の敷地内にあり、王宮の入り口からもっとも遠い位置にあった。
男子禁制の女の園である。一部の特例を除いて、男は入ることすらできない。
妃として後宮に入ると、外部との接触は著しく制限される。手紙は中身を確認され、出入りには事前に申請が必要だ。外出の審査はとても厳しく、妃たちはほとんど後宮の外に出ることがない。
そのため、後宮内は妃たちを退屈させないようにと趣向がこらされており、庭園も綺麗に整備されていた。たいてい一年もしないうちに正妃と側妃が正式に決まり、他の妃たちは家に帰されるので、こうして工夫してあれば特に不満も出ないのだと聞く。
後宮は四階建てのようで、私は一番上の階の豪華な部屋に通された。
「レナ様には、この睡蓮の間をご用意いたしました。では、私は失礼します」
女官長はそう告げて、その場を辞した。
部屋の名前を聞いて、昔後宮にいた伯母様から聞いた話を思い出した。そのころと変わってなければ、この部屋は後宮の中で二、三番目に広いはずだ。侯爵家令嬢という私の身分を考えて割り当てられているのだろう。
私は自分に与えられた部屋の中を見回す。
後宮に来る前に、必要な家具や調度品の希望を伝えて、自分好みの部屋に整えてもらっている。
私が事前に運び込むようお願いしていた荷物もきちんと置いてあった。
部屋の中を見回して満足した私は、椅子に腰かけて、これからなにをするべきか思考を巡らすことにした。
後宮の主であるアースグラウンド様は、今年二十歳になる。
彼は即位してまだ五ヶ月だけれど、既に正妃や側妃の候補として、それなりの数の令嬢が後宮に入っているはずだ。
この国では、王太子になればいつでも後宮に妃を集められるようになる。けれどたいていは、王位を継いでから正妃を選ぶものだ。
正妃と同時に側妃を選ぶ場合もあれば、生涯側妃を持たない場合もある。側妃が必要になった時に、また後宮に妃を集めることもあった。
今回は前王が急に亡くなられたため、陛下が即位されるとともに慌てて令嬢たちを集めることになった。
私は陛下のことを心からお慕いしている。どんな形でもいいから陛下のためになりたいと、ずっと考えていた。
折角妃になれたのだから、後宮にいるからこそできることをしようと思っている。
そんな私が、まずするべきことは……
考えがまとまると、私は彼女たちに指示を出す。
「チェリ、カアラ、メル、貴方たちは後宮を見てきてちょうだい」
これは情報収集をお願い、という命令である。彼女たちとは十年近い付き合いだから、これだけ言えば私の意図をきちんと理解してくれる。もちろん、私の侍女たちが優秀だというのもあるのだけど。
情報とは武器である。特に女の戦場ともいえる後宮では、どんな些細な情報でも必要だ。
後宮に入る前にも情報収集をしてみたけれど、外から後宮内の事情を探るのは簡単なことではなかった。後宮が開いてまだ日が浅いのもあって、詳しい情報は集められていない。
私が知っているのは、昔後宮に入っていた伯母様から聞いた話や、噂話ぐらいだ。
なにをするにしても、まず後宮の現状を把握しなければ。
「わかりました。レナ様」
「行ってまいります。レナ様」
「では、レナ様のことを頼みますよ。フィーノ」
三人はすぐさまそう言った。
「ええ、レナ様のことは任されました」
お留守番のフィーノは私の傍に立ち、満面の笑みでうなずく。フィーノはいつもにこにこしている陽だまりのような子だ。背が高くて、力持ちで、だけど女性らしい。藍色の髪を腰まで伸ばしていて、夜色の瞳を持っている。
彼女がうなずいたのを合図に、チェリたちは部屋を出ていった。
「それから、誰か二人でディアナ様のもとへ手紙を届けてください。手紙はいまから書きますわ」
次に、新しい侍女たちにそう指示を出す。
「は、はい」
「わかりました」
侍女たちは緊張した様子で答えた。
手紙を届けるのに二人で行かせるのは、不測の事態に備えてのことだ。
後宮は様々な陰謀が渦巻く場所で、ライバルを排除しようと妃同士で嫌がらせし合うのは当たり前。酷い時には暗殺事件なども起きるのだ。
後宮に入ってすぐになにかを仕掛けられることはないと思うけど、手紙を奪われるくらいのことはあるかもしれない。実家から連れてきた侍女たちならばそういうことにも対処できるけれど、この子たちでは難しいだろう。
私が手紙を出したい相手――ディアナ様は、王家とつながりのある公爵家の令嬢だ。先代国王の弟君の娘で、陛下の幼馴染でもある。
彼女の実家であるゴートエア公爵家は、陛下からの信頼が厚い。若くして王位を継いだ陛下の後ろ盾になり、足固めを手伝っている。
私が陛下の役に立つためには、ディアナ様と良好な関係を築いておくべきだろう。
それに、彼女は後宮で一番地位の高い方だ。だから私から挨拶を申し出るのは当然のことだ。
逆に他の妃たちは私よりも地位が低いので、向こうから挨拶しに来てもらわなければならない。こちらから赴けば、私が舐められる原因になる。そんな事態はごめんだ。陛下のために行動するのが難しくなってしまう。
「あの、私はなにをすればいいのでしょうか」
用を言いつけなかった侍女が口を開いた。そんな彼女に微笑んでお願いする。
「それじゃあ、手紙を書くための紙とペンを用意してもらえるかしら」
「はい、わかりました」
仕事を頼むと、彼女は嬉しそうに笑った。
持ってきてもらった紙に、簡単な挨拶と、お茶をご一緒したい旨を書いた。マナーとして、ディアナ様を褒めたたえる言葉ももちろん書く。
私は社交界デビューしたばかりで、いま後宮にいる妃たちとは直接話したことがない。
だからディアナ様と会うのも初めてだった。
陛下の幼馴染に会えるのだと思うと心が弾む。
思わず笑みを零したら、フィーノに「落ち着いてください」と小声で言われた。
手紙を書き上げると、侍女の二人に渡す。それを届けてもらっている間に、フィーノにお茶とお菓子を用意してもらった。
その後、二人が帰ってきてディアナ様からの返事を渡してくれた。その手紙には、明日の午後一時にディアナ様の部屋でお茶するのはどうか、といったことが書いてある。
明日ディアナ様に会いに行くなら、その準備をしなければならない。その他にすべきなのは、チェリたちが持ってくる情報をまとめることと、こちらに挨拶に来る妃たちの対応だ。
そう思っていたら、早速面会を申し込む手紙が届き始めた。今日中に彼女たちと会えるように、すぐに返事を出す。
しばらくすると、部屋をノックする音が聞こえた。フィーノが扉を開けると、妃の一人が入ってくる。
「レナ・ミリアム様、これからよろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いします」
挨拶にやってくる妃たちの本心なんてわからない。ただ、事務的なやり取りを交わす。
そうして他の妃たちとの面会を終えた頃、チェリたちが帰ってきた。
「レナ様、後宮内を見て回ってきましたわ」
「お疲れ様」
戻ってきた侍女たちに労いの言葉をかけると、新しい侍女三人に言った。
「貴方たちはこれを片づけてください」
彼女たちを部屋から出ていかせるため、お茶の片づけを命じる。三人はいい子たちに見えるけれど、まだ信用はできない。
彼女たちが出ていったのを確認して、私は帰ってきたばかりの三人に指示を出す。
「まず、カアラは後宮の見取り図を描いてくれる?」
「はい。了解しました。レナ様」
彼女はうなずいて作業を始めた。
「じゃあ、他の二人は後宮内で集めた情報を教えてね」
「はい、レナ様」
「わかりました。レナ様」
チェリとメルは嬉しそうに笑って返事をすると、私に向かって報告を始めた。
「まずは、レナ様が面会なさいますディアナ・ゴートエア公爵令嬢についての情報を、最優先で集めてきました」
そう言ったのはチェリである。真紅の髪を一つに結んでいて、目の色は私と同じ茶色。私より二つ年上で、頼りになる侍女だ。
続いてメルが、ディアナ様について語ってくれる。
「ディアナ様の様子をこっそりうかがってきたのですが、素晴らしい方に思えましたわ。社交界での評判通り美しく、それでいてできた方ですね。侍女への気配りもきちんとなさっていましたわ」
メルは私より四つ年上で、濃い茶色の髪を二つに結んでいる真面目な子。
そんなメルの言葉に、チェリもうんうんとうなずいて言った。
「他の侍女達からの評判もよかったですわ。あのような方に仕える侍女たちは幸せでしょう。あ、もちろん、レナ様に仕えるほうが私にとっては幸せですわ!」
「私もですわ。可愛いレナ様の傍に控え、お守りすることができて嬉しく思いますわ」
彼女たちは優秀で、私の欲しい情報をきちんと届けてくれる。でも、報告の際にこうして脱線して、私の話になることがあった。『可愛い』なんて主に言う言葉ではないけれど、彼女たちとは幼い頃から一緒に育ってきたこともあり、いつもこの調子なのだ。
相変わらずの様子に、私は笑って咎める。
「もう、私のことはいいから報告を続けてちょうだい。二人が私のことをそんな風に言ってくれるのは嬉しいけれど、いまは報告を聞きたいわ」
彼女たちのまっすぐな思いは心地よくて好きだ。両親や、お兄様が私に向けてくれるような、家族愛にも似た愛情を持ってくれて嬉しい。
私だって、侍女たちのことが大好きだ。血のつながりはないけれど、私にとって家族のような存在。だから後宮に彼女たちがついてきてくれて、本当に心強い。
「はっ、すみません。レナ様」
「すみません、続きを報告させていただきます」
二人はそう言って、報告に戻る。
「ディアナ様は陛下の幼馴染で仲が良いということでしたが、調べてみたところ、陛下はディアナ様のもとへは通われていないようなのです」
「陛下が通っていない?」
「そうなのです。他の妃たちのもとには、後宮入りした日に必ず訪れていらっしゃるようですのに、ディアナ様のもとには一度も訪れていないとか」
私はそれを聞いて驚いた。
この国では、後宮に多くの令嬢を妃として招く。そして集めた妃の中から、正妃にする者を選ぶのだが、その過程で、妃たちと体の関係を持つのが通例だ。
正妃が決まる前に誰かが妊娠すれば、その妃は正妃か側妃になる。陛下が望めば妃を降嫁させ、子供だけを王宮に置くこともあるけれど、そういうことはあまりない。
ちなみに、正妃や側妃に選ばれなかった妃は家に帰されるが、それは令嬢たちにとって不利益にはならない。処女ではなくなっていても、高貴な血の流れる王族の手がついていることは逆に名誉なこととされている。
だから、一度も陛下のお渡りがないということは、ディアナ様の評判を傷つける。
それは陛下もディアナ様もわかっているだろう。
私は、陛下がディアナ様のもとへ頻繁に通っていると思っていた。少なくとも彼女が恥をかかない程度には通っていて当然だと思う。
恋愛感情があるかないかは別として、ディアナ様と陛下の仲が良いことは、社交界でもよく噂になっている。だから、陛下にとってディアナ様は、共に過ごしていて居心地のいい相手なのだろうと思っていた。
ところが、陛下はディアナ様のもとへ通っていないという。なにか理由があるのだろうか。
その後の侍女の話によると、陛下は王位を継いで間もないこともあり、後宮の管理までは手が回っていないようだった。とはいえ、妃たちの実家に配慮して、夜に彼女たちのもとを訪れてはいるそうだ。
それが本当だとすると、ますますおかしい。陛下が理由もなしに幼馴染であるディアナ様の評判を傷つけることはないはずだ。
とはいえ、私は陛下と親しいわけではない。公式の場でお会いする時以外は大して接点もない。そんな私が勝手に決めつけるのは、陛下に対して失礼だろう。
「そのことについては詳しく調べていきましょう。なにか理由があると思うのよ。だから、よろしくね」
「はい、もちろんです。レナ様」
「レナ様のためなら頑張って調べてきますわ」
「ありがとう。じゃあ、他の方々の情報もくださる?」
そう言うと、彼女たちは他の妃について報告してくれた。
現在後宮入りしているのは、私とディアナ様以外に豪商の娘が一人、伯爵令嬢が二人、子爵令嬢が三人、男爵令嬢が三人だ。
後宮に入るには、いくつか条件がある。
一つは、それなりの身分であること。実際に後宮に入るのは貴族の娘がほとんどなのだが、中には豪商のように平民ながら力のある家の娘が妃となるケースもある。
二つ目は、婚約者や配偶者がいないこと。歴史を振り返れば、婚約者や配偶者のいる女性に目をつけた王が、無理やり後宮に召し上げたこともあるそうだが、近年はあまりない。
三つ目は、陛下と年齢が近いこと。陛下と歳が離れすぎていると、正妃に適さないと見なされるのだ。歳が近くても陛下より年上の令嬢はほとんどが結婚しているため、今回集められた妃はあの方より年下の娘ばかりだ。
これらの条件に合致する令嬢には、後宮に入るよう勅令が下る。
そして、準備が整った者から順に後宮入りしていく。
「伯爵令嬢であるリアンカ様とベッカ様は、互いに敵対しているという話ですの。なんでも、ディアナ様が正妃になることはないと馬鹿にしているようで、二人で正妃の座を競っているみたいですわ。互いに相手を排除しようと動いているようです。彼女たちは他の妃へのいじめも行っていると聞きました」
メルがそう言った。
「公爵令嬢で、陛下の幼馴染でもある方を馬鹿にするなんて、愚かね」
正直、そんな感想を抱いてしまった。陛下のお渡りがないとはいえ、ディアナ様は社交界で非常に評判のいい公爵令嬢だ。美しく、気品に溢れた完璧な方を、たったそれだけのことで見下すなんて浅はかだと私は思う。
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