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2巻
2-2
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そうなれば、エマーシェル様がリアンカ様から目を付けられてしまうかもしれないし、彼女に協力している他の妃たちからいじめられてしまうかもしれない。
そうならないためにエマーシェル様のフォローをしてきたのに、私が動くことで注目されるなんて本末転倒だ。何か別の方法を考えなくては。
リアンカ様の動きについても、引き続き注意していきたい。このまま何も動きがないようであれば、こちらも対応を考え直さなければならない。
まだなんの証拠もつかめてはいないけれど、正妃になろうとして人を攻撃することも辞さなかったリアンカ様のことだ。きっと何か企んでいるだろう。それを把握できていないというのは、私が後手に回っている証拠だ。
私は次の一手をどうすべきかと、頭を悩ませるのであった。
*
俺――アースグラウンド・アストロラは後宮に向かいながら、これから会う妃のことについて考えていた。
彼女の名はレナ・ミリアム。
第一印象は、ごくごく普通の貴族令嬢といったところだった。
だから彼女も、ベッカ・ドラニアやリアンカ・ルーメンと変わらず、正妃の座を狙っているのだと思っていた。
でもそうであるにしては、レナ・ミリアムには奇妙な行動が目立つ。
後宮で諍いを起こしていた伯爵令嬢たちと真っ向から対立したかと思えば、下級貴族の娘であるエマーシェル・ブランシュをかばうような行動も取り始めた。
俺はレナ・ミリアムの行動を不審に感じるようになった。
彼女は、俺の幼馴染であるディアナ・ゴートエアや、直属の部下であるトーウィン・カサルを次々と味方につけていった。
ディアナやトーウィンは馬鹿ではないし、俺は彼らを信頼している。
けれどこうも不可解な行動をしているレナ・ミリアムを、彼らがなぜ信用するのかわからなかった。
もし彼女に上手く丸め込まれているのなら、俺が警戒しておかなければならない。
そう思っていた。
しかしベッカ・ドラニアが起こした事件にまつわる報告を聞いている時に、トーウィンからレナ・ミリアムの行動の理由を聞かされた。
『レナ様は、陛下を愛しているから行動しているだけですよ』
それまで俺はずっと彼女のことを疑っていたので、簡単には信じられなかった。
けれどもし仮に、彼女が俺のために動いていたのだとすると、不可解な行動にも説明がつくような気がする。
トーウィンの言うことを鵜呑みにするわけにはいかないが、レナ・ミリアムが俺に好意を抱いているのだとしたら、何を目的として動いているのだろう?
最近の俺は、彼女に興味を持ち始めていた。
後宮にあるレナ・ミリアムの部屋の扉をノックすると、彼女が笑顔で迎え入れてくれる。
「ごきげんよう、陛下」
そう言って綻んだ彼女の顔を、美しいと感じた。
レナ・ミリアムは、黄金に輝く髪を持つ、整った顔立ちの少女だ。歳のわりに大人びているけれど、歳相応の愛らしさも持ち合わせている。
でも、彼女の笑顔は作り物のようだと思う。
いや、実際に笑みを作っているのだろう。
貴族令嬢としてそつがなく、相手に不快感を抱かせるわけでは決してないが、全く本心が読み取れない。
その笑みを見ていると、彼女の全てが怪しく思えて、俺は疑心暗鬼になっていた。
けれどいまは、戸惑いのほうが大きい。
彼女が俺のことを好いているのかもしれないと思うと、どう接していいのかわからなくなるのだ。
トーウィンが言ったことを信じているわけではない。
けれど本当にレナ・ミリアムが俺のために動いてくれているのなら……
「少し……話をしないか」
気がついたら、そんなことを口走っていた。
レナ・ミリアムがやや驚いた顔をしたように思えたが、次の瞬間にはいつもの貴族令嬢らしい笑みに戻っていた。
「陛下のお望みとあれば、喜んで」
彼女はそう言って俺を部屋の奥へと誘う。
俺がこんなことを言うのは珍しい。
妃たちを抱くのは、国王としての責務でしかないと思っているので、彼女たちとは必要以上に親しくしないようにしていた。
正直に言うと、あからさまに媚を売ってくる女たちが苦手だったというのもある。
だが国王として、結婚はするべきだ。
王族の血が途絶えるということは、国の存亡にかかわる。
だから、俺が子をなすのは当然のことだと理解はしていた。
ただ、できれば愛のない結婚ではなく、互いに思い合える相手と添い遂げたい。
もし愛し合うことが難しくても、せめて互いに尊重し合えるような関係を築きたい。
夫婦仲が良い両親を見て育った俺は、密かにそんな思いを抱いていた。
とはいっても、高望みはできないだろうが……
国王の結婚ともなれば政治的なメリットがもっとも優先される。
正妃の決定権を持っているのは俺だが、貴族たちの力関係や、有力貴族の意向を無視するわけにはいかない。
しかも俺は急遽王位を継ぐことになったため、自分の意見を通すだけの力もない。
後宮を適切に管理することすらままならないのが現状だ。だから妃たちが起こす問題への対応は、いつも後手に回っている。
「それで、どのようなお話をいたしましょう?」
レナ・ミリアムに話しかけられて、はっと我に返る。彼女はベッドのほうを示して俺に座るように促しながら、にこにこと微笑んでいた。
彼女に聞かれて初めて、特別に話したい話題があったわけではないと気づく。
ただ、レナ・ミリアムと言葉を交わしたかっただけだ。
俺は気恥ずかしさをごまかすように、黙ってベッドに座った。
レナ・ミリアムはいつも笑っている。
俺がどんな態度を取ろうとも、彼女の笑顔は変わらない。
少し前まではそれが不気味で仕方なかったけれど、いまはなぜかもどかしく思う。
「レナ・ミリアム、お前は……何を考えているんだ?」
「ふふ、私はいつも陛下の幸せを願っておりますわ」
はぐらかされてしまった。
それでも俺は彼女の気持ちを知りたいと思っている。
何を考えているのだろうか。
俺の味方でいようとしてくれているようには見えるが、それはなぜなのか。
本当に、俺のことを愛してくれているのか――
そんなことを考えるけれど、もちろん直接聞けるはずがなかった。
*
陛下の訪れがあった次の日。
いつものように自室で目覚めた私は、陛下に抱かれた幸福に浸っていた。
私の全ては陛下のためにある。
私にできることならなんだってやりたい。
そんな思いがとめどなく溢れてくる。
いま私が陛下のためにできることは、ベッカ様が処罰されたことで落ち着いた後宮が、再び荒れないようにすることだ。
この平穏な空気を乱す人物がいるとすれば、それはきっとリアンカ様だと思う。
リアンカ様は、私が流した偽りの情報を信じ、陛下が私を気に入っていると勘違いしているはずだ。だから私を排除しようと裏で動いているだろう。
そう思って、侍女たちに頼んで何度も探りを入れている。それにもかかわらず、いまだに尻尾はつかめていない。
リアンカ様が何かを企んでいるというのは、私の思いすごしなのだろうか。
いや、もしかしたら私が育てた優秀な侍女たちでも尻尾をつかめないような、有能な手駒がリアンカ様の傍にいるのかもしれない。
そんな危険な存在を野放しにしていたら、後宮が大変なことになってしまう。陛下も正妃を選ぶどころではなくなるだろう。
だから私は、ある手を打つことにした。
「ごめんね、フィーノ。危険かもしれないけれど、リアンカ様のことを探りに行ってもらえないかしら?」
そうフィーノに頼んだ。
リアンカ様はベッカ様が処罰されてから、目立った動きを見せていない。いまのところ、後宮は平和だ。
何も問題が起きていないのなら、静観するのも一つの手かもしれないけれど、私はそうはしない。
こちらから動いてこそ、得られるものがあるのではないかと思うからだ。
いままでフィーノたちは、リアンカ様付きの侍女たちからそれとなく話を聞くなどして情報を集めてくれていた。
けれどその成果が得られていない以上、方法を変える必要がある。
「リアンカ様は必ず何かを企んでいるはずよ。けれど彼女が妃である以上、一人でできることには限りがあるわ。だからきっと誰かに指示をして代わりに動いてもらっていると思うの。彼女に張り付いて、その証拠をつかんできてちょうだい」
これはとても危険な任務だ。
いままでより、もっと物理的にリアンカ様に近づいてもらうことになる。
もしリアンカ様がフィーノたちのように訓練された人間を雇っていたら、探っていることに気づかれるかもしれない。そうなったら、ただでは済まないだろう。
それでも、彼女ならきっと何かつかんできてくれると信じていた。
フィーノは私が育てた侍女たちの中でも腕利きだ。というか、連れてきた侍女は全員腕利きなのだけれど、彼女は四人のうちでもっとも諜報活動に長けている。
私はフィーノの実力を信頼していた。
「はい、レナ様。レナ様の頼みごととあれば、どんなことでもいたしますわ」
フィーノは私の言葉に対して、笑みを浮かべて頷く。
彼女たちは本当に私の自慢の侍女だ。
第二章
あれからフィーノは、私の傍にいることが少なくなった。
彼女が調査に専念できるよう、カアラたちがそれ以外の仕事を全て引き受けたのだ。
フィーノは、一日に一度か二度は私の前に姿を見せるけれど、あとは私の指示した通りリアンカ様のことを探ってくれている。
そんなある日、妃の一人であるディアナ様とお茶をする機会があり、念のため彼女にもフィーノがリアンカ様のことを探っていると話しておくことにした。
「まぁ、そうなの。でもそれじゃあ、フィーノが危険じゃない?」
ディアナ様は私の話を聞くと、カップを置いて心配そうな顔をした。
彼女は王家と血のつながりがあるゴートエア公爵家の娘で、陛下の幼馴染でもある。
後宮が開かれた当初は、最有力の正妃候補と目されていた。
けれどディアナ様には、騎士団長の一人息子であるキラ・フィード様という思い人がおり、そのことを知っている陛下はディアナ様のもとにだけは一切訪れていない。
ディアナ様が後宮に入ったのは、彼女が片思いしていたキラ様の気持ちを知るためだった。
なかなか素直に気持ちを伝えてくれないキラ様にやきもきしていたディアナ様に、陛下が後宮入りを提案したのだそうだ。陛下はキラ様とも幼馴染で、ディアナ様が後宮に入ればキラ様が焦って何か行動を起こすだろうと考えたらしい。
ディアナ様と陛下のもくろみは成功し、キラ様は後宮まで彼女を迎えに来た。二人はめでたく両思いになり、もはやディアナ様には後宮に居続ける理由がない。
だというのに、彼女は私の手伝いがしたいと言って、ここに残ってくださっている。
私にとって心強い協力者の一人だ。
「危険……かもしれませんわ。けれど私は……陛下のためになることを全力でやりたいと思っているのです。私が後宮にいられるのは陛下が正妃を選ぶまでの間だけですし、何より私が少し躊躇った結果、陛下の不利益になるようなことが起きたらと考えると、何かせずにはいられませんわ」
私は自分の決意を伝えるように、ディアナ様の目を見つめて言う。
「それに早くこの件を片づけて、陛下が誰を正妃にしたいと思っているのか突き止めたいのです。リアンカ様を警戒しながら、陛下の本心を探ることは難しいですから」
ディアナ様はしばらく沈黙したあと、ふっと柔らかく微笑んで口を開いた。
「……本当にレナ様はアースのことが大好きですわね」
「だ、大好きって……それは、確かですけれども……」
「そうやって赤くなるところも、とても可愛らしいですわ」
再びお茶の入ったカップを手に取りながら、ディアナ様は楽しそうに笑っている。
微笑ましいものを見るような目で見られて、私は余計に恥ずかしくなる。
「も、もう、そんな風にからかわないでください。それよりも、リアンカ様のことを探るフィーノのバックアップをお願いできますか?」
「ええ、それはもちろんですわ。私の侍女たちにも、フィーノの手助けをするよう指示しておきます」
ディアナ様は幼馴染という関係を生かし、陛下と直接情報のやり取りをしてくださっている。自分の侍女の中から手勢を割いて、情報収集や護衛の手伝いをしてくださることもあった。
ディアナ様も私と同じように、そういう訓練を受けた侍女を後宮に連れてきているのだ。
そんな彼女にフィーノのことを頼み、そのあと少し雑談を交わした。
話題はいま人気の恋愛小説作家、ティーンについてだ。
ティーンの書く小説は庶民だけでなく貴族女性の間でも評判で、私とディアナ様も大好きなのだ。
そして、ティーンは覆面作家でもあった。読者の間では二十代の女性ではないかと噂されているものの、その正体は謎に包まれている。
「早くティーンの新作が読みたいですわ」
ディアナ様がそう言って切なそうにため息をつく。その表情からは、彼女が新作を心底待ち遠しく思っていることがわかった。
「そういえば、最近新しい作品が出ていませんわね。いつものペースだと、そろそろ出てもおかしくない時期ですわよね?」
私はそう答え、次はどんな物語なのだろうかと二人で予想し合う。
それから後宮に関する情報をいくつか共有して、私はディアナ様の部屋を辞した。
フィーノに指示を出してから、一週間ほど経過した。
私は自室の椅子に座りながら、調査に向かわせたフィーノの帰りを待っている。
日はとっくに暮れていて、夕食の時間も過ぎてしまった。
いつもは朝と夕方には必ず顔を見せるのに、今日は一度も姿を見ていない。
何かあったのだろうか。
嫌な予感がした。
リアンカ様は、私に対して思うところがあるはずなのに、相変わらず何もしてこない。
ベッカ様が処罰されるまで行っていた、他の妃への嫌がらせさえもしなくなった。
フィーノが情報収集をしてくれているけれど、成果は得られていない。やはりリアンカ様は何も企んでいないのだろうか。けれど私は、彼女の手駒がフィーノ以上に有能だったら……という可能性を考えてしまう。
妃の一人でしかない私が動かせる駒は、この後宮の中では少ない。私のテリトリーでないこの場所では、情報収集をするにしても限界があった。
ディアナ様たち協力者にも情報収集を頼んでいるが、そちらからも情報は得られていなかった。
「フィーノさん、遅いですね」
後宮から派遣されている侍女の一人がそうつぶやいた。
彼女たちはもともと王宮で働いていたので身元こそ確かだけれど、だからといって簡単に信用できるわけではない。悪気はなくても、彼女たちから私に不利な情報が漏れるかもしれないのだ。
だから彼女たちには、私がフィーノに何をさせているのかも教えていない。彼女には特別な仕事を頼んでいて、しばらく私の傍から離れるとだけ伝えてあった。
「そうね……」
私は侍女の言葉に一言だけ返す。そしてしばらく考えてから、また口を開いた。
「貴方たちはもう下がってもいいわ。あとのことはカアラとメルに頼みます」
何か不測の事態が起きた時に私とカアラたちだけですぐ対応できるようにと、後宮から派遣された三人の侍女を下がらせる。
申し訳ないけれど、彼女たちはこの場にいないほうが都合がいいのだ。
心配そうな顔をしつつも退出していく彼女たちを見ながら、私は情報収集に向かわせたフィーノのことを思う。
リアンカ様について深く探ってもらうというのは、危険な行為だ。自分が命令したことではあるけれど、フィーノが何か危ない目にあっていないかと心配で仕方がない。
嫌な予感を振り払うため、少しだけ散歩をしようと部屋の外に出た。できるだけ身の危険がないよう、人目につきやすい中庭に向かうことにする。
ゆっくり歩く私の後ろから、カアラとメルがついてきた。
後宮は王の妃たちの集う場所ということもあり、とても綺麗に整えられている。特に中庭は、色とりどりの花が咲き誇っており、まるで絵画のように美しい。
私は不安になる心をどうにか落ち着けたくて、その美しい光景を見つめた。そうしていると次第に胸のざわつきが収まってくる。
しばらく庭を眺めていたら、後ろから誰かの足音が聞こえてきた。
「レ、レナ様」
その声を聞いて驚いた。聞き間違いではないだろうかと思う。
けれど振り向いた先には、思った通りの人物――エマーシェル様がいた。
どうしてエマーシェル様が、私に声をかけてくるのだろうか。
そんな疑問が生じたのは当然のことだった。
私はエマーシェル様のことを一方的に気にかけているけれども、侯爵令嬢である私と男爵令嬢である彼女は、気軽に声をかけ合うほどの仲ではない。
もしかして、陛下がエマーシェル様のもとへ通っていることを私が意図的に隠しているのに気づいて、抗議でもしに来たのだろうか。
そんな風に勘ぐってしまったけれど、私を見つめるエマーシェル様の目には敵意など感じられなかった。
エマーシェル様がどういうつもりで声をかけてきたにせよ、私と話しているところを誰かに見られてはまずい。
この中庭は建物の中からよく見える。こうしているいまも、誰が見ているかわからないのだ。
陛下が私のもとへ通っているという噂が流れているため、私は後宮中から注目されている。そんな私がエマーシェル様と親しくしていると誤解されれば、リアンカ様にとって彼女は気に食わない存在になりうる。
私は協力者であるディアナ様たちとでさえ、あまりおおぴっらに交流していないのだ。
それに、ディアナ様たちなら万が一誰かに狙われたとしても、彼女たち自身の力で対応できるが、エマーシェル様には無理だろう。
エマーシェル様を守るためには、一刻も早く彼女から離れなければ。
そう考えていると、エマーシェル様がおどおどした態度で口を開いた。
「あ、あの、私……」
「エマーシェル様、私に話しかけてはいけませんわ」
私は彼女を冷たく突き放した。
少しでも楽しそうに話しているところを見られれば、それだけで私が彼女を特別に気にかけているように見えるだろう。
そんな風に思われてはいけない。むしろ、興味がないという態度を示さなくては。
「え、あの……」
エマーシェル様はやや面食らったようだった。けれど話をやめるつもりはないらしい。何かを言おうと、口を開いたり閉じたりしている。
そうならないためにエマーシェル様のフォローをしてきたのに、私が動くことで注目されるなんて本末転倒だ。何か別の方法を考えなくては。
リアンカ様の動きについても、引き続き注意していきたい。このまま何も動きがないようであれば、こちらも対応を考え直さなければならない。
まだなんの証拠もつかめてはいないけれど、正妃になろうとして人を攻撃することも辞さなかったリアンカ様のことだ。きっと何か企んでいるだろう。それを把握できていないというのは、私が後手に回っている証拠だ。
私は次の一手をどうすべきかと、頭を悩ませるのであった。
*
俺――アースグラウンド・アストロラは後宮に向かいながら、これから会う妃のことについて考えていた。
彼女の名はレナ・ミリアム。
第一印象は、ごくごく普通の貴族令嬢といったところだった。
だから彼女も、ベッカ・ドラニアやリアンカ・ルーメンと変わらず、正妃の座を狙っているのだと思っていた。
でもそうであるにしては、レナ・ミリアムには奇妙な行動が目立つ。
後宮で諍いを起こしていた伯爵令嬢たちと真っ向から対立したかと思えば、下級貴族の娘であるエマーシェル・ブランシュをかばうような行動も取り始めた。
俺はレナ・ミリアムの行動を不審に感じるようになった。
彼女は、俺の幼馴染であるディアナ・ゴートエアや、直属の部下であるトーウィン・カサルを次々と味方につけていった。
ディアナやトーウィンは馬鹿ではないし、俺は彼らを信頼している。
けれどこうも不可解な行動をしているレナ・ミリアムを、彼らがなぜ信用するのかわからなかった。
もし彼女に上手く丸め込まれているのなら、俺が警戒しておかなければならない。
そう思っていた。
しかしベッカ・ドラニアが起こした事件にまつわる報告を聞いている時に、トーウィンからレナ・ミリアムの行動の理由を聞かされた。
『レナ様は、陛下を愛しているから行動しているだけですよ』
それまで俺はずっと彼女のことを疑っていたので、簡単には信じられなかった。
けれどもし仮に、彼女が俺のために動いていたのだとすると、不可解な行動にも説明がつくような気がする。
トーウィンの言うことを鵜呑みにするわけにはいかないが、レナ・ミリアムが俺に好意を抱いているのだとしたら、何を目的として動いているのだろう?
最近の俺は、彼女に興味を持ち始めていた。
後宮にあるレナ・ミリアムの部屋の扉をノックすると、彼女が笑顔で迎え入れてくれる。
「ごきげんよう、陛下」
そう言って綻んだ彼女の顔を、美しいと感じた。
レナ・ミリアムは、黄金に輝く髪を持つ、整った顔立ちの少女だ。歳のわりに大人びているけれど、歳相応の愛らしさも持ち合わせている。
でも、彼女の笑顔は作り物のようだと思う。
いや、実際に笑みを作っているのだろう。
貴族令嬢としてそつがなく、相手に不快感を抱かせるわけでは決してないが、全く本心が読み取れない。
その笑みを見ていると、彼女の全てが怪しく思えて、俺は疑心暗鬼になっていた。
けれどいまは、戸惑いのほうが大きい。
彼女が俺のことを好いているのかもしれないと思うと、どう接していいのかわからなくなるのだ。
トーウィンが言ったことを信じているわけではない。
けれど本当にレナ・ミリアムが俺のために動いてくれているのなら……
「少し……話をしないか」
気がついたら、そんなことを口走っていた。
レナ・ミリアムがやや驚いた顔をしたように思えたが、次の瞬間にはいつもの貴族令嬢らしい笑みに戻っていた。
「陛下のお望みとあれば、喜んで」
彼女はそう言って俺を部屋の奥へと誘う。
俺がこんなことを言うのは珍しい。
妃たちを抱くのは、国王としての責務でしかないと思っているので、彼女たちとは必要以上に親しくしないようにしていた。
正直に言うと、あからさまに媚を売ってくる女たちが苦手だったというのもある。
だが国王として、結婚はするべきだ。
王族の血が途絶えるということは、国の存亡にかかわる。
だから、俺が子をなすのは当然のことだと理解はしていた。
ただ、できれば愛のない結婚ではなく、互いに思い合える相手と添い遂げたい。
もし愛し合うことが難しくても、せめて互いに尊重し合えるような関係を築きたい。
夫婦仲が良い両親を見て育った俺は、密かにそんな思いを抱いていた。
とはいっても、高望みはできないだろうが……
国王の結婚ともなれば政治的なメリットがもっとも優先される。
正妃の決定権を持っているのは俺だが、貴族たちの力関係や、有力貴族の意向を無視するわけにはいかない。
しかも俺は急遽王位を継ぐことになったため、自分の意見を通すだけの力もない。
後宮を適切に管理することすらままならないのが現状だ。だから妃たちが起こす問題への対応は、いつも後手に回っている。
「それで、どのようなお話をいたしましょう?」
レナ・ミリアムに話しかけられて、はっと我に返る。彼女はベッドのほうを示して俺に座るように促しながら、にこにこと微笑んでいた。
彼女に聞かれて初めて、特別に話したい話題があったわけではないと気づく。
ただ、レナ・ミリアムと言葉を交わしたかっただけだ。
俺は気恥ずかしさをごまかすように、黙ってベッドに座った。
レナ・ミリアムはいつも笑っている。
俺がどんな態度を取ろうとも、彼女の笑顔は変わらない。
少し前まではそれが不気味で仕方なかったけれど、いまはなぜかもどかしく思う。
「レナ・ミリアム、お前は……何を考えているんだ?」
「ふふ、私はいつも陛下の幸せを願っておりますわ」
はぐらかされてしまった。
それでも俺は彼女の気持ちを知りたいと思っている。
何を考えているのだろうか。
俺の味方でいようとしてくれているようには見えるが、それはなぜなのか。
本当に、俺のことを愛してくれているのか――
そんなことを考えるけれど、もちろん直接聞けるはずがなかった。
*
陛下の訪れがあった次の日。
いつものように自室で目覚めた私は、陛下に抱かれた幸福に浸っていた。
私の全ては陛下のためにある。
私にできることならなんだってやりたい。
そんな思いがとめどなく溢れてくる。
いま私が陛下のためにできることは、ベッカ様が処罰されたことで落ち着いた後宮が、再び荒れないようにすることだ。
この平穏な空気を乱す人物がいるとすれば、それはきっとリアンカ様だと思う。
リアンカ様は、私が流した偽りの情報を信じ、陛下が私を気に入っていると勘違いしているはずだ。だから私を排除しようと裏で動いているだろう。
そう思って、侍女たちに頼んで何度も探りを入れている。それにもかかわらず、いまだに尻尾はつかめていない。
リアンカ様が何かを企んでいるというのは、私の思いすごしなのだろうか。
いや、もしかしたら私が育てた優秀な侍女たちでも尻尾をつかめないような、有能な手駒がリアンカ様の傍にいるのかもしれない。
そんな危険な存在を野放しにしていたら、後宮が大変なことになってしまう。陛下も正妃を選ぶどころではなくなるだろう。
だから私は、ある手を打つことにした。
「ごめんね、フィーノ。危険かもしれないけれど、リアンカ様のことを探りに行ってもらえないかしら?」
そうフィーノに頼んだ。
リアンカ様はベッカ様が処罰されてから、目立った動きを見せていない。いまのところ、後宮は平和だ。
何も問題が起きていないのなら、静観するのも一つの手かもしれないけれど、私はそうはしない。
こちらから動いてこそ、得られるものがあるのではないかと思うからだ。
いままでフィーノたちは、リアンカ様付きの侍女たちからそれとなく話を聞くなどして情報を集めてくれていた。
けれどその成果が得られていない以上、方法を変える必要がある。
「リアンカ様は必ず何かを企んでいるはずよ。けれど彼女が妃である以上、一人でできることには限りがあるわ。だからきっと誰かに指示をして代わりに動いてもらっていると思うの。彼女に張り付いて、その証拠をつかんできてちょうだい」
これはとても危険な任務だ。
いままでより、もっと物理的にリアンカ様に近づいてもらうことになる。
もしリアンカ様がフィーノたちのように訓練された人間を雇っていたら、探っていることに気づかれるかもしれない。そうなったら、ただでは済まないだろう。
それでも、彼女ならきっと何かつかんできてくれると信じていた。
フィーノは私が育てた侍女たちの中でも腕利きだ。というか、連れてきた侍女は全員腕利きなのだけれど、彼女は四人のうちでもっとも諜報活動に長けている。
私はフィーノの実力を信頼していた。
「はい、レナ様。レナ様の頼みごととあれば、どんなことでもいたしますわ」
フィーノは私の言葉に対して、笑みを浮かべて頷く。
彼女たちは本当に私の自慢の侍女だ。
第二章
あれからフィーノは、私の傍にいることが少なくなった。
彼女が調査に専念できるよう、カアラたちがそれ以外の仕事を全て引き受けたのだ。
フィーノは、一日に一度か二度は私の前に姿を見せるけれど、あとは私の指示した通りリアンカ様のことを探ってくれている。
そんなある日、妃の一人であるディアナ様とお茶をする機会があり、念のため彼女にもフィーノがリアンカ様のことを探っていると話しておくことにした。
「まぁ、そうなの。でもそれじゃあ、フィーノが危険じゃない?」
ディアナ様は私の話を聞くと、カップを置いて心配そうな顔をした。
彼女は王家と血のつながりがあるゴートエア公爵家の娘で、陛下の幼馴染でもある。
後宮が開かれた当初は、最有力の正妃候補と目されていた。
けれどディアナ様には、騎士団長の一人息子であるキラ・フィード様という思い人がおり、そのことを知っている陛下はディアナ様のもとにだけは一切訪れていない。
ディアナ様が後宮に入ったのは、彼女が片思いしていたキラ様の気持ちを知るためだった。
なかなか素直に気持ちを伝えてくれないキラ様にやきもきしていたディアナ様に、陛下が後宮入りを提案したのだそうだ。陛下はキラ様とも幼馴染で、ディアナ様が後宮に入ればキラ様が焦って何か行動を起こすだろうと考えたらしい。
ディアナ様と陛下のもくろみは成功し、キラ様は後宮まで彼女を迎えに来た。二人はめでたく両思いになり、もはやディアナ様には後宮に居続ける理由がない。
だというのに、彼女は私の手伝いがしたいと言って、ここに残ってくださっている。
私にとって心強い協力者の一人だ。
「危険……かもしれませんわ。けれど私は……陛下のためになることを全力でやりたいと思っているのです。私が後宮にいられるのは陛下が正妃を選ぶまでの間だけですし、何より私が少し躊躇った結果、陛下の不利益になるようなことが起きたらと考えると、何かせずにはいられませんわ」
私は自分の決意を伝えるように、ディアナ様の目を見つめて言う。
「それに早くこの件を片づけて、陛下が誰を正妃にしたいと思っているのか突き止めたいのです。リアンカ様を警戒しながら、陛下の本心を探ることは難しいですから」
ディアナ様はしばらく沈黙したあと、ふっと柔らかく微笑んで口を開いた。
「……本当にレナ様はアースのことが大好きですわね」
「だ、大好きって……それは、確かですけれども……」
「そうやって赤くなるところも、とても可愛らしいですわ」
再びお茶の入ったカップを手に取りながら、ディアナ様は楽しそうに笑っている。
微笑ましいものを見るような目で見られて、私は余計に恥ずかしくなる。
「も、もう、そんな風にからかわないでください。それよりも、リアンカ様のことを探るフィーノのバックアップをお願いできますか?」
「ええ、それはもちろんですわ。私の侍女たちにも、フィーノの手助けをするよう指示しておきます」
ディアナ様は幼馴染という関係を生かし、陛下と直接情報のやり取りをしてくださっている。自分の侍女の中から手勢を割いて、情報収集や護衛の手伝いをしてくださることもあった。
ディアナ様も私と同じように、そういう訓練を受けた侍女を後宮に連れてきているのだ。
そんな彼女にフィーノのことを頼み、そのあと少し雑談を交わした。
話題はいま人気の恋愛小説作家、ティーンについてだ。
ティーンの書く小説は庶民だけでなく貴族女性の間でも評判で、私とディアナ様も大好きなのだ。
そして、ティーンは覆面作家でもあった。読者の間では二十代の女性ではないかと噂されているものの、その正体は謎に包まれている。
「早くティーンの新作が読みたいですわ」
ディアナ様がそう言って切なそうにため息をつく。その表情からは、彼女が新作を心底待ち遠しく思っていることがわかった。
「そういえば、最近新しい作品が出ていませんわね。いつものペースだと、そろそろ出てもおかしくない時期ですわよね?」
私はそう答え、次はどんな物語なのだろうかと二人で予想し合う。
それから後宮に関する情報をいくつか共有して、私はディアナ様の部屋を辞した。
フィーノに指示を出してから、一週間ほど経過した。
私は自室の椅子に座りながら、調査に向かわせたフィーノの帰りを待っている。
日はとっくに暮れていて、夕食の時間も過ぎてしまった。
いつもは朝と夕方には必ず顔を見せるのに、今日は一度も姿を見ていない。
何かあったのだろうか。
嫌な予感がした。
リアンカ様は、私に対して思うところがあるはずなのに、相変わらず何もしてこない。
ベッカ様が処罰されるまで行っていた、他の妃への嫌がらせさえもしなくなった。
フィーノが情報収集をしてくれているけれど、成果は得られていない。やはりリアンカ様は何も企んでいないのだろうか。けれど私は、彼女の手駒がフィーノ以上に有能だったら……という可能性を考えてしまう。
妃の一人でしかない私が動かせる駒は、この後宮の中では少ない。私のテリトリーでないこの場所では、情報収集をするにしても限界があった。
ディアナ様たち協力者にも情報収集を頼んでいるが、そちらからも情報は得られていなかった。
「フィーノさん、遅いですね」
後宮から派遣されている侍女の一人がそうつぶやいた。
彼女たちはもともと王宮で働いていたので身元こそ確かだけれど、だからといって簡単に信用できるわけではない。悪気はなくても、彼女たちから私に不利な情報が漏れるかもしれないのだ。
だから彼女たちには、私がフィーノに何をさせているのかも教えていない。彼女には特別な仕事を頼んでいて、しばらく私の傍から離れるとだけ伝えてあった。
「そうね……」
私は侍女の言葉に一言だけ返す。そしてしばらく考えてから、また口を開いた。
「貴方たちはもう下がってもいいわ。あとのことはカアラとメルに頼みます」
何か不測の事態が起きた時に私とカアラたちだけですぐ対応できるようにと、後宮から派遣された三人の侍女を下がらせる。
申し訳ないけれど、彼女たちはこの場にいないほうが都合がいいのだ。
心配そうな顔をしつつも退出していく彼女たちを見ながら、私は情報収集に向かわせたフィーノのことを思う。
リアンカ様について深く探ってもらうというのは、危険な行為だ。自分が命令したことではあるけれど、フィーノが何か危ない目にあっていないかと心配で仕方がない。
嫌な予感を振り払うため、少しだけ散歩をしようと部屋の外に出た。できるだけ身の危険がないよう、人目につきやすい中庭に向かうことにする。
ゆっくり歩く私の後ろから、カアラとメルがついてきた。
後宮は王の妃たちの集う場所ということもあり、とても綺麗に整えられている。特に中庭は、色とりどりの花が咲き誇っており、まるで絵画のように美しい。
私は不安になる心をどうにか落ち着けたくて、その美しい光景を見つめた。そうしていると次第に胸のざわつきが収まってくる。
しばらく庭を眺めていたら、後ろから誰かの足音が聞こえてきた。
「レ、レナ様」
その声を聞いて驚いた。聞き間違いではないだろうかと思う。
けれど振り向いた先には、思った通りの人物――エマーシェル様がいた。
どうしてエマーシェル様が、私に声をかけてくるのだろうか。
そんな疑問が生じたのは当然のことだった。
私はエマーシェル様のことを一方的に気にかけているけれども、侯爵令嬢である私と男爵令嬢である彼女は、気軽に声をかけ合うほどの仲ではない。
もしかして、陛下がエマーシェル様のもとへ通っていることを私が意図的に隠しているのに気づいて、抗議でもしに来たのだろうか。
そんな風に勘ぐってしまったけれど、私を見つめるエマーシェル様の目には敵意など感じられなかった。
エマーシェル様がどういうつもりで声をかけてきたにせよ、私と話しているところを誰かに見られてはまずい。
この中庭は建物の中からよく見える。こうしているいまも、誰が見ているかわからないのだ。
陛下が私のもとへ通っているという噂が流れているため、私は後宮中から注目されている。そんな私がエマーシェル様と親しくしていると誤解されれば、リアンカ様にとって彼女は気に食わない存在になりうる。
私は協力者であるディアナ様たちとでさえ、あまりおおぴっらに交流していないのだ。
それに、ディアナ様たちなら万が一誰かに狙われたとしても、彼女たち自身の力で対応できるが、エマーシェル様には無理だろう。
エマーシェル様を守るためには、一刻も早く彼女から離れなければ。
そう考えていると、エマーシェル様がおどおどした態度で口を開いた。
「あ、あの、私……」
「エマーシェル様、私に話しかけてはいけませんわ」
私は彼女を冷たく突き放した。
少しでも楽しそうに話しているところを見られれば、それだけで私が彼女を特別に気にかけているように見えるだろう。
そんな風に思われてはいけない。むしろ、興味がないという態度を示さなくては。
「え、あの……」
エマーシェル様はやや面食らったようだった。けれど話をやめるつもりはないらしい。何かを言おうと、口を開いたり閉じたりしている。
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