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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか⑨
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ウーログが婚約者になって、ラス兄様が私のお兄様になって一年が経った。十一歳になったお姉様は相変わらず変だ。なんだろう、ラス兄様が来てから益々おかしな様子を加速させている。ぶつぶつと呟く事が多くなった。そして相変わらず理解出来ない文字のような何かをノートに書き続けるようになった。あの文字が何かは、まだ分からない。あの文字が何を意味するのか分かれば、私はお姉様があんな風になってしまった原因の事が何かしら分かるようになるのではないかと思っているのだけど。
お姉様は相変わらず私の事を私としては見てないの。私の事を”イエルノ・カプラッド”という別の何かとしてみているような、何だろう、妹である私自身をきちんと見ていないの。お姉様は表面上とても優しくて、お姉様と深い付き合いをしていない人にとってはとてもいいお姉様なのだ。でも、深く踏み込めばお姉様がちゃんとこちらを見ていない事が分かるから、だから……ラス兄様もお姉様に表面上よくしても心を許していない。
……私とラス兄様は、それなりに仲良くなれたと思う。まだ、家族になって一年しか経過していないから本当の家族と言えるほどの距離にはなれていないけれど。とはいっても、お姉様と私の距離よりも、ラス兄様と私の距離の方が近いと思う。私とお姉様は本当の、血のつながった家族なのにそんな風になってしまって、それを思うと悲しかった。
私は、お姉様と昔のように距離を近づけない。ただ、姉妹として仲良く過ごしたい。本当にそれだけなのに。どうしてその望みがかなわないのだろうか。
お姉様は、おかしさを加速させていく。私はそれをどうにかしたいのに、どうにもできない。
「ねぇ、お姉様――お姉様は、私の事が好き?」
私がそう問いかけたのは、お姉様が私を見ないから。そのことが不安で、怖かったから。もう、お姉様は二度と、私の大好きなお姉様に戻らないのではないかって、怖かったから。だから、期待する。ただ、昔のように私を見てくれないかと。
だけど、お姉様は表面上だけの笑みを浮かべて、私を好きだと口にする。
そのことに私は「嬉しい」と思ってもない事を口にする。お姉様は私を見てない。だから私が少しだけ泣きそうな気持ちになっている事にも気づかない。昔のお姉様は、私がどれだけ表面上取り繕ったとしても気づいてくれたのに。どうして、今は気づいてくれないんだろう。
ねえ、お姉様、私が好きな物を知っている?
ねぇ、お姉様、私が最近、昔苦手だった刺繍を少しずつ上手になってるの知っている?
ねぇ、お姉様、私が花を育てるのに興味を持ってるの知っている?
知らない、よね。お姉様は、知らない。お姉様は、私を見てないから。”イエルノ・カプラッド”という別の何かを見てる。……私を見てたら分かる事、それをお姉様は知らないの。でもそれでもお姉様は私という存在がお姉様を大好きなのを疑わない。私という存在は、ただ無垢にお姉様を慕っているのだと、そんなことを信じ切っているようなそんな雰囲気で、なんだかなぁと思ってしまう。
”イエルノ・カプラッド”はお姉様を慕っている。それを当然としているお姉様。お母様が亡くなって、私自身を見ていないのに、それを当然としている。まぁ、私は変わってしまったお姉様に色々と思う所はあるけれども、お姉様の事は確かに好きだ。でも……お姉様はこんな姉妹の形でいいと思っているのだろうか。
お姉様に手を引かれながら、私は悲しかった。
思わず泣いてしまいそうなぐらいに。でも、貴族としての秩序があった。プライドがあった。私は——私を私としてみないお姉様の前で泣きたくなかった。
だから泣かなかった。
周りに心配もかけたくないから、部屋で少しだけ一人で泣いた。
「イエルノ、何かあったの?」
「……ウーログ、何でもないよ」
「嘘でしょう? 何だか心ここに非ずって感じだよ?」
ウーログとのお茶会があった。
ウーログは、私をよく見てる。だからか、お姉様とのことに落ち込んでいた私に気づいていたようだ。
ウーログには、お姉様の事を言っていない。ウーログは、もしかしたら私とお姉様のおかしな姉妹関係に気づいているかもしれないけれど、踏み込んでは来ていない。
私は時々ウーログにお姉様の事を相談したくなる。私はウローグの事が好きだから。心を許したくなってしまっているから。けれども、私は誰かに心の内を見せるのは怖かった。
お姉様のように、親しくしていた存在が変わってしまうのではないかという懸念も強かったから。言ってしまえば私は、怖かったのだ。
ウーログもまた、変わるのではないか。私が好きになればなるほど、近づけば近づくほど変わってしまうのではないかと。そればかりを思ってしまっていた。
だからウーログの問いかけをはぐらかした。
私はその時、お姉様の事をウーログに相談する事はないだろうと思っていた。
お姉様は相変わらず私の事を私としては見てないの。私の事を”イエルノ・カプラッド”という別の何かとしてみているような、何だろう、妹である私自身をきちんと見ていないの。お姉様は表面上とても優しくて、お姉様と深い付き合いをしていない人にとってはとてもいいお姉様なのだ。でも、深く踏み込めばお姉様がちゃんとこちらを見ていない事が分かるから、だから……ラス兄様もお姉様に表面上よくしても心を許していない。
……私とラス兄様は、それなりに仲良くなれたと思う。まだ、家族になって一年しか経過していないから本当の家族と言えるほどの距離にはなれていないけれど。とはいっても、お姉様と私の距離よりも、ラス兄様と私の距離の方が近いと思う。私とお姉様は本当の、血のつながった家族なのにそんな風になってしまって、それを思うと悲しかった。
私は、お姉様と昔のように距離を近づけない。ただ、姉妹として仲良く過ごしたい。本当にそれだけなのに。どうしてその望みがかなわないのだろうか。
お姉様は、おかしさを加速させていく。私はそれをどうにかしたいのに、どうにもできない。
「ねぇ、お姉様――お姉様は、私の事が好き?」
私がそう問いかけたのは、お姉様が私を見ないから。そのことが不安で、怖かったから。もう、お姉様は二度と、私の大好きなお姉様に戻らないのではないかって、怖かったから。だから、期待する。ただ、昔のように私を見てくれないかと。
だけど、お姉様は表面上だけの笑みを浮かべて、私を好きだと口にする。
そのことに私は「嬉しい」と思ってもない事を口にする。お姉様は私を見てない。だから私が少しだけ泣きそうな気持ちになっている事にも気づかない。昔のお姉様は、私がどれだけ表面上取り繕ったとしても気づいてくれたのに。どうして、今は気づいてくれないんだろう。
ねえ、お姉様、私が好きな物を知っている?
ねぇ、お姉様、私が最近、昔苦手だった刺繍を少しずつ上手になってるの知っている?
ねぇ、お姉様、私が花を育てるのに興味を持ってるの知っている?
知らない、よね。お姉様は、知らない。お姉様は、私を見てないから。”イエルノ・カプラッド”という別の何かを見てる。……私を見てたら分かる事、それをお姉様は知らないの。でもそれでもお姉様は私という存在がお姉様を大好きなのを疑わない。私という存在は、ただ無垢にお姉様を慕っているのだと、そんなことを信じ切っているようなそんな雰囲気で、なんだかなぁと思ってしまう。
”イエルノ・カプラッド”はお姉様を慕っている。それを当然としているお姉様。お母様が亡くなって、私自身を見ていないのに、それを当然としている。まぁ、私は変わってしまったお姉様に色々と思う所はあるけれども、お姉様の事は確かに好きだ。でも……お姉様はこんな姉妹の形でいいと思っているのだろうか。
お姉様に手を引かれながら、私は悲しかった。
思わず泣いてしまいそうなぐらいに。でも、貴族としての秩序があった。プライドがあった。私は——私を私としてみないお姉様の前で泣きたくなかった。
だから泣かなかった。
周りに心配もかけたくないから、部屋で少しだけ一人で泣いた。
「イエルノ、何かあったの?」
「……ウーログ、何でもないよ」
「嘘でしょう? 何だか心ここに非ずって感じだよ?」
ウーログとのお茶会があった。
ウーログは、私をよく見てる。だからか、お姉様とのことに落ち込んでいた私に気づいていたようだ。
ウーログには、お姉様の事を言っていない。ウーログは、もしかしたら私とお姉様のおかしな姉妹関係に気づいているかもしれないけれど、踏み込んでは来ていない。
私は時々ウーログにお姉様の事を相談したくなる。私はウローグの事が好きだから。心を許したくなってしまっているから。けれども、私は誰かに心の内を見せるのは怖かった。
お姉様のように、親しくしていた存在が変わってしまうのではないかという懸念も強かったから。言ってしまえば私は、怖かったのだ。
ウーログもまた、変わるのではないか。私が好きになればなるほど、近づけば近づくほど変わってしまうのではないかと。そればかりを思ってしまっていた。
だからウーログの問いかけをはぐらかした。
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