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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか⑲
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お姉様にメモを書いても伝わらなかった事は、次にウーログに会った時に告げた。そしたらウーログは困ったような表情をしていた。
「……アクノール様は、本当にここが乙女ゲームの世界だと思い込んでいるんだね」
「うん……。それに私の文字だって分かるように書いたのに、お姉様は何も言わなかった。お姉様は本当に私の事をちゃんと見ていないんだってわかったわ」
「文字ぐらい見たら分かるだろうに」
「うん……。あと、ウーログ、私、ウーログに手紙でお姉様の事を伝えられるようにしたいんだけど。婚約者とは言っても頻繁に会えるわけでもないから。でも、お姉様の事を周りに知られないようにしたいの」
私は本当は、すぐにウーログに相談をしたかった。お姉様が私のメモに何も思ってくれなかったって。でも婚約者とはいえ、ウーログに毎日のように会えるわけではなくて、相談が出来なくてまた悩んでしまった。ウーログに相談するまでずっと一人で抱えていて、一人でなんでも考えていたのに。それなのに、こうして相談出来る相手が出来ると甘えてしまっている。
手紙でウーログに相談してみる事も考えたけど、その手紙が誰かに見られないとは限らない。私はお姉様がおかしくなってしまっている事を周りに悟られたくはなかった。
此処を乙女げぇむなんてものの世界だと思っているなんて、周りから見たら頭がおかしいと言えるものなのだから。だからこそ、最低限誰にも知られないようにしなければならない。
「じゃあ、暗号でも作ってみる? 簡単なやり取りしかできないだろうけど。でも簡単なやり取りならきっと出来るだろうから」
「うん……」
私が頷けば、ウーログはこういう暗号はどう? などと言いながら色々と考えてくれた。私とウーログだけの知る簡単な暗号が出来た。ウーログは前世の記憶があるからかもしれないけれど、頭が良い。私よりも頭の回転が速くてそういう所も嫌いじゃない。
「それで、アクノール様は変わる気配ないんだよね」
「うん。私、どうするべきか分からなくて。でも下手な行動を起こして、お姉様が益々おかしくなってしまったらどうしたらいいか分からないもの」
「誰か他の人の助けも借りてどうにかするとかは?」
「……なるべくお姉様がおかしい事を他の人に知られたくないの」
お姉様がおかしい事をなるべく広めたくない。お姉様が正気に戻った時の傷になってしまうから。それに私はウーログの事を信頼しているからこそ、転生者とか、乙女げぇむとかいう話が信じられたけれど――きっと、それ以外の人達にとってはウーログの言葉も信じられないと思う。お父様だってウーログが、お姉様が書いている文字が異世界の言葉だって告げたとして信じてくれるか分からない。寧ろお姉様は表面上はちゃんとしているから、ウーログが頭がおかしいと思われてしまうかもしれない。
お姉様がおかしくなっているという事は最低限言えるかもしれないけれど、転生とかそのあたりの事は他の人には言えない。
「イエルノはもっと周りに頼ってもいいと思うんだけどね。まぁ、とりあえず僕とイエルノでしばらくは頑張ってみようか。それでうまくいかなければ他の手も借りよう。僕とイエルノの二人だけの手では手に負えない可能性もあるんだから」
「ええ」
「まずは、そうだね。乙女ゲームとは違う部分をもっとアクノール様に見せつける事かな? イエルノだとゲーム上では姉を慕っている妹でしかなかったようだから、そうではない事を見せつける事。あとは、僕はゲーム上存在さえもしていなかったわけだから、僕がアクノール様にもっと接触してみるとか。それで何か変わるかは分からないけれど……」
「じゃあ、私がお姉様なんか嫌いって態度を少しでも見せたらいいかしら?」
「……そうだね。出来るなら、アクノール様と仲良くないといった感じで接してみたらどうかな。それであれ? ってアクノール様が思ってくれるのならば少しはどうにかできると思う。寧ろ距離を置いたりしても何も感じてくれないようだったら、それの方が何かしら考えないといけないだろうね」
「……そうね。私の文字に気づいてくれなかったように、お姉様は私が態度を変えても気づいてくれない可能性もあるのよね」
「うん。そうだよ。その場合が一番、きつい展開だね。こちらが何をどうしても、アクノール様が此処をゲームだと決めつけているって事なんだから。そうなってしまった場合は、大変だけどね」
お姉様への態度を冷たくしてみる。――お姉様が昔のままのお姉様なら私がそんな態度をしていたら私を気にかけてくれた。お姉様は私を気にかけてくれたりするだろうか。気にかけていてほしい。私をちゃんと見てほしい。
「お姉様に冷たくしてみるわ。距離を置いてみる。それで確認してみるわ」
「うん。僕もこちらに来た時に接触できそうなときに接触してみるよ」
――お姉様が文字に気づいてくれなくて落ちこんだけど、一先ずやれるだけやってみよう。
「……アクノール様は、本当にここが乙女ゲームの世界だと思い込んでいるんだね」
「うん……。それに私の文字だって分かるように書いたのに、お姉様は何も言わなかった。お姉様は本当に私の事をちゃんと見ていないんだってわかったわ」
「文字ぐらい見たら分かるだろうに」
「うん……。あと、ウーログ、私、ウーログに手紙でお姉様の事を伝えられるようにしたいんだけど。婚約者とは言っても頻繁に会えるわけでもないから。でも、お姉様の事を周りに知られないようにしたいの」
私は本当は、すぐにウーログに相談をしたかった。お姉様が私のメモに何も思ってくれなかったって。でも婚約者とはいえ、ウーログに毎日のように会えるわけではなくて、相談が出来なくてまた悩んでしまった。ウーログに相談するまでずっと一人で抱えていて、一人でなんでも考えていたのに。それなのに、こうして相談出来る相手が出来ると甘えてしまっている。
手紙でウーログに相談してみる事も考えたけど、その手紙が誰かに見られないとは限らない。私はお姉様がおかしくなってしまっている事を周りに悟られたくはなかった。
此処を乙女げぇむなんてものの世界だと思っているなんて、周りから見たら頭がおかしいと言えるものなのだから。だからこそ、最低限誰にも知られないようにしなければならない。
「じゃあ、暗号でも作ってみる? 簡単なやり取りしかできないだろうけど。でも簡単なやり取りならきっと出来るだろうから」
「うん……」
私が頷けば、ウーログはこういう暗号はどう? などと言いながら色々と考えてくれた。私とウーログだけの知る簡単な暗号が出来た。ウーログは前世の記憶があるからかもしれないけれど、頭が良い。私よりも頭の回転が速くてそういう所も嫌いじゃない。
「それで、アクノール様は変わる気配ないんだよね」
「うん。私、どうするべきか分からなくて。でも下手な行動を起こして、お姉様が益々おかしくなってしまったらどうしたらいいか分からないもの」
「誰か他の人の助けも借りてどうにかするとかは?」
「……なるべくお姉様がおかしい事を他の人に知られたくないの」
お姉様がおかしい事をなるべく広めたくない。お姉様が正気に戻った時の傷になってしまうから。それに私はウーログの事を信頼しているからこそ、転生者とか、乙女げぇむとかいう話が信じられたけれど――きっと、それ以外の人達にとってはウーログの言葉も信じられないと思う。お父様だってウーログが、お姉様が書いている文字が異世界の言葉だって告げたとして信じてくれるか分からない。寧ろお姉様は表面上はちゃんとしているから、ウーログが頭がおかしいと思われてしまうかもしれない。
お姉様がおかしくなっているという事は最低限言えるかもしれないけれど、転生とかそのあたりの事は他の人には言えない。
「イエルノはもっと周りに頼ってもいいと思うんだけどね。まぁ、とりあえず僕とイエルノでしばらくは頑張ってみようか。それでうまくいかなければ他の手も借りよう。僕とイエルノの二人だけの手では手に負えない可能性もあるんだから」
「ええ」
「まずは、そうだね。乙女ゲームとは違う部分をもっとアクノール様に見せつける事かな? イエルノだとゲーム上では姉を慕っている妹でしかなかったようだから、そうではない事を見せつける事。あとは、僕はゲーム上存在さえもしていなかったわけだから、僕がアクノール様にもっと接触してみるとか。それで何か変わるかは分からないけれど……」
「じゃあ、私がお姉様なんか嫌いって態度を少しでも見せたらいいかしら?」
「……そうだね。出来るなら、アクノール様と仲良くないといった感じで接してみたらどうかな。それであれ? ってアクノール様が思ってくれるのならば少しはどうにかできると思う。寧ろ距離を置いたりしても何も感じてくれないようだったら、それの方が何かしら考えないといけないだろうね」
「……そうね。私の文字に気づいてくれなかったように、お姉様は私が態度を変えても気づいてくれない可能性もあるのよね」
「うん。そうだよ。その場合が一番、きつい展開だね。こちらが何をどうしても、アクノール様が此処をゲームだと決めつけているって事なんだから。そうなってしまった場合は、大変だけどね」
お姉様への態度を冷たくしてみる。――お姉様が昔のままのお姉様なら私がそんな態度をしていたら私を気にかけてくれた。お姉様は私を気にかけてくれたりするだろうか。気にかけていてほしい。私をちゃんと見てほしい。
「お姉様に冷たくしてみるわ。距離を置いてみる。それで確認してみるわ」
「うん。僕もこちらに来た時に接触できそうなときに接触してみるよ」
――お姉様が文字に気づいてくれなくて落ちこんだけど、一先ずやれるだけやってみよう。
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