私は大好きなお姉様をざまぁする

池中織奈

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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㉖

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 デル兄様と連絡を取る許可をお父様はくれた。もちろん、中身はお父様に見てもらってから送る事にはなっている。デル兄様への手紙は、ウーログと一緒に中身を考えた。
 私はお姉様に現実を見てほしいというそれだけの気持ちで動いている。これはお姉様のためなどでは決してない。ただ私が悲しいから、自分のために動いている。ちゃんと周りを見つめてほしい、こちらをきちんと見てほしい。そう思っているのはお姉様にとって近い位置にいる人たちだけで、遠くからお姉様を見ている人にとってはお姉様は公爵令嬢として問題はないのだから。
 それでも、私はお姉様に見てほしいのだ。
 だからこそ、そのために動いている。
「……お父様の言葉で、お姉様は我に返ると思う?」
「うーん、無理じゃない? イエルノの言葉にもひどい取り乱しようだったんだろう? だったら、簡単に戻るわけがないと思う。寧ろ同じような取り乱し方をするかもしれない。公爵様はもしかしたらこのまま表にアクノール様を出さない選択をするかもね」
「あー……その可能性もあるわ。お姉様が私に取り乱したように取り乱すのならば、公爵令嬢としては相応しくない。たった一人の言葉であれだけ取り乱すのなら、もしかしたら公の場に出た時にお姉様は取り返しのつかないことをするかもしれない。その懸念があるなら、貴族の考えとしたら病弱にでもして閉じ込める方が楽だもの。……でもお父様は私に約束をしてくれたわ。学園卒業時にもしお姉様がこのままなら、催しをさせてくれるって。だからきっと閉じ込める事はしないと思うわ。ただ流石に公の場に出すのは控えるかもしれないけれど」
 少なくとも学園に滞在中までは、お姉様は学生として扱われる。まだ、貴族社会で一人前の大人として出る前の子供として。……だからこそ、タイムリミットは学園卒業時までなのだ。
 卒業してしまえば一介の貴族として扱われてしまう。まぁ、学生の間もアプラッド公爵家の一員としては扱われはするけど。……学園時代の過ち程度ならまだ、おおめに見られるはずなのだ。卒業後よりも。
「そっか。なら卒業するまでが勝負だね」
「ええ。そうだわ。あと六年。その間でどうにかお姉様の意識を変化させられればいいのだけど」
 六年もあるではない。六年しかないのだ。
 私は二年後にしか学園に入学できない。だからこそ、学園でのお姉様の事をデル兄様から聞く必要がある。そしてデル兄様にお姉様が現実を見るように動くのを手伝ってもらえないかと思った。もちろん、デル兄様もお姉様に見てもらおうと努力しているのを知っている。その効果がないからこそ、デル兄様の心が離れて行っている事を知っている。
 そんなデル兄様に協力を仰ぐのは酷かもしれない。それをやったところでお姉様がちゃんとデル兄様を見てくれるかも分からないから。それでも私は、出来うる限りの事をしたい。
「こんな形の文章なら良いかしら?」
「うん。いいんじゃないかな。まぁ、ただ許可はもらっているとはいえ、露見はしない方がいいだろうね。婚約者以外に文を書いているのは体裁に悪いから」
「分かってるわ。だからウーログも少しの文と名前を書いてもらえるかしら? 婚約者との連名なら、露見しても少しは良いでしょう?」
「ああ、それはいいね。これから殿下への手紙は俺も一緒に文を書くよ。それにもし学園に入学してからイエルノが殿下に用事がある時は俺が話を通すのは出来そうだとは思う。イエルノが二人きりとかになったらよからぬ噂が立つしね」
「ええ。その時は一緒にお願い。ウーログが居てくれて心強いわ」
「まぁ、俺に出来ることなら幾らでも手伝うよ。可愛い婚約者の頼みだし」
「……もうっ、急にそんなこと言わないでくれる?」
「照れて、イエルノは可愛いよね」
 ……ウーログはにこにこしている。しかし可愛いと言われると嬉しいけど恥ずかしいのだ。だから恥ずかしさをごまかすように口からはそんな言葉を言わないでともらしてしまうが、心の奥底では言ってもらって嬉しいという気持ちがある。
 もし急にそういう言葉を言われなくなったら私は、とても悲しくなるだろう。少しぐらい素直な可愛い反応をしたほうがいいのかしら。とはいえ、恥ずかしい。……いつか、もっと可愛い反応をしてみようと決意する。そういう反応をしたらウーログは喜んでくれるだろうか。
「どうしたの、イエルノ?」
「何でもないわ。それより、お姉様のことだけど……、現状私は学園に入学していないから、長期休みぐらいしか直接お姉様に対して何かを働きかける事は出来ないわ。デル兄様には手紙をしたためるとして、後は何をすべきかしらね……」
「直接的に働きかける事が出来ないならゆっくりするのもいいと思うよ。イエルノはアクノール様がああなってからずっとアクノール様が現実を見てくれることばかり考えてたんでしょ。だったらイエルノも疲れてると思うんだ。だからこそ、ゆっくりしてみたらどうかな? 次にアクノール様が帰ってくるまででいいから」
「……そうね、考えとくわ」
 私はウーログの言葉にただ、そう頷いた。



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