私は大好きなお姉様をざまぁする

池中織奈

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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㊺

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「自分の世界に入っている、ですか?」
「ええ。そうです。お姉様はある事がきっかけでずっと自分の世界に入るようになりました。お姉様は自分が信じているものだけを信じています。――そして自分が信じているもの以外の言葉を聞かなくなりました」
 お姉様は、一見して普通のように見えてもずっと自分の世界だけを見つめている。
 それ以外はどうでもいいとでもいうように――ただそれだけを見据えている。
 ヒーナは突然私にこんなことを言われて意味が分からないだろう。突然、こんなことを語りだす私を不思議に思うかもしれない。おかしいとそんな風に言われるかもしれない。
 ――それでも不思議とヒーナにならば何でも話せるような気持ちになる。
 貴族としてこんなことばかり言ってはいけない。なのに、私はヒーナにならいいのではないかというそういう気持ちでいっぱいである。もう少し気を引き締めなければならないわね。
「お姉様はずっとそうです。私のことも、周りの事も欠片も見ていない。ヒーナのことをお姉様は気にしているの。そしてヒーナのことを自分の思い込みで語っているのよ。だからヒーナの言葉も結局聞かないわ」
 私の言葉はお姉様には届かない。私の行動も何一つとして、お姉様には響かない。
「……そうなのですか? 確かにアクノール様は私の話を聞きませんがそれは私が元平民だからだと思っていたのですが、妹であるイエルノ様の言葉も聞かないのですか?」
 ヒーナは少し驚いたような様子を私に見せる。
 ヒーナにとって、家族とはもっと暖かいものなのかもしれない。ヒーナは伯爵家に引き取られることになるまで、血のつながった家族ではないけれど、優しい周りに囲まれていたと聞く。そして今の家も、戸惑いはあったようだけど、伯爵はヒーナを慈しみ、ヒーナも彼らを頼りにしている。
 ヒーナは今まで話しても話が通じない――そういう相手は今までいなかったのかもしれない。でも確かに私もお姉様が変わらなければ、ヒーナのような考えをしていたかもしれない。王侯貴族だとしても、家族や親しい人達だと話は流石に通じるものだ。私もお姉様が変わらなかったら、私は大切な家族と話が通じないなんていう状況を想像もしなかったかもしれない。
 でもそういうもし、~だったらなんて考えても仕方がない話だ。
「……ええ。家族でもお姉様は私の話を聞かないですわ。いいえ、左から右に流しているというか、聞いているようで聞いていないというべきでしょうか。私の言葉は特にお姉様は聞かないですね。もしかしたらヒーナの言葉なら聞くのではと思ったけれど、聞かなかったから本当に誰の言葉も聞かないでしょう」
 主人公であるヒーナの実際の姿を知れば、何かしら思ってくれるのだろうかとも思っていた。それでもそういうことはなかった。主人公の言葉も、お相手の人たちの言葉だって聞かない。
 だったら誰の言葉も聞かないのかもしれない。
 それでも私はお姉様がちゃんと、私を見てくれることを望んでいる。
「だからごめんなさい。先に謝っておくわ。お姉様はきっともっとこれから自分の世界に入って、ヒーナの事をまた困惑させてしまうかもしれない。でもお姉様が、本当に何か大事を起こさないようにはちゃんと私たちの方で見ておくわ。ヒーナのことをお姉様はとても気にしているからきっとお姉様はヒーナに何か言うかもしれない。ヒーナが……お姉様に関わりたくないというのならば適当に流してくれたらいいわ。お姉様はヒーナが何を言ってもきっと、お姉様の見ているヒーナしか見ないから」
 私はそう言いながら、本当に何を言ってもきっと自分の知っているヒーナしか信じない。だからもしヒーナがお姉様に関わりたくないというのならば、お姉様を適当に流せばいい。
 それが一番いいのではないかと思う。
「でももしヒーナがお姉様とちゃんと話したいというのならば、話してくれたらそれはそれで私は嬉しいわ。私はお姉様がちゃんと話を聞いてくれることを望んでいるから。でもそんなことを言ったら多分お姉様は益々ヒーナに変な風に話しかけるかもしれないの。だから……よく考えてからにしてほしいわ。ただそういう行動をするとヒーナの穏やかな学園生活が崩れるかもしれないから」
 お姉様にもとに戻ってほしい私の意見としてみればヒーナの言葉をお姉様に伝えてもらった方が良い。だって少し嫉妬してしまいそうだけれど、一番お姉様に影響があるのは、ヒーナだから。だけど、ヒーナの友人になった私としてはヒーナにはお姉様に関わらない方がいいのではないかと思っている。
 どちらにせよ、ヒーナが主人公という存在な限り、お姉様はヒーナに何かしら接触はし続ける。折角こうして楽しく学園生活を送っているヒーナにそんなものに関わらせてしまっていいのかとそう思ってしまった。
「イエルノ様、話してくれてありがとうございます。私は……」
 そしてヒーナは私の言葉に対して、口を開いた。

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