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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか51
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お姉様は相変わらずだ。
いつも通り、乙女げぇむの世界を一人生きている。
中等部の頃と比べて、お姉様がこの世界を見ていない。それがよく分かるから――、何だか不思議な気持ちになる。
そして何処までも私を見ないお姉様を見ると悲しくなって、やっぱり嫌いだと感じてしまう。
お姉様はこの世界を乙女げぇむの世界と信じているけれども、やっぱりこの世界は乙女げぇむとは違う。お姉様はその現実と自分の周りのずれを全く理解しない。
いつも通りの日常――、お姉様だけが現実を見ていないままに日は過ぎていく。
夏がやってくる。
お姉様は乙女げぇむの中のイベントというものが起こっていると思い込んでいるようだった。あくまでヒーナもデル兄様も普通に学園生活を送っていただけだ。特に学園を揺るがすような出来事が起こったわけではない。それでもお姉様はそういう出来事が起こっているという体で動いている。
そんなことをしているからお姉様は浮いている。お姉様はたまに憂いを帯びた表情は浮かべているらしい。乙女げぇむの世界ではお姉様が嫉妬に狂って行動を起こし、デル兄様に断罪をかけられる。今のお姉様は何もヒーナにしていないけれど、それでも冤罪でそういうことをされるかもとたまに考えているらしい。相変わらず私の事は眼中にない。
夏休みは領地へと戻った。領地へと戻ってお父様と過ごした。お父様は心ここにあらずというお姉様の姿にショックを受けていた。
お父様の話も聞かないお姉様。
私のことも欠片も見ないお姉様。
――お姉様とお父様と過ごす夏が終わった。お姉様はヒーナとデル兄様の事を気にしてはいた。けれど、夏休みにお姉様が暴走しそうになったこともある。ヒーナとデル兄様が一緒に過ごしていると思い込んで、デル兄様の元にいって不思議そうな顔をしていた。……うん、何でお姉様という婚約者がいるのにデル兄様がヒーナと仲良く過ごしていると思っているのか。
デル兄様はヒーナに好意を抱いたとしても、そんな不誠実なことはしないのに。
お姉様は不誠実なことをデル兄様がするとやっぱり思い込んでいる。現実のデル兄様を見ていないから、デル兄様が悲しそうな顔をしていたのもやっぱり気づかなかった。あとヒーナが此処にいるはず! というのを乙女げぇむ情報で知っているからか街に出たりした。実際にヒーナがそこにいて驚いたけれど、なんとか大きな騒ぎにはならなくて良かった。
下手に領民に見られたら噂になったりするもの……。そう思ってほっとした。
ヒーナは長期休みに私に会えて嬉しかったと笑ってくれて、私も嬉しかったけれど。
なんとか事なきを得て、ほっとしながら新学期が始まった。
新学期が始まってしばらくがして、ヒーナの様子が少しだけおかしくなった。
ヒーナには何か不安なことでもあるのだろうか? いつもお茶会を一緒に過ごしているから、何かヒーナの中で思う所があるのは分かった。
「ヒーナ……。何か悩んでいるのかしら。もしかしてお姉様のこと? ごめんなさいね」
「いえ……アクノール様のことではないです。アクノール様が何を言ってきても、私はアクノール様に心からの言葉を伝えるだけですから」
ヒーナはお姉様に悪感情を抱いたりはしていないらしい。私のようにお姉様を嫌い――といったそういう感情をヒーナは感じていない。でもヒーナの心が幾ら広かったとしてもそのうちヒーナもお姉様に関わりたくないと思うかもしれない。そう思ったのだけど、そうではないらしい。
「……私はアクノール様の事は、素敵な人だと思います。よく分からないことを私には言ってますけれど、それでもそれを抜きにしたらアクノール様は所作も綺麗で、美しい人で、かっこいいなぁって思います」
お姉様は周りを見ていないということと、現実を見ずによく分からないことを言う――というその点を抜きにしたら、お姉様は素敵な女性だ。私だって、お姉様へのあこがれがないわけではない。ヒーナがお姉様にそう言う感情を抱いてくれていることがちょっと嬉しかったりする。
私の気持ちは、お姉様に対する好きという感情と嫌いという感情がせめぎあっていて、複雑な気持ちでいっぱいだ。
「そうなの、ありがとう。お姉様のことをそう言ってくれて」
私の言葉にヒーナも笑ってくれた。
それから何気ない話を二人で交わしていたのだが、ヒーナが言いにくそうに口を開いた。
「あ、あの、イエルノ様」
「どうしたの、ヒーナ」
「わ、私ですね……。デルデ殿下のことを、その……好きになってしまったんです」
「え」
ヒーナが悩んでいた理由はこれだったのかと思い至った。デル兄様はヒーナに恋した。そしてヒーナもデル兄様に恋をした。乙女げぇむの世界とこの現実は違うけれど、それでも共通していることは確かにあるのだろう。
「でもあのアクノール様という婚約者様がいるのは分かっています!! ただ好きでいることだけ……許してほしいなって。ごめんなさい。こんなことアクノール様の妹であるイエルノ様に言ってしまって。自分でもあさましいって思うんですけど……誰かに子の恋心を肯定してほしいって思ってしまって」
そんなことを正直に私に伝えるヒーナに対し、私は笑った。
「ヒーナ、お姉様のことは気にしなくていいわ。貴方がデル兄様を好きでいることは自由よ」
デル兄様はきっと喜ぶだろう。私もデル兄様が幸せになってくれるのならば嬉しい。――ただ卒業までの間、その恋心を継続してくれるかは分からない。だから私は――、これだけは言っておくことにした。
「ヒーナ、卒業式まで待てる?」
「え、それって――」
「詳しい事は言えないけれど、貴方がデル兄様のことを本当に思っているなら待ってほしいの」
――本当にデル兄様のことを好きなら待ってほしい。そんな詳細を全く言わない私の言葉。そんな言葉を聞く必要はヒーナはない。
だけど私は、デル兄様にとってもヒーナにとっても良い結末になればいいと思う。
いつも通り、乙女げぇむの世界を一人生きている。
中等部の頃と比べて、お姉様がこの世界を見ていない。それがよく分かるから――、何だか不思議な気持ちになる。
そして何処までも私を見ないお姉様を見ると悲しくなって、やっぱり嫌いだと感じてしまう。
お姉様はこの世界を乙女げぇむの世界と信じているけれども、やっぱりこの世界は乙女げぇむとは違う。お姉様はその現実と自分の周りのずれを全く理解しない。
いつも通りの日常――、お姉様だけが現実を見ていないままに日は過ぎていく。
夏がやってくる。
お姉様は乙女げぇむの中のイベントというものが起こっていると思い込んでいるようだった。あくまでヒーナもデル兄様も普通に学園生活を送っていただけだ。特に学園を揺るがすような出来事が起こったわけではない。それでもお姉様はそういう出来事が起こっているという体で動いている。
そんなことをしているからお姉様は浮いている。お姉様はたまに憂いを帯びた表情は浮かべているらしい。乙女げぇむの世界ではお姉様が嫉妬に狂って行動を起こし、デル兄様に断罪をかけられる。今のお姉様は何もヒーナにしていないけれど、それでも冤罪でそういうことをされるかもとたまに考えているらしい。相変わらず私の事は眼中にない。
夏休みは領地へと戻った。領地へと戻ってお父様と過ごした。お父様は心ここにあらずというお姉様の姿にショックを受けていた。
お父様の話も聞かないお姉様。
私のことも欠片も見ないお姉様。
――お姉様とお父様と過ごす夏が終わった。お姉様はヒーナとデル兄様の事を気にしてはいた。けれど、夏休みにお姉様が暴走しそうになったこともある。ヒーナとデル兄様が一緒に過ごしていると思い込んで、デル兄様の元にいって不思議そうな顔をしていた。……うん、何でお姉様という婚約者がいるのにデル兄様がヒーナと仲良く過ごしていると思っているのか。
デル兄様はヒーナに好意を抱いたとしても、そんな不誠実なことはしないのに。
お姉様は不誠実なことをデル兄様がするとやっぱり思い込んでいる。現実のデル兄様を見ていないから、デル兄様が悲しそうな顔をしていたのもやっぱり気づかなかった。あとヒーナが此処にいるはず! というのを乙女げぇむ情報で知っているからか街に出たりした。実際にヒーナがそこにいて驚いたけれど、なんとか大きな騒ぎにはならなくて良かった。
下手に領民に見られたら噂になったりするもの……。そう思ってほっとした。
ヒーナは長期休みに私に会えて嬉しかったと笑ってくれて、私も嬉しかったけれど。
なんとか事なきを得て、ほっとしながら新学期が始まった。
新学期が始まってしばらくがして、ヒーナの様子が少しだけおかしくなった。
ヒーナには何か不安なことでもあるのだろうか? いつもお茶会を一緒に過ごしているから、何かヒーナの中で思う所があるのは分かった。
「ヒーナ……。何か悩んでいるのかしら。もしかしてお姉様のこと? ごめんなさいね」
「いえ……アクノール様のことではないです。アクノール様が何を言ってきても、私はアクノール様に心からの言葉を伝えるだけですから」
ヒーナはお姉様に悪感情を抱いたりはしていないらしい。私のようにお姉様を嫌い――といったそういう感情をヒーナは感じていない。でもヒーナの心が幾ら広かったとしてもそのうちヒーナもお姉様に関わりたくないと思うかもしれない。そう思ったのだけど、そうではないらしい。
「……私はアクノール様の事は、素敵な人だと思います。よく分からないことを私には言ってますけれど、それでもそれを抜きにしたらアクノール様は所作も綺麗で、美しい人で、かっこいいなぁって思います」
お姉様は周りを見ていないということと、現実を見ずによく分からないことを言う――というその点を抜きにしたら、お姉様は素敵な女性だ。私だって、お姉様へのあこがれがないわけではない。ヒーナがお姉様にそう言う感情を抱いてくれていることがちょっと嬉しかったりする。
私の気持ちは、お姉様に対する好きという感情と嫌いという感情がせめぎあっていて、複雑な気持ちでいっぱいだ。
「そうなの、ありがとう。お姉様のことをそう言ってくれて」
私の言葉にヒーナも笑ってくれた。
それから何気ない話を二人で交わしていたのだが、ヒーナが言いにくそうに口を開いた。
「あ、あの、イエルノ様」
「どうしたの、ヒーナ」
「わ、私ですね……。デルデ殿下のことを、その……好きになってしまったんです」
「え」
ヒーナが悩んでいた理由はこれだったのかと思い至った。デル兄様はヒーナに恋した。そしてヒーナもデル兄様に恋をした。乙女げぇむの世界とこの現実は違うけれど、それでも共通していることは確かにあるのだろう。
「でもあのアクノール様という婚約者様がいるのは分かっています!! ただ好きでいることだけ……許してほしいなって。ごめんなさい。こんなことアクノール様の妹であるイエルノ様に言ってしまって。自分でもあさましいって思うんですけど……誰かに子の恋心を肯定してほしいって思ってしまって」
そんなことを正直に私に伝えるヒーナに対し、私は笑った。
「ヒーナ、お姉様のことは気にしなくていいわ。貴方がデル兄様を好きでいることは自由よ」
デル兄様はきっと喜ぶだろう。私もデル兄様が幸せになってくれるのならば嬉しい。――ただ卒業までの間、その恋心を継続してくれるかは分からない。だから私は――、これだけは言っておくことにした。
「ヒーナ、卒業式まで待てる?」
「え、それって――」
「詳しい事は言えないけれど、貴方がデル兄様のことを本当に思っているなら待ってほしいの」
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