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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか55
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――催しが行われる日がやってきた。
ざまぁが決行されるまでの間も、お姉様が現実を見てくれるようになればって、そればかりずっと考えていた。ざまぁへの準備も進めていたけれど、それの合間合間で私はお姉様に働きかけていた。
「お姉様――、最近は学園はどうですか?」
「お姉様、ヒーナさんは学園では皆さんに好かれてますね」
「お姉様……私が生徒会として仕事を一生懸命やっているの」
「お姉様、卒業したらお姉様はどうなさいますか?」
私は……お姉様に現実の事を何度も語り掛けた。でもお姉様は完全に、乙女げぇむのことしか見ていない。ただ自分の思うがままの”乙女げぇむの世界”の事だけを話していた。
私はお姉様が、周りと接しないようにデル兄様と一緒に行動を起こしていた。それはただでさえお姉様の様子が徐々におかしくなって、お姉様は周りと距離をおかれている。今のお姉様は……、もっと周りを見ていない。乙女げぇむの世界の終わりがもうすぐやってくる――。
その事実にお姉様は益々、自分の世界へと入り込んでしまっているのだ。
だからお姉様の事情を知る人たちや、ざまぁの催しに参加してくれる根回しをしている人たち以外には、お姉様は関わらないようになっていた。それでもお姉様はそういう考えればすぐにわかる動きさえも把握していない。
そして、お姉様は何一つ、今の現状への疑問を口にすることなどなく……、ざまぁの日を迎えたのだ。お姉様は、流されるまま――、王家がつけた侍女たちにおめかしをされ、卒業パーティーへの準備を行っている。
卒業式が終わった後、卒業パーティーが行われるのが通例で、乙女げぇむの世界ではそこでお姉様に対する断罪と婚約破棄が行われるのだ。
「……ふぅ」
私は息を吐く。
ついにこの日がやってきてしまった。
お姉様へのざまぁを決行する日が。……お母様が亡くなった直後、私は悲しくて、苦しくて、どうしてって思いだけを抱えていた。
……お姉様が乙女げぇむの世界を信じ切っていて、それ以外を見ていないのを知った時、ショックだった。
長い時間が過ぎた。私は……本当にずっと、お姉様が私の事をちゃんと見てくれるように行動し続けていた。
もう今日を終えれば……お姉様達は学園を卒業するのだなと思うと、何だか不思議な気持ちだ。そしてお姉様の信じっている乙女げぇむの世界が終わるのも。
だけどそういう気持ちになったとしても、今日で未来が決まるのは確かだ。
今日、お姉様へのざまぁを決行して、その後、どうなるのかはやってみなければ分からない。私は気づけば拳を強く握っていた。
「イエルノ」
「……ウーログ」
ウーログも卒業パーティーに在校生として参加するから、もう正装を身に纏っている。私も卒業生程目立たないようには心がけてあるけれど、正装だ。……こういうパーティーの衣装ってまだ社交界デビューしていない私からしてみたらちょっと落ち着かない。私は貴族だからそんなことを落ち着かないとか言ってはいられないけれど。
それに今日、落ち着かないのは……お姉様へのざまぁが行われるからだ。行われるというか……私がお姉様をざまぁするのだけど。
……胸が鼓動する。
ああ、なんだろう。今更ながら私は緊張しているのかもしれない。
お姉様をざまぁすることは決めていたし、お姉様をざまぁするためだけにずっと準備を続けてきていた。お姉様が私を見てくれたらと、現実を見てくれたら――ってそればかり考えて、ずっと邁進してきたけれど……。
いざ、その時がくると、手が震えそうになった。
私がざまぁしたからといって、お姉様は私を見てくれるのだろうか。お姉様は現実を見てくれるようになるのだろうか。――お姉様が壊れてしまわないだろうか。
お姉様は私が、此処が乙女げぇむの世界ではないと告げただけであれだけ取り乱すから。
そして例え正気に戻ったとしても、乙女げぇむの世界の夢を壊した私のことをお姉様はどう思うだろうか。――お姉様は私の事を憎むだろうか。
そこまで考えて自分で自分を失笑してしまった。
私はお姉様の事が大好きで、大嫌いで――その気持ちを受け入れている。大嫌いだと思っている。だけど、お姉様に憎まれるのは、嫌だなぁなんて思っている。
「大丈夫だよ。イエルノはアクノール様の事を思って行動しているのだから。イエルノの気持ちは、きっとアクノール様に伝わると思う。ざまぁを行った後ならアクノール様もちゃんと周りを見る余裕が出来るだろうから」
「……ええ。ウーログ、情けない所を見せたわ。――私はお姉様をちゃんとざまぁするわ。お姉様が何を思おうとも、お姉様が私を例え憎もうとも――それでも私は、このために力を尽くしてきたのだから」
少し不安になった心を、ごまかすようにそう告げる。
緊張や不安も、怖さも、そんなものは今日一日だけでも隠してしまおう。私はやり遂げる。私は――お姉様をざまぁする。
ざまぁが決行されるまでの間も、お姉様が現実を見てくれるようになればって、そればかりずっと考えていた。ざまぁへの準備も進めていたけれど、それの合間合間で私はお姉様に働きかけていた。
「お姉様――、最近は学園はどうですか?」
「お姉様、ヒーナさんは学園では皆さんに好かれてますね」
「お姉様……私が生徒会として仕事を一生懸命やっているの」
「お姉様、卒業したらお姉様はどうなさいますか?」
私は……お姉様に現実の事を何度も語り掛けた。でもお姉様は完全に、乙女げぇむのことしか見ていない。ただ自分の思うがままの”乙女げぇむの世界”の事だけを話していた。
私はお姉様が、周りと接しないようにデル兄様と一緒に行動を起こしていた。それはただでさえお姉様の様子が徐々におかしくなって、お姉様は周りと距離をおかれている。今のお姉様は……、もっと周りを見ていない。乙女げぇむの世界の終わりがもうすぐやってくる――。
その事実にお姉様は益々、自分の世界へと入り込んでしまっているのだ。
だからお姉様の事情を知る人たちや、ざまぁの催しに参加してくれる根回しをしている人たち以外には、お姉様は関わらないようになっていた。それでもお姉様はそういう考えればすぐにわかる動きさえも把握していない。
そして、お姉様は何一つ、今の現状への疑問を口にすることなどなく……、ざまぁの日を迎えたのだ。お姉様は、流されるまま――、王家がつけた侍女たちにおめかしをされ、卒業パーティーへの準備を行っている。
卒業式が終わった後、卒業パーティーが行われるのが通例で、乙女げぇむの世界ではそこでお姉様に対する断罪と婚約破棄が行われるのだ。
「……ふぅ」
私は息を吐く。
ついにこの日がやってきてしまった。
お姉様へのざまぁを決行する日が。……お母様が亡くなった直後、私は悲しくて、苦しくて、どうしてって思いだけを抱えていた。
……お姉様が乙女げぇむの世界を信じ切っていて、それ以外を見ていないのを知った時、ショックだった。
長い時間が過ぎた。私は……本当にずっと、お姉様が私の事をちゃんと見てくれるように行動し続けていた。
もう今日を終えれば……お姉様達は学園を卒業するのだなと思うと、何だか不思議な気持ちだ。そしてお姉様の信じっている乙女げぇむの世界が終わるのも。
だけどそういう気持ちになったとしても、今日で未来が決まるのは確かだ。
今日、お姉様へのざまぁを決行して、その後、どうなるのかはやってみなければ分からない。私は気づけば拳を強く握っていた。
「イエルノ」
「……ウーログ」
ウーログも卒業パーティーに在校生として参加するから、もう正装を身に纏っている。私も卒業生程目立たないようには心がけてあるけれど、正装だ。……こういうパーティーの衣装ってまだ社交界デビューしていない私からしてみたらちょっと落ち着かない。私は貴族だからそんなことを落ち着かないとか言ってはいられないけれど。
それに今日、落ち着かないのは……お姉様へのざまぁが行われるからだ。行われるというか……私がお姉様をざまぁするのだけど。
……胸が鼓動する。
ああ、なんだろう。今更ながら私は緊張しているのかもしれない。
お姉様をざまぁすることは決めていたし、お姉様をざまぁするためだけにずっと準備を続けてきていた。お姉様が私を見てくれたらと、現実を見てくれたら――ってそればかり考えて、ずっと邁進してきたけれど……。
いざ、その時がくると、手が震えそうになった。
私がざまぁしたからといって、お姉様は私を見てくれるのだろうか。お姉様は現実を見てくれるようになるのだろうか。――お姉様が壊れてしまわないだろうか。
お姉様は私が、此処が乙女げぇむの世界ではないと告げただけであれだけ取り乱すから。
そして例え正気に戻ったとしても、乙女げぇむの世界の夢を壊した私のことをお姉様はどう思うだろうか。――お姉様は私の事を憎むだろうか。
そこまで考えて自分で自分を失笑してしまった。
私はお姉様の事が大好きで、大嫌いで――その気持ちを受け入れている。大嫌いだと思っている。だけど、お姉様に憎まれるのは、嫌だなぁなんて思っている。
「大丈夫だよ。イエルノはアクノール様の事を思って行動しているのだから。イエルノの気持ちは、きっとアクノール様に伝わると思う。ざまぁを行った後ならアクノール様もちゃんと周りを見る余裕が出来るだろうから」
「……ええ。ウーログ、情けない所を見せたわ。――私はお姉様をちゃんとざまぁするわ。お姉様が何を思おうとも、お姉様が私を例え憎もうとも――それでも私は、このために力を尽くしてきたのだから」
少し不安になった心を、ごまかすようにそう告げる。
緊張や不安も、怖さも、そんなものは今日一日だけでも隠してしまおう。私はやり遂げる。私は――お姉様をざまぁする。
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