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エピローグ:そしてお姉様へのざまぁは成功した。
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「お姉様!!」
「イエルノ……」
――お姉様は、ざまぁが行われてから変わった。
あのざまぁの衝撃で、お姉様は私の声を聞くようになった。そして今までの行動を振り返るようになった。正気に戻ったと言えるのかもしれない。それだけお姉様にとっては、あのざまぁという催しは衝撃で、加えてそれを行ったのが私であったことが衝撃だったのだと思う。
お姉様の戸惑いは強い。
お姉様は、この現実を受け入れて、まだまだ混乱の最中にいると言えるだろう。
学園を卒業したお姉様は、社交界デビューをするまでの間、私と一緒に沢山のお話をしてくれる。お姉様は、乙女げぇむの世界を信じ切ってしまっていたから、学園生活で将来のために有益となるような絆を結んでも来なかった。
学園生活を六年も送っていたので、何の交流もないわけではないけれど……学園生活後半のお姉様の言動から、同じ学園の生徒たちの間でのお姉様の評価はマイナスなものが多い。あのざまぁの催しに参加してくれていた人たちは、そうではないけれど……。
お姉様はあれだけのざまぁを与えなければ、こんな風にはならなかっただろう――とそんな風に自分でも言っていた。デル兄様のことも説明したら、今のお姉様は、ちゃんと受け入れてくれた。
ちなみにデル兄様とヒーナの仲はちゃんと上手く行ったとの報告を受けた。お姉様はデル兄様とも――ちゃんと向き合ってくれた。デル兄様はそれに嬉しそうに笑っていた。
――もっとはやく、お姉様がちゃんとデル兄様を見ていたらまた違った未来になっていたかもしれない。そうも思ったけれど、お姉様とデル兄様が仲が良い幼馴染としてでも笑ってくれることが嬉しかった。
「お姉様、あのね――」
私は学園で起こったことを沢山お姉様に語り掛ける。
――今まではただ一方的だった。お姉様は私の話を聞いていなくて、お姉様は私を見ていなかった。
だけど、今は違う。
「ふふ、そうなのね」
お姉様は優しく、美しく笑ってくれる。
ちゃんと、私の事を見て――、私の言葉に頷いてくれる。
そんなどうしようもないほどの日常が、私にとっては愛おしくて、嬉しかった。
お姉様は十年も”イエルノ・カプラッド”という乙女げぇむの幻想を追い求めて、”私”を見てこなかった。私との接し方に戸惑いもあるようだった。それでも――その優しい笑みも、優しく頭を撫でてくれる手も――、昔と同じだった。
昔、私がお姉様に出来事を話した時、お姉様は私に笑いかけてくれた。
昔、怖い夢を見た時、お姉様は私を撫でてくれた。
その笑みが、その手が、――かえってきた。私に今、向けられている。
お姉様は十年もの間、乙女げぇむの世界を信じ切っていた。そしてそんなお姉様に対して、私は純粋に慕う気持ちではなく大嫌いというそういう感情も芽生えた。
お姉様と私の関係は、確かに前とは違う。
けれど――、前との共通点も見つけられる。お父様も家に仕える者たちも、お姉様と私が仲良く話しているのを見て嬉しそうに微笑んでいる。
ウーログだけは……良かったねと笑いながらも私がお姉様のことばかり話しててちょっと面白くなさそうだけど。
ラス兄様は変わったお姉様との関係に戸惑っているようだった。――ラス兄様にとっては今までのお姉様がお姉様だっただろうから、それも仕方がないと思う。それでもお姉様とラス兄様は少しずつ仲良くなっていて、私は嬉しかった。
「ねぇ、お姉様」
「なぁに、イエルノ」
「私、お姉様とこうしてお話が出来て幸せだわ。お姉様、これからも沢山私はお姉様にお話をするから、ちゃんと聞いてね」
「ええ。もちろんよ。イエルノ。私の話も聞いてね。私、悩みがいっぱいあるから」
「もちろんよ。お姉様、沢山、話して」
お姉様が私の姿を、私自身をちゃんとその瞳に映している。
お姉様が私の言葉に、反応して、優しく笑ってくれている。
あきらめなくて良かった。お姉様がざまぁをしても私を見てくれないのではないかって怖がって行動しないという選択をしなくて良かった。
お姉様が私の傍に居て、私の事を見ている。
たったそれだけが私が望んでいた世界だから。
――これからの世界は、お姉様と一緒に。今まで語り合えなかった分、お姉様に沢山の話を語り掛けよう。そして私もお姉様の言葉を聞いて、言葉を紡ごう。
――お姉様へのざまぁが成功したからこそ、この未来をつかみ取る事が出来たのだ。
成功しなかった未来のことなどもう考えない。もう……お姉様はちゃんと私を見て、私の言葉を聞いてくれているから。
私は大好きなお姉様をざまぁする。――その先に手に入れたのは、大好きなお姉様の優しい笑みと、優しい手だ。
end
「イエルノ……」
――お姉様は、ざまぁが行われてから変わった。
あのざまぁの衝撃で、お姉様は私の声を聞くようになった。そして今までの行動を振り返るようになった。正気に戻ったと言えるのかもしれない。それだけお姉様にとっては、あのざまぁという催しは衝撃で、加えてそれを行ったのが私であったことが衝撃だったのだと思う。
お姉様の戸惑いは強い。
お姉様は、この現実を受け入れて、まだまだ混乱の最中にいると言えるだろう。
学園を卒業したお姉様は、社交界デビューをするまでの間、私と一緒に沢山のお話をしてくれる。お姉様は、乙女げぇむの世界を信じ切ってしまっていたから、学園生活で将来のために有益となるような絆を結んでも来なかった。
学園生活を六年も送っていたので、何の交流もないわけではないけれど……学園生活後半のお姉様の言動から、同じ学園の生徒たちの間でのお姉様の評価はマイナスなものが多い。あのざまぁの催しに参加してくれていた人たちは、そうではないけれど……。
お姉様はあれだけのざまぁを与えなければ、こんな風にはならなかっただろう――とそんな風に自分でも言っていた。デル兄様のことも説明したら、今のお姉様は、ちゃんと受け入れてくれた。
ちなみにデル兄様とヒーナの仲はちゃんと上手く行ったとの報告を受けた。お姉様はデル兄様とも――ちゃんと向き合ってくれた。デル兄様はそれに嬉しそうに笑っていた。
――もっとはやく、お姉様がちゃんとデル兄様を見ていたらまた違った未来になっていたかもしれない。そうも思ったけれど、お姉様とデル兄様が仲が良い幼馴染としてでも笑ってくれることが嬉しかった。
「お姉様、あのね――」
私は学園で起こったことを沢山お姉様に語り掛ける。
――今まではただ一方的だった。お姉様は私の話を聞いていなくて、お姉様は私を見ていなかった。
だけど、今は違う。
「ふふ、そうなのね」
お姉様は優しく、美しく笑ってくれる。
ちゃんと、私の事を見て――、私の言葉に頷いてくれる。
そんなどうしようもないほどの日常が、私にとっては愛おしくて、嬉しかった。
お姉様は十年も”イエルノ・カプラッド”という乙女げぇむの幻想を追い求めて、”私”を見てこなかった。私との接し方に戸惑いもあるようだった。それでも――その優しい笑みも、優しく頭を撫でてくれる手も――、昔と同じだった。
昔、私がお姉様に出来事を話した時、お姉様は私に笑いかけてくれた。
昔、怖い夢を見た時、お姉様は私を撫でてくれた。
その笑みが、その手が、――かえってきた。私に今、向けられている。
お姉様は十年もの間、乙女げぇむの世界を信じ切っていた。そしてそんなお姉様に対して、私は純粋に慕う気持ちではなく大嫌いというそういう感情も芽生えた。
お姉様と私の関係は、確かに前とは違う。
けれど――、前との共通点も見つけられる。お父様も家に仕える者たちも、お姉様と私が仲良く話しているのを見て嬉しそうに微笑んでいる。
ウーログだけは……良かったねと笑いながらも私がお姉様のことばかり話しててちょっと面白くなさそうだけど。
ラス兄様は変わったお姉様との関係に戸惑っているようだった。――ラス兄様にとっては今までのお姉様がお姉様だっただろうから、それも仕方がないと思う。それでもお姉様とラス兄様は少しずつ仲良くなっていて、私は嬉しかった。
「ねぇ、お姉様」
「なぁに、イエルノ」
「私、お姉様とこうしてお話が出来て幸せだわ。お姉様、これからも沢山私はお姉様にお話をするから、ちゃんと聞いてね」
「ええ。もちろんよ。イエルノ。私の話も聞いてね。私、悩みがいっぱいあるから」
「もちろんよ。お姉様、沢山、話して」
お姉様が私の姿を、私自身をちゃんとその瞳に映している。
お姉様が私の言葉に、反応して、優しく笑ってくれている。
あきらめなくて良かった。お姉様がざまぁをしても私を見てくれないのではないかって怖がって行動しないという選択をしなくて良かった。
お姉様が私の傍に居て、私の事を見ている。
たったそれだけが私が望んでいた世界だから。
――これからの世界は、お姉様と一緒に。今まで語り合えなかった分、お姉様に沢山の話を語り掛けよう。そして私もお姉様の言葉を聞いて、言葉を紡ごう。
――お姉様へのざまぁが成功したからこそ、この未来をつかみ取る事が出来たのだ。
成功しなかった未来のことなどもう考えない。もう……お姉様はちゃんと私を見て、私の言葉を聞いてくれているから。
私は大好きなお姉様をざまぁする。――その先に手に入れたのは、大好きなお姉様の優しい笑みと、優しい手だ。
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