三十歳童貞で魔法使いになれるなら五十歳童貞は魔王になれる~実は創世神だそうです~

高槻桂

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 魔法でなんでもできるようになったからと言ってなんでも魔法に頼るのはそれは如何なものかと敬介は思っていた。
 だからアルべニーニョが菜園でも作りましょうか、と言い出したときは嬉々としてそれに乗った。
 城の一角を畑に変えて様々な野菜の種を蒔いた。
 毎日手を加えて少しずつ育っていく野菜たちを見ていた敬介がふと傍らのアルべニーニョを見上げた。

「私たちって子供はできないのかな」
「子供、ですか?」

 アルべニーニョがまるで想像もしていなかったことを言われたという顔をしたので敬介は慌てて手を顔の前で左右に振った。

「い、いやならいいんだ」
「嫌ではありませんが……執事たちと同じ要領で生み出すことになります。違うのはそこに私とあなたの遺伝子情報を入れるというくらいですが……」

 この城にはこの城を管理するための大勢の執事やメイドがいる。
 彼らは敬介によって生み出された命であり、自立した意思を持っているが敬介とアルべニーニョには絶対的な服従を誓っている。

「私としてはもう少しだけでいいのでふたりの生活を楽しみたいのですが」
「執事もメイドもたくさんいるのに?」
「そういう意地悪は言わないでください」

 むすくれたアルべニーニョに敬介はごめんごめんと笑う。

「アリーは子供は好きじゃない?」
「よく、わかりません。他人の子供には優しくできるのですが自分の子に同じようにできるか自信はありません」
「どうして?」
「他人の子は他人の子という前提があるからです。気を遣ってやらねばならないという意識が働く。けれど自分の子には私は多分そういうのが働かないタチなんだと思います。だからどう扱って良いか分からない」

 敬介は小首をかしげてじっとアルベニーニョを見上げたあと、じゃあさ、と言った。

「試しに作ってみようよ、子供。案ずるより産むが易しって言うでしょ?」
「それはケイスケの国のことわざですか?」
「そうそう。心配してるよりまずやってみたら意外と上手くいくよ」
「……」

 アルベニーニョが穏やかな目で見下ろしてくるので、ん?と首を傾げるといえ、と彼は微笑んだ。

「あなたを抱いたときから、あなたが砕けた物言いをしてくれるのが私は嬉しい」
「アリーは敬語変わらないけどね」
「私は結構粗野な物言いをするタイプですよ。あなたの前では良い格好したくて敬語で話しているだけです」
「え!聞いてみたい!見てみたい!」

 目を輝かせる敬介にアルベニーニョは苦笑する。

「その内ですかね」
「楽しみ!」

 敬介がアルベニーニョに抱きつくと優しく抱き寄せられる。

「嫌わないでくださいね」
「ワイルドなアリーもきっと好きになるから大丈夫」

 ふたりは笑い合って口づけを交わした。


「遺伝子を掛け合わすってどうやるの?」

 その夜、体を合わせたあと敬介はアルベニーニョの腕の中で彼を見上げた。

「お互いの遺伝子情報を取り出して混ぜてあとは使用人たちと同じように生まれると思います」
「不思議な作り方だね?」
「一般的なお腹に宿して、というやり方もできると思いますがそれだと……その」
「?」
「……セックスができないじゃないですか」

 敬介はきょとんとしたあとくすくすと笑い出した。アルベニーニョはきまり悪げな顔をしている。

「そうだね、まだまだ私たち新婚だものね」
「そうですよ、まだまだし足りないです」

 ぎゅうっと抱きしめられて敬介はくくっと笑う。

「今だって本当はもっとしたいんだよね」
「……まあ、正直に言わせてもらうとそうですね」
「私の体力に合わせてくれてありがとう」
「無理をさせたいわけじゃないので」
「そういう優しいところ、好きだよ」
「もう一声お願いします」
「愛してる」
「私も愛してますよ」

 ちゅっちゅっと顔中にキスを落とされて敬介は楽しそうに笑う。

「……手でしてあげようか」

 照れながら言うと、お願いしてもいいですか、と受け入れられる。
 口でするのはまだ恥ずかしいのでこれが敬介の精一杯だった。
 交わってそのまま寝ていたのでお互い服は纏ってない。敬介はアルベニーニョの下肢に手を伸ばすと今は萎えているそれにそっと手を這わせた。

 にゅこにゅこと扱くと待っていたようにあっという間にそれは手の中で大きくなる。
 こんな大きなものが自分の中に入って暴れていたのだから人の体って不思議。敬介はそう思いながらしゅこしゅこと手の中のそれを扱く。
 次第に先走り液が溢れてきて滑りが良くなっていく。扱く音が湿り気を帯びたものへと変わっていった。

「は……ケイスケ、キスを」
「ん……」

 扱きながら唇を合わせる。食らいつくようなキスをしてくるアルベニーニョに応えながら舌を絡める。
 口づけを交わしながらアルベニーニョが敬介の手の上から自分の手を重ねて包み込んで力強く扱く。

「ん、ふ……」

 敬介はされるがままに手を貸して、アルべニーニョが息を詰めるとびゅるるっと手の中に熱が吐き出された。
 はあ、とアルべニーニョが荒い息を吐くと枕元に丸めてあったタオルを引き寄せて敬介と自分の手を拭いた。

「ありがとう、ケイスケ」
「ううん、愛してるよ、アリー」
「私も愛しています」

 ふたりは満ち足りた気持ちで眠りについたのだった。
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