20 / 85
夜と朝③
しおりを挟む
何回、いや何十回、したか分からない。
シルヴァーが鼻歌を歌いながら軽やかな足取りでベッドまで戻り、シーツが微かな音を立てたのまでは覚えている。
それを確認したのを最後に、僕はなにもかもを放り出して眠りに落ちた。
* * *
下半身に湿り気を帯びた快さを感じる。
わけも分からないまま委ねているうちに、股間が集中的に攻め立てられているのが分かった。行為は執拗に、どこか機械的に反復している。
時間が経つにつれて、というよりも快感が累積するにつれて、意識が明瞭になっていく。ある程度クリアになると同時、舐められているのだと気づく。
シルヴァーの、舌。
永遠に続くかと思われるセックスの連続のさなか、体を何百回何千回と舐められたが、一か所だけは頑なに手をつけてこなかった。僕のその部位は、もっぱら一つの役目だけに用いられてきた。
この状況で例外が適用されたのは、おそらくは奮い立たせるのに最も効果的だと彼女が考えたからだろう。僕はどうやら絶倫らしいが、さすがに十回を超えると使い物にならなくなる。ただし、相手が美貌の少女であれば話は別だが。
僕はシルヴァーにいとおしさを感じた。女王ともあろう人が、わざわざ奴隷の相手をしてくださるなんて、これ以上にありがたいことはない。気だるい心地よさと幸福感を噛みしめながら、心の底からそう思った。
やがて力尽きたように喘ぎ、僕は果てた。
事後特有の物憂さの中、閉ざされたまぶた越しに明るさを感じる。人工ではなく、天然の光。
朝が来たのだ。島に流れ着いて初めての朝が。
「おい、起きろ。なにを寝ておる。両目を開け」
シルヴァーの声が降ってきた。笑いを含んだような声だ。
……なぜだろう。とても嫌な予感がする。
笑い。女王が奴隷に対して、その感情を孕んだメッセージを送りつけてきたとき、どんなことが僕の身に起きた?
「さっきまで刺激を感じていた部位をよく見てみろ」
なにか湿ったものが股間を軽く撫でた。シルヴァーの手、だと思うのだが、なにかが違っている。瞼を開き、床を手で押して上体を起こす。
僕の腰の左側にシロがいた。
視線を感じたらしく、シロは僕の股間から顔へと視線を移し、「ワン」とひと声鳴いた。そして、自らの口元を舐めた。僕の腹部を汚しているものに鼻を近づけ、再び口元に舌を這わせる。
シルヴァーがささやかな笑声を漏らした。
はっとして声のほうを見た。
シルヴァーは僕のかたわら――ではなく、ベッドに腰かけている。瞳こそ普段の彼女らしい冷ややかさを宿しているが、口元はにやけている。笑いを抑え込もうとしているが抑えきれていないような、そんな様子に見える。
シルヴァーが鼻歌を歌いながら軽やかな足取りでベッドまで戻り、シーツが微かな音を立てたのまでは覚えている。
それを確認したのを最後に、僕はなにもかもを放り出して眠りに落ちた。
* * *
下半身に湿り気を帯びた快さを感じる。
わけも分からないまま委ねているうちに、股間が集中的に攻め立てられているのが分かった。行為は執拗に、どこか機械的に反復している。
時間が経つにつれて、というよりも快感が累積するにつれて、意識が明瞭になっていく。ある程度クリアになると同時、舐められているのだと気づく。
シルヴァーの、舌。
永遠に続くかと思われるセックスの連続のさなか、体を何百回何千回と舐められたが、一か所だけは頑なに手をつけてこなかった。僕のその部位は、もっぱら一つの役目だけに用いられてきた。
この状況で例外が適用されたのは、おそらくは奮い立たせるのに最も効果的だと彼女が考えたからだろう。僕はどうやら絶倫らしいが、さすがに十回を超えると使い物にならなくなる。ただし、相手が美貌の少女であれば話は別だが。
僕はシルヴァーにいとおしさを感じた。女王ともあろう人が、わざわざ奴隷の相手をしてくださるなんて、これ以上にありがたいことはない。気だるい心地よさと幸福感を噛みしめながら、心の底からそう思った。
やがて力尽きたように喘ぎ、僕は果てた。
事後特有の物憂さの中、閉ざされたまぶた越しに明るさを感じる。人工ではなく、天然の光。
朝が来たのだ。島に流れ着いて初めての朝が。
「おい、起きろ。なにを寝ておる。両目を開け」
シルヴァーの声が降ってきた。笑いを含んだような声だ。
……なぜだろう。とても嫌な予感がする。
笑い。女王が奴隷に対して、その感情を孕んだメッセージを送りつけてきたとき、どんなことが僕の身に起きた?
「さっきまで刺激を感じていた部位をよく見てみろ」
なにか湿ったものが股間を軽く撫でた。シルヴァーの手、だと思うのだが、なにかが違っている。瞼を開き、床を手で押して上体を起こす。
僕の腰の左側にシロがいた。
視線を感じたらしく、シロは僕の股間から顔へと視線を移し、「ワン」とひと声鳴いた。そして、自らの口元を舐めた。僕の腹部を汚しているものに鼻を近づけ、再び口元に舌を這わせる。
シルヴァーがささやかな笑声を漏らした。
はっとして声のほうを見た。
シルヴァーは僕のかたわら――ではなく、ベッドに腰かけている。瞳こそ普段の彼女らしい冷ややかさを宿しているが、口元はにやけている。笑いを抑え込もうとしているが抑えきれていないような、そんな様子に見える。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる