少女王とその奴隷

阿波野治

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夜と朝④

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 目覚めかけている僕の陰部に刺激が加えられた。
 そのとき、僕のそばにシルヴァーは不在だった。
 この事実が意味するのは――。

「クロ、いいことを教えてやろう。さっきまでお前を慰めてやっていたのは、あたしではなくて、シロだ。蜂蜜を塗ったら喜んで舐めたよ。シロは蜂蜜に目がないからな」

 体が震え出した。
 嘘だ、と叫びたかった。
 しかし、状況を総合的に考えれば、女王の発言が真実なのは疑いようがない。
 僕はシロに性器を舐められて、放出した。シルヴァーがしてくれていると勘違いしていたとはいえ、本当はシロのものだった舌で、いかされた。

「クロ、お前は犬だ。犬も同然の哀れなケダモノだ。今日からはお前をそのように扱うから、覚悟しておけよ。ただし、シロのようにかわいがるのではなくて、よそ者の、穀潰しの、無能な奴隷犬としてだがな。あはは!」

 高笑いが木霊する。大粒の涙が僕の頬を伝う。
 こんなのは、酷い。あまりにも酷すぎる。

 酷いという意味では、昨夜だってそうだった。シルヴァーは僕をずっと床に寝かせておいて、その上にまたがって腰を振った。僕は人間の形をした玩具も同然だった。
 シルヴァーは、身勝手だ。どこまでも自分のことしか考えていない。自分自身が快を獲得することだけを目指して行動している。

 シルヴァーに服従するのは仕方がないことだと思っていた。記憶を取り戻すためには、奴隷扱いに甘んじるしかない。蜂蜜を舐めさせられるだとか、数時間に及ぶセックスの連続だとか、罰でもあるが報奨でもあるものを得られるなら、過酷な日々もきっと乗り越えていける。そう信じていた。

 認めたくはないが、圧倒的な権力を持つ存在に服従することに、ある種の快感を覚えていたのも事実。
 まだ丸一日も経っていないが、僕は驚くべき速さで奴隷という身分に適応しつつあった。
 でも、だからといって、この仕打ちは酷い。あまりにも酷すぎる。
 これからの生活、こんな仕打ちが延々と続くというのなら、僕は、僕は――。

 シルヴァーの高笑いはやまない。
 僕はただひたすら、無理だ、無理だ、無理だ――と心の中でくり返した。


* * *


「昼までに、お前にはいくつかの道具を拵えてもらう」
 朝食を食べはじめてすぐ、小屋の隅に突っ立っている僕にシルヴァーはそう言葉をかけた。
 シロの舌で絶頂を迎えた罰として、朝食を食べてはならないと言い渡されているので、今食べているは女王だけだ。

「弓矢を作るときに、お前は植物の蔓を使ったな? あれが必要だから、調達しておいてくれ。あたしが欲しい道具を作るには、まず間違いなくあれが必要になってくるからな。お前に作ってもらいたいのは――」
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