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実年齢よりも二・三歳も幼い子どものように浮かれはしゃぎながらも、真理愛はファッションショーを自分一人のものにしていた。着飾った姿を母親に見てもらいたい、という欲求が何度かちらついたが、実行には移さなかった。二度ほど、ドアノブに手をかけるところまでいったが、ドアを開く直前に翻意した。
真理愛は他者から評価されるのを恐れていた。服は文句なしにかわいいが、身に着ける人間が魅力を欠く分、総合評価は決して高いものにはならない。彼女自身はそう考えていたし、他人の評価もどうせ同じだと決めつけた。
心がかつてないほど昂っていたにしては早期に、ショーは閉幕を迎えた。
以来、すみれ色のワンピースはクローゼットの中で歳月を消費してきた。母親から「あのとき買ってあげた服はどうしたの?」と尋ねられれば、それを名目に着たかもしれないが、一度も言われたことがない。自信はいつまで経っても追いついてくれない。最高の一着は、埃を被って賞味期限を迎える運命にあるはずだった。
しかし、日曜日に玲奈といっしょに遊ぶ約束を交わしたことで、その存在を思い出した。転校してきてすぐにいじめを受け、自分への自信は磨り減っていく一方だったが、心を立て直す絶好の機会が生まれたわけだ。
総じて地味で無難で没個性な持ち合わせの中、爽やかで気品ある美をたたえたその一着は、燦然と存在感を放っていた。サイズが合うかが心配だったが、杞憂に終わった。すっかり失念していたが、サイズは購入した時点で少し大きめだった。
姿見の中の自分を見ても、小学生のころのような興奮は湧かない。しかし、ワンピースへの高い評価は不変だ。あのころは、自分は服に見合うような魅力的な人間ではない、という思いが強かったが、時間が経った今では、自分の魅力の乏しさを服が補ってくれる、とポジティブに考えることができた。
外出の支度を進める中で、作業を一時中断して鏡の前まで行き、整える必要のない髪の毛を何度整えたかわからない。K駅までの所要時間を考えれば少し早かったが、半時間前に自宅を発った。
玲奈の反応だけを考えていたならば、時間の経過は苦痛なまでに遅く感じられたに違いない。しかし本日の主の目的は、玲奈と二人で遊びに行くこと。今まで友だちがいなかった真理愛にとっては夢のような、薔薇色に輝く未来が待っている。それにまつわる空想を弄んでいれば、時間は矢のように過ぎていく。
ふと気がついて携帯電話を確認すると、待ち合わせ時刻を三分過ぎている。
周囲を見回したが、玲奈の姿はどこにもない。
真理愛は他者から評価されるのを恐れていた。服は文句なしにかわいいが、身に着ける人間が魅力を欠く分、総合評価は決して高いものにはならない。彼女自身はそう考えていたし、他人の評価もどうせ同じだと決めつけた。
心がかつてないほど昂っていたにしては早期に、ショーは閉幕を迎えた。
以来、すみれ色のワンピースはクローゼットの中で歳月を消費してきた。母親から「あのとき買ってあげた服はどうしたの?」と尋ねられれば、それを名目に着たかもしれないが、一度も言われたことがない。自信はいつまで経っても追いついてくれない。最高の一着は、埃を被って賞味期限を迎える運命にあるはずだった。
しかし、日曜日に玲奈といっしょに遊ぶ約束を交わしたことで、その存在を思い出した。転校してきてすぐにいじめを受け、自分への自信は磨り減っていく一方だったが、心を立て直す絶好の機会が生まれたわけだ。
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