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三日目の日記 不登校の日6
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どう言い訳をすれば母さんを信じ込ませられるだろう? 叱られずに済むのだろう? 昨日から引き続き、目覚めてからずっと頭を働かせたものの、これという考えは浮かんでいなかった。あまりに先に進めないものだから、思案するのに必要なだけの集中力を確保することすら難しくなっていた。誰とも接触せずに済む世界があるなら、そこに逃げ込みたかった。
逃げ場が存在しないのなら、せめてその瞬間が先延ばしされることを願った。しかし、解決策を導き出すのが絶望的な問題について考えているときとは正反対、時間はあっという間に飛び去り、
「駿、どうしたの? 今日もまたぐずぐずしているけど」
本日三回目となる母さんからの呼びかけがあった。
前の二回は、ただちに起床して大急ぎで支度を整えれば時間までに登校できる可能性があった。しかしその可能性が潰えた今回は、昨朝のようないら立ちがしっかりと含まれている。しかも二日連続ということで、怒りの度合いは強い。納得できるような理由を提示しないかぎり引き下がらない、そんな無言のメッセージがこもっている。
彼女を納得させられる答えなど用意できていない。結果、母さんが一方的に僕にしゃべりかけ、返事がないことに次第にいら立ちを募らせ、終盤には怒鳴り声に極めて近いものになった。
母さんはみだりに怒らないけど、怒るときはしっかりと怒るタイプだ。だけど、あそこまで感情を露わにすることはめったにない。たぶん、僕がだんまりを決め込んでいるのが腹立たしいからではない。正当な理由もなく二日連続で学校を休もうとしていること、そしてその現実がもたらそうとしている未来、それらに対する危機感のせいだ。
責められているあいだ、僕は今にも泣き出しそうだった。すべてを打ち明けて赦しを乞いたかった。
しかし、言えない。言えるはずがない。クラスメイトからいじめられているなんて。いじめられているから学校に行きたくないだなんて。
真実を洗いざらい打ち明ければ力になってくれるのは分かっている。母さんは困難な問題に対処する能力は心もとないけど、まず間違いなく僕の味方になってくれる。
問題解決能力でいえば、父さんは母さんよりも遥かに高い。家族の問題には積極的にかかわろうとはしない人だけど、家族からの頼みを無下にすることはないはずだ。
僕の力になってくれるという意味では、姉さんの右に出る者はいない。僕の一番の理解者でもある。これまでだって、僕が助けを求めたときには必ず味方になってくれた。僕の性格が性格だから、勇を奮って悩みを吐露したことは少ないけど、その数少ない機会のすべてで僕の味方になってくれた。
逃げ場が存在しないのなら、せめてその瞬間が先延ばしされることを願った。しかし、解決策を導き出すのが絶望的な問題について考えているときとは正反対、時間はあっという間に飛び去り、
「駿、どうしたの? 今日もまたぐずぐずしているけど」
本日三回目となる母さんからの呼びかけがあった。
前の二回は、ただちに起床して大急ぎで支度を整えれば時間までに登校できる可能性があった。しかしその可能性が潰えた今回は、昨朝のようないら立ちがしっかりと含まれている。しかも二日連続ということで、怒りの度合いは強い。納得できるような理由を提示しないかぎり引き下がらない、そんな無言のメッセージがこもっている。
彼女を納得させられる答えなど用意できていない。結果、母さんが一方的に僕にしゃべりかけ、返事がないことに次第にいら立ちを募らせ、終盤には怒鳴り声に極めて近いものになった。
母さんはみだりに怒らないけど、怒るときはしっかりと怒るタイプだ。だけど、あそこまで感情を露わにすることはめったにない。たぶん、僕がだんまりを決め込んでいるのが腹立たしいからではない。正当な理由もなく二日連続で学校を休もうとしていること、そしてその現実がもたらそうとしている未来、それらに対する危機感のせいだ。
責められているあいだ、僕は今にも泣き出しそうだった。すべてを打ち明けて赦しを乞いたかった。
しかし、言えない。言えるはずがない。クラスメイトからいじめられているなんて。いじめられているから学校に行きたくないだなんて。
真実を洗いざらい打ち明ければ力になってくれるのは分かっている。母さんは困難な問題に対処する能力は心もとないけど、まず間違いなく僕の味方になってくれる。
問題解決能力でいえば、父さんは母さんよりも遥かに高い。家族の問題には積極的にかかわろうとはしない人だけど、家族からの頼みを無下にすることはないはずだ。
僕の力になってくれるという意味では、姉さんの右に出る者はいない。僕の一番の理解者でもある。これまでだって、僕が助けを求めたときには必ず味方になってくれた。僕の性格が性格だから、勇を奮って悩みを吐露したことは少ないけど、その数少ない機会のすべてで僕の味方になってくれた。
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