僕の輝かしい暗黒時代

阿波野治

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 あたしだってさびしいし、大輔だってさびしいと思う。ずっといっしょにいられるなら、それに勝る未来はないと思うよ。だけど、お別れしたほうがいい。悲しいことだけど、でも、自分のためにも相手のためにも、未来への一歩を踏み出す。それがベストの選択なんじゃないかな。

 大輔がこの手紙を読んでいるころには、あたしはこの町にはいないと思う。まさか追いかけてはこないだろうけど、引っ越し先の住所は秘密にしておく。別れのあいさつを対面で交わせなかったのだけが心残りだけど、これも運命ということなんだろうね。

 最後に、告白の件にもう一度触れさせて。大輔の告白を断ったのは、あなたが嫌いだからじゃないから、落ちこまないで。あたしのことを好きだと言ってくれた人は、世界であなた一人だけだよ。ありがとう。
 さようなら。』


* * *


 読み終わった瞬間、僕はその場に崩れ落ちた。
 僕が前向きに変化したことにより、レイも前向きに変化し、彼女が抱えていた問題は解決した。
 ハッピーエンドのはずなのに、なぜだろう。君を失った悲しみと、君にしてあげられなかったことを悔やむ気持ちばかりがこみ上げてきて、涸れたはずの涙がいつの間にか頬を伝っていた。 

 僕はたしかに、精神的な余裕がなかった。自分が抱えている問題に対処し、その日その日を生きていくだけで精いっぱいだった。
 でも、それはレイも同じ。
 精神的に大変な毎日だったはずなのに、僕に手を差し伸べてくれた。有用なアドバイスだってくれた。僕の心を支えてくれた。

 それなのに僕は、レイになにもしてあげられなかった。お返しができなかった。雨の日の告白で、彼女が問題を抱えていることは知っていたのに、無策だった。無関心だったわけではないが、軽んじていた。
 結果、レイは僕から離れていった。再会を果たすのが難しい場所まで行ってしまった。

 レイが手紙に書いたように、これが互いにとってベストの選択だったのだろう。
 でも、この後悔は、この悲しみは、どう処理すればいいんだ?

 僕は泣いた。
 泣いて、泣いて、泣きつづけた。
 そうしたところで、レイが僕のもとに戻ってきてくれるわけではないのは分かっていたが、そうせずにはいられなかった。

 泣くのにも疲れて眠りに落ち、人生で一番長い一日が終わった。
 僕の輝かしい暗黒時代は幕を下ろしたのだ。
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