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「でも、練習を積んだら倒せるようにならないかな。練習をして、力をもっともっと使いこなせるようになったら。そもそも、怪物にだけ力がきかないって、おかしくない?」
「ききにくい、ですね。正確に言えば」
「分かってるよ、そんなこと。力を使いこなすという意味で言えばさ、塔を作るのに失敗とかはあったけど、あれは慣れの問題でしょ。それと同じじゃないの? 違うの?」
「残念ながら違います。いくら力を磨いたとしても、怪物を簡単に倒せるようにはなりません」
「ホンシツテキに倒しにくいから、ということ?」
「はい、おっしゃる通りです」
「なんか納得いかないなー。だってさ、神のぼくでも根本的にどうにもならないものがあるなんて、おかしくない? おかしいよねぇ。うん、絶対におかしい!」
声を強めて断言した瞬間、はたと思い出した。
天候だとか、時間の流れだとか、地形だとか。イナの力が及ばないと推察されるものは複数存在するが、イナはそれらの全てを、積極的に捻じ曲げたいとは願わなかった。「変われ」と強くは念じなかった。すなわち、強く願えば、積極的に願えば、あるいは――という希望を残している。
しかし、「変えたい」とある程度強く願って力を行使したにもかかわらず、変えられなかったものが一つだけあった。その出来事が起きてから今に至るまでに、様々なことがありすぎたせいで失念していたが、それの存在を思い出した。
「ねえねえ、リーフ。おとといの夕方にね、幽霊みたいな女の子に出会ったんだ」
ほう、あるいは、ふむ、という声がリーフの唇から漏れた。
「ぼくと同じくらいの年齢かな。和服を着ていて、おかっぱ頭で、青白い顔をしてて。でも、ちゃんと足があるのを確認したから、本物の幽霊じゃないのはたしかだよ」
イナの顔を見つめる瞳の光が強まった。髪の毛をいじる手が止まり、少し身を乗り出す。
「あの子には驚いた。世界がこんなふうになって以来、人間に出会ったのはその子で二度目だったっていうのもあるけど、それだけじゃなくて。まだ話してなかったから話すけど……」
「なんでしょうか」
「実はその子を見つける前に、力を使ってむかつく教師を出現させて、殺したんだ。でもその女の子は、ぼくが出現を望んだわけじゃないんだよね。和服を着るような子なんて、そもそも知り合いの中にはいないし。気持ち悪かったから、声に出して『消えろ』って命令したんだけど、消えなくて。最終的には消えたけど、ぼくの力とはまったく無関係に、その子自身の意思で消えたから」
「ききにくい、ですね。正確に言えば」
「分かってるよ、そんなこと。力を使いこなすという意味で言えばさ、塔を作るのに失敗とかはあったけど、あれは慣れの問題でしょ。それと同じじゃないの? 違うの?」
「残念ながら違います。いくら力を磨いたとしても、怪物を簡単に倒せるようにはなりません」
「ホンシツテキに倒しにくいから、ということ?」
「はい、おっしゃる通りです」
「なんか納得いかないなー。だってさ、神のぼくでも根本的にどうにもならないものがあるなんて、おかしくない? おかしいよねぇ。うん、絶対におかしい!」
声を強めて断言した瞬間、はたと思い出した。
天候だとか、時間の流れだとか、地形だとか。イナの力が及ばないと推察されるものは複数存在するが、イナはそれらの全てを、積極的に捻じ曲げたいとは願わなかった。「変われ」と強くは念じなかった。すなわち、強く願えば、積極的に願えば、あるいは――という希望を残している。
しかし、「変えたい」とある程度強く願って力を行使したにもかかわらず、変えられなかったものが一つだけあった。その出来事が起きてから今に至るまでに、様々なことがありすぎたせいで失念していたが、それの存在を思い出した。
「ねえねえ、リーフ。おとといの夕方にね、幽霊みたいな女の子に出会ったんだ」
ほう、あるいは、ふむ、という声がリーフの唇から漏れた。
「ぼくと同じくらいの年齢かな。和服を着ていて、おかっぱ頭で、青白い顔をしてて。でも、ちゃんと足があるのを確認したから、本物の幽霊じゃないのはたしかだよ」
イナの顔を見つめる瞳の光が強まった。髪の毛をいじる手が止まり、少し身を乗り出す。
「あの子には驚いた。世界がこんなふうになって以来、人間に出会ったのはその子で二度目だったっていうのもあるけど、それだけじゃなくて。まだ話してなかったから話すけど……」
「なんでしょうか」
「実はその子を見つける前に、力を使ってむかつく教師を出現させて、殺したんだ。でもその女の子は、ぼくが出現を望んだわけじゃないんだよね。和服を着るような子なんて、そもそも知り合いの中にはいないし。気持ち悪かったから、声に出して『消えろ』って命令したんだけど、消えなくて。最終的には消えたけど、ぼくの力とはまったく無関係に、その子自身の意思で消えたから」
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