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水切り
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「ねえ、リーフ。水切りってどうやったらよく飛ぶんだっけ?」
そこで、足元の石を拾って尋ねてみたところ、
「さあ、どうでしょう。自己流でやったほうがいいかもしれませんよ。物理法則を無視したほうが爽快感を得やすいでしょうし」
との返答。
口ぶりはどこか他人事のようで、引っかかるものを覚えたが、ものは試しと、オーソドックスなフォームで投擲してみた。石を川面にぶつけただけの結果に終わった。
平たい石がいいとか、極力回転を加えないほうがいいとか、聞いたことがあるようなないような、効果があるのか逆効果なのかも定かではないやりかたを、採用したりしなかったりしながら何度か試行してみた。いずれも功を奏したとは言いがたかった。
業を煮やしたイナは、川面を跳ねながら向こう岸にたどり着く経過を脳裏でしっかりとイメージしてから、アンダースローで小石を投じた。思い描いた通り、投擲物は三十センチの高さで跳ねながら川面を移動し、対岸の無数の小石の一つとなった。
「素晴らしいです、イナ」
リーフは惜しみない拍手を送ったが、イナは小首を傾げた。イメージ通りの軌道を描いたのはたしかだが、一般的な水切りの軌道とは明らかに異なったからだ。本来であれば、もう少し跳ねる高度が低いはず。現実的な水切りの成功例として脳内で思い描いた映像がそもそも誤っていたことに、自らの手で実演してみるまでまったく気がつかなかった。
さんざん現実を捻じ曲げてきたにもかかわらず、現実離れした水切りを成功させたという結果は、イナの胸に薄暗い靄をかけた。そして、拍手を送るという対応をとったリーフに、静かな不快感とでも形容するのが適当な感情を抱いた。
「やーめた」
握っていた小石をこぼすように捨てて、イナはその場に寝ころがった。石の凹凸のせいで寝心地が悪いが、寝そべっていられないほど酷くはない。その中途半端さが気持ち悪い。
三秒ほど遅れて、リーフもイナの隣に横になる。普段ならばなんとも思わない、彼女らしい従順な対応が、なぜか鼻についた。
当時はただ単に、上手く水切りができなかったのが悔しかったのだと解釈した。しかし、時間が経てば経つほど、納得がいかない思いは強くなっていく。
その納得のいかない対象は? リーフ? 神の力? それとも新世界? その三つのうちのどれかではある、とは思うのだけど――。
そこで、足元の石を拾って尋ねてみたところ、
「さあ、どうでしょう。自己流でやったほうがいいかもしれませんよ。物理法則を無視したほうが爽快感を得やすいでしょうし」
との返答。
口ぶりはどこか他人事のようで、引っかかるものを覚えたが、ものは試しと、オーソドックスなフォームで投擲してみた。石を川面にぶつけただけの結果に終わった。
平たい石がいいとか、極力回転を加えないほうがいいとか、聞いたことがあるようなないような、効果があるのか逆効果なのかも定かではないやりかたを、採用したりしなかったりしながら何度か試行してみた。いずれも功を奏したとは言いがたかった。
業を煮やしたイナは、川面を跳ねながら向こう岸にたどり着く経過を脳裏でしっかりとイメージしてから、アンダースローで小石を投じた。思い描いた通り、投擲物は三十センチの高さで跳ねながら川面を移動し、対岸の無数の小石の一つとなった。
「素晴らしいです、イナ」
リーフは惜しみない拍手を送ったが、イナは小首を傾げた。イメージ通りの軌道を描いたのはたしかだが、一般的な水切りの軌道とは明らかに異なったからだ。本来であれば、もう少し跳ねる高度が低いはず。現実的な水切りの成功例として脳内で思い描いた映像がそもそも誤っていたことに、自らの手で実演してみるまでまったく気がつかなかった。
さんざん現実を捻じ曲げてきたにもかかわらず、現実離れした水切りを成功させたという結果は、イナの胸に薄暗い靄をかけた。そして、拍手を送るという対応をとったリーフに、静かな不快感とでも形容するのが適当な感情を抱いた。
「やーめた」
握っていた小石をこぼすように捨てて、イナはその場に寝ころがった。石の凹凸のせいで寝心地が悪いが、寝そべっていられないほど酷くはない。その中途半端さが気持ち悪い。
三秒ほど遅れて、リーフもイナの隣に横になる。普段ならばなんとも思わない、彼女らしい従順な対応が、なぜか鼻についた。
当時はただ単に、上手く水切りができなかったのが悔しかったのだと解釈した。しかし、時間が経てば経つほど、納得がいかない思いは強くなっていく。
その納得のいかない対象は? リーフ? 神の力? それとも新世界? その三つのうちのどれかではある、とは思うのだけど――。
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