すばらしい新世界

阿波野治

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「おばあちゃんが死んでからの三年間で、ぼくの身の回りではいろいろなことがあったよ。暴力を振るったり、暴言を吐いたり、ルールを破ったり。一口に言うと、みんなから疎まれるようなことをたくさんした。初潮はまだだけど、最近体が少しずつ大きくなって、いろんなことができるようになったのが面白くて。
 羨ましい? そうだよね。だっておばあちゃん、なんにもできない体になっちゃったもんね。おばあちゃんは内にこもる人だから、そういう意味でも羨ましいでしょ。
 友だち? そんなの、生まれてからずっといたことはないよ。一瞬たりともいたことがない。それっぽいやつならいるけどね。反町直人っていう、ろくでもない高校生なんだけど。
 家族? 特に変わったことはないよ。幸福にも不幸にもなっていない。……あ、そういえば、宝くじが当たったとか言ってた気がする。金額? 大騒ぎはしてなかったから、きっと千円とかじゃないかな。でも、お父さんはボーナスを減らされたって言っていたから、プラスマイナスでいえばマイナスかもね。
 そんなことより、ぼくの話をしていい? おばあちゃんに聞いてほしいし、話したいんだ。
 三年間で一番の悪事は、近所のスーパーでチョコレートを万引きしたことかな。あんまり美味しくなかったよ。ポケットに入れやすい棚にあるものを盗んだから、味が好みじゃなかったんだ。
 それから、クラスメイトの女子をボコボコに殴って泣かせてやったよ。これは今年じゃなくて、去年、五年生のときの話ね。ほら、どのクラスにも男女を問わずいるでしょ? リーダー面して圧をかけてくる、頭が悪くて不細工なボス猿が。言動がいちいちむかつくから、制裁を加えてやったんだ。授業中に後ろから頭を殴り飛ばしてね。ぼくは秩序なんてくだらないものは心の底から軽蔑しているから、授業の最中だろうとお構いなしに喧嘩をふっかけるんだ。教師に制止されやすいっていう難点はあるけど、ターゲットが油断しまくりだから、隙をつきやすいんだよね。
 あとはね、うちの庭に糞をしにくる野良猫を退治したよ。ううん、殺してない。来るたびに痛い目に遭わせて恐怖を植えつけて、寄りつかなくさせたっていう意味。動物を殺すなんて、弱っちいバカがすることじゃん。
 あっ、でも、虫を潰すのは昔から好き。対象がある程度大きくなると、徹底的に痛めつける気がなくなるんだ。なんでなんだろうね? よく分かんないけど。殺した中で一番大きい生き物は、なんだろう。カマキリ? カミキリムシ? それともトカゲかな? とにかく、ラインとしてはそんなところ。
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