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フレデリカの熱弁
しおりを挟む「この作品、『借金まみれ女子大生、糞まみれになる。』っていうタイトルなの。あたしのスカトロもの初挑戦作品で」
えへへへっ、という、炭酸が抜けたような笑声。画面の左端から現れた、やはり全裸の小太りの男性が、ペニスの先端をフレデリカさんの顔面ぎりぎりまで近づけた。そして、放尿。
「まだ十五歳で顔が幼いから、濃いめのメイクで誤魔化してんのよね。見ての通り、すぐにどろどろのぐちょぐちょになるんだけど、うんこを塗りつけてごまかして。顔面尿シャワー、うんこの頭のせ、下痢便プール――以上の豪華ラインナップなわけですが」
二人目の放尿が終わると共に富士通が回転し、軽快な打鍵音。再び回転し、ディスプレイに映し出されたのは、
「うえぇえええ――っ!」
わたしの語彙と表現力では瞬時には形容しがたい、ただならぬ声が響いた。頭頂が薄い初老の男性の口から、目にも留まらぬ速さでなにかが射出された。べちり、と音を立てて、全裸のフレデリカさんの頬に貼りつく。顔がアップで映し出されて、既視感のある恍惚の表情。
頬に貼りついた、黄色っぽいような青っぽいようなどろどろしたものは、痰だ。
「これは出演三十四作目の『痰でSHOW』という作品。分かる? 歎異抄。親鸞っていう昔のハゲが書いた本らしいんだけど、タイトルはそのパロディなんだって」
うぇー!
おええー!
あえーっ!
放尿のときと比べると、人の登場と退場のサイクルが速い。フレデリカさんの顔は、あっという間にどろどろのぐちょぐちょになった。痰が口元まで垂れ落ちてくるたびに、やけに長く見える舌が抜かりなく舐め取っている。
「見ての通り、ただひたすら痰を吐きかけられる作品。あ、でももちろん、セックスもしたよ。痰を吐きかけられながらのセックス。痰を吐きかける役は募集したバイトくんで、本番はプロの男優さん担当っていう。凄かったよぉ。セックスが終わったあとで、ボウルに集めた痰を飲まされるんだけどね、あれ、何人分なんだろうね? 味はね、なんかね、生臭かったな。なにせ三年前のことだから詳しくは忘れちゃったけど――って、うっさいな」
うおあああああ、と痰を吐く準備をしていた中年男性の声が途切れる。ノートパソコンの裏から回り込んできたフレデリカさんの手が、動画を一時停止したのだ。
そのノートパソコンが閉ざされ、現れたのは、爽やかな笑顔。
「とまあ、アブノーマルな現場に携わってきたのがあたしという人間なわけです。ていうか、今もだけどね」
フレデリカさんの職業という、どうでもいいが謎には違いない謎が、これで解決した。
そして、もう一つ。
「そういう現場を数多くこなすうちにね、あたし、やばいものに対する嗜好を獲得したのね。虐げられる役回りを演じているところを二つ見せたから、誤解しているかもしれないと思って言うんだけど、加害者の立場からもね。攻めでも受けでもいいから、やばいことに関わり合いたい。そんな気持ちを強く持っていて。
前に顔を合わせたとき、あたし言及したかな、『右傾化する日本』のこと。ユエちゃん、覚えてる?」
フレデリカさんがその言葉を口にしたのは記憶している。ただ、どのような文脈だったかは失念しているので、小首を傾げた。
「あっ、そう。まあ細かいことはどうだっていいんだけど、とにかく『右傾化する日本』! この人の出現に、あたしはもうときめいたわけですよ。ぜひぜひお近づきになりたいなーって。そんな折に、彼が、頬にタトゥーを入れた彼が現れたわけなんだけど」
顔をわたしの顔へと限りなく接近させる。フレデリカさんは唾を飛ばしながらしゃべる。
「彼とはちょっと顔を合わせただけ。言葉は交わしていないし、目線すら合わせなかったんだけど、場数を踏んできたあたしは瞬時に分かったの。『あっ、この子、やばいやつだ』って。認識した瞬間にね、もうね、胸は高鳴って、あそこは濡れて、口の中はからからになって。端的に言うと、興奮しちゃって。昨日、あの子とセックスがしたいってユエちゃんに言ったのは、そういうことなの。もしかしたら深くて濃ゆい仲なのかもしれないし、ユエちゃんに失礼かなって思ったんだけど、セックスってほら、やばさを堪能するには最上の手段だから。ま、あたしが淫乱性欲過多ど変態だからってのもあるけどねー。ふひょっ!」
フレデリカさんの笑顔はまた融けてきたような気がする。
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