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遼の二度目の聞き込み②
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羽柴と別れ、廊下を自分の教室とは反対方向へと歩きながら、遼は何度も首をひねった。
悶々とした気持ちで、取り留めのない想念を浮かべては消すだけの時間が続く。そうするうちに、不意に気がついた。
切言屋が依頼に取り組んでいるさなかにもかかわらず、両親や学校が動かないことに異議を唱えたのは、切言屋の仕事ぶりに不満を抱いているからなのだと。
説得役を娘ののどかに任せたのは、まだ許せる。助手として数々の依頼に臨み、能力も高いと草太朗が断言するのだから、遼としてはそう信じたい。
では、助手ではないほうの切言屋である草太朗は、どうなのか。
まったくなにもしていないわけではない。「聞き込みをしろ」と命じられていなければ、遼はその行動は起こせなかった。同席するたびに軽食を奢ってくれたのは、遼を励ます意味からだと理解している。
ただ、本人は動いていない。のどかに説得を任せ、遼に聞き込みを指示したが、自分自身は汗をかいていない。
遼はそれが引っかかる。頭脳労働も労働のうちなのは理解しているが、行動してこそなんぼだというのが信条の遼は、草太朗の働きをどうしても低く見てしまう。
もっとも、草太朗を責めるつもりはない。遼には見せないだけで、極秘裏になんらかの行動を起こしている可能性も考えられるからだ。
いずれにせよ、現状、問題解決のために僕は草太朗さんに依存せざるを得ない。だったら不平不満の類は胸の奥にしまって、切言屋に全面的に任せるべきだ。人の批判ばかりしていないで、俺は俺がやれることをやるべきだ。
そう結論づけると、心が少し楽になった。同時に、草太朗を悪者扱いした罪悪感が込み上げてきた。
しかし、その感情も含めて、いったん頭の外に追放することにする。
今は行動、とにかく行動だ。切言屋に任せてばかりいられない。問題を解決に導くためには、解決を早めるためには、結城遼の働きが重要になってくる。そう信じて、自分に言い聞かせて、行動しつづけるんだ。
「さて、次はどうしようかな……」
美咲のクラス担任の羽柴の考えは訊いた。教師という枠の中ならば、学年主任だとか校長だとか、候補ならば何人か思いつくが、彼らが求めている情報を提供してくれるとは思えない。遼がコンタクトをとるべきは、偉い人間ではなく、美咲の身近にいる人間だ。
そこまで考えたところで、草太朗から聞き込みをする人間を指定されていたことを思い出した。遼が犯しがちなミスだが、目の前のことで頭がいっぱいになって大切なことを失念していたのだ。
たしかにそうだ。偉くはないが、彼女たちは美咲の身近な人間だ。
悶々とした気持ちで、取り留めのない想念を浮かべては消すだけの時間が続く。そうするうちに、不意に気がついた。
切言屋が依頼に取り組んでいるさなかにもかかわらず、両親や学校が動かないことに異議を唱えたのは、切言屋の仕事ぶりに不満を抱いているからなのだと。
説得役を娘ののどかに任せたのは、まだ許せる。助手として数々の依頼に臨み、能力も高いと草太朗が断言するのだから、遼としてはそう信じたい。
では、助手ではないほうの切言屋である草太朗は、どうなのか。
まったくなにもしていないわけではない。「聞き込みをしろ」と命じられていなければ、遼はその行動は起こせなかった。同席するたびに軽食を奢ってくれたのは、遼を励ます意味からだと理解している。
ただ、本人は動いていない。のどかに説得を任せ、遼に聞き込みを指示したが、自分自身は汗をかいていない。
遼はそれが引っかかる。頭脳労働も労働のうちなのは理解しているが、行動してこそなんぼだというのが信条の遼は、草太朗の働きをどうしても低く見てしまう。
もっとも、草太朗を責めるつもりはない。遼には見せないだけで、極秘裏になんらかの行動を起こしている可能性も考えられるからだ。
いずれにせよ、現状、問題解決のために僕は草太朗さんに依存せざるを得ない。だったら不平不満の類は胸の奥にしまって、切言屋に全面的に任せるべきだ。人の批判ばかりしていないで、俺は俺がやれることをやるべきだ。
そう結論づけると、心が少し楽になった。同時に、草太朗を悪者扱いした罪悪感が込み上げてきた。
しかし、その感情も含めて、いったん頭の外に追放することにする。
今は行動、とにかく行動だ。切言屋に任せてばかりいられない。問題を解決に導くためには、解決を早めるためには、結城遼の働きが重要になってくる。そう信じて、自分に言い聞かせて、行動しつづけるんだ。
「さて、次はどうしようかな……」
美咲のクラス担任の羽柴の考えは訊いた。教師という枠の中ならば、学年主任だとか校長だとか、候補ならば何人か思いつくが、彼らが求めている情報を提供してくれるとは思えない。遼がコンタクトをとるべきは、偉い人間ではなく、美咲の身近にいる人間だ。
そこまで考えたところで、草太朗から聞き込みをする人間を指定されていたことを思い出した。遼が犯しがちなミスだが、目の前のことで頭がいっぱいになって大切なことを失念していたのだ。
たしかにそうだ。偉くはないが、彼女たちは美咲の身近な人間だ。
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
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