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秘密基地での尋問③
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「ごめんなさい……。ごめんなさい……」
アリッサの唇から譫言が流れ出し始めた。俺以外の人間には聞き取れていないに違いない、か細い声だ。
胸をいじくり回す両手の動きを止め、千村の顔を注視する。
叫ぶのをやめた千村は、歯を食い縛り、前歯の隙間と鼻孔から盛んに息を吐き出している。双眸は潤み、今にも涙がこぼれそうだ。
「ライト、これ以上あんたの腸内に突っ込めなくなっちゃったね。これがどういう意味か分かる? これ以上あなたがくだらない真似をするようだったら、洒落にならないくらいきつい罰を与えなきゃいけなくなったってこと」
この場で平常心を保っているのは、どうやら三花だけらしい。
「それが嫌なら、誠実に答えて。マジのマジであと一回しか言わないからね。あなたを除くマップスの四人の居場所は?」
「高井は――」
千村は観念したように話し始めた。
「高井は、K町にある『ハイツ・ジョニー』というアパートで暮らしている。羽鳥と板垣に関しては、住んでいる場所は分からないし、よく足を運ぶ場所も把握していない。草刈は、千本松高校に通う一年生。市内のカフェでアルバイトをしていると聞いたことがあるが――」
「『青い霹靂』って猫カフェでしょ。草刈に関しては、もういいよ。ご苦労様」
労うように尻を軽く叩く。千村に跨ったまま、体の向きを百八十度転換する。俺は咄嗟にアリッサから体を離した。
「じゃあ友也、今から高井を殺しに行こっか。『ハイツ・ジョニー』まで」
「は?」
「は、じゃない。向こうはこっちを殺そうとしているんだから、殺される前に向こうを殺す。当たり前でしょう?」
「いや、そうじゃなくて、何で俺も一緒なんだ。三花に協力するとは一言も言ってないんだけど」
「友也に協力する意思がなくても、協力せざるを得ないと思うよ」
「……どういう意味だ」
「だって敵は、友也はあたしの仲間だと認識しているんだよ? 早乙女一樹はあたしだけじゃなくて、あたしの協力者も殺す。そうだよね?」
千村の髪の毛を引っ張って顔を上に向かせ、その顔に向かって笑顔で問いかける。髪の毛を引っ張られているが故に窮屈そうに、しかし間を置かずに、千村は首肯した。
「三花、ちょっと待て。草刈は倒したし、千村はこうして捕まえているんだから、俺と三花が行動を共にしていることを敵は知らないはずじゃないか?」
「いや、知ってるでしょ。だって、草刈は生きているんだから。あたしと佐藤友也は仲間だって、ちょうど今頃報告しているんじゃないかな」
あっ、という声が俺の口から飛び出した。三花は薄く笑っている。思い切り顔をしかめてその面を睨みつける。
「……三花。お前、俺を仲間に引き入れるために、わざと草刈を生かしたのか」
「何で怒るの? 草刈のあそこに包丁をぶっ刺したら抗議したの、友也でしょ。それとも、本当は殺してほしかったの? なるほどなるほど、それが友也の本性なわけね。うわー、残酷ぅ」
「茶化すな! お前、俺をとんでもないことに巻き込みやがって――」
「そんなことよりっ!」
目の醒めるような三花の大声。愕然として発言者の顔を見返すと、あまりにも真剣すぎて、却って冗談かと疑ってしまうほどに真剣な表情が支配している。
重大な発言が飛び出す予感に、俺は抗議をするのも忘れて三花の顔を見つめる。途端に真剣な表情が崩れ、悪戯っぽく微笑んだ。
「千村の顔におしっこかけよう」
「……は?」
「は、じゃない。言葉通りの意味」
「何で、そんな馬鹿げた真似を……」
「馬鹿げているどころか、必要な処置よ。二度とあたしたちに刃向う意思を持てなくなるように、敗者は徹底的に屈辱的な目に遭わせるべき。そうでしょう?」
アリッサの方を向き、怯える顔に向かって爽やかな笑顔で命じる。
「店員さん。悪いけどおしっこ、この女にかけてくれる?」
「三花、やめろ。ただでさえ迷惑をかけているのに、これ以上迷惑をかけるな」
「じゃあ、友也がする? 言っとくけど、あたしは絶対に嫌だから」
「はあ? だったら――」
「ごめんなさい……」
アリッサがおもむろに立ち上がった。スカートの中に手を突っ込み、漆黒のショーツを脱ぎ捨てる。
おいおい、まさか。
俺は腰を上げ、後ずさりをしてアリッサから離れる。巻き添えを食らわない、それでいて行為がよく見える位置で足を止める。
「あなたは悪くない。あなたは何も悪くないけど、でも、私、痛いのは嫌なの。怖いのは嫌なの。ごめんなさい、ごめんなさい……」
アリッサは泣きそうな声で呟きながら、震える両手でスカートの裾をめくった。瞬間、アップルジュースに酷似した色合いの液体が陰部から迸り出た。ダムが爆破され、貯め込まれていた水が溢れ出したかのような激しさで、千村の顔面に降りかかる。
「きたなっ」
三花は上体を大きく退け、放水から極力自らを遠ざけた。それでいて、髪の毛を掴んだ右手は離さない。断固として離さない。
千村は目を瞑り、唇を結んで放尿に耐えている。顔の位置を固定され、為す術もなく汚水を浴び続けるその表情からは、虐げられているが故の色香が感じられる。
放水音に紛れて、アリッサは蚊の鳴くような声で「ごめんなさい」の一語を繰り返している。長く、長く、放尿は続く。
俺は思う。肛門にペン型ライトを挿入して、顔面に尿を浴びた経験のある人間は、地球上で千村だけに違いない、と。
計っていたわけではないので正確な時間は不明だが、体感的には一分近く経って漸く、放尿が打ち止めになった。千村の顔はずぶ濡れだ。百パーセント尿のせいなのか、涙も混じっているのか、判断がつかない。
三花が髪の毛から手を離したため、千村の顔は臭い水溜りにダイレクトで浸かった。立ち上がるなり後頭部を踏みつけ、顔面を汚水に押しつける。その体勢を維持したまま、俺に向かって言う。
「さあ、善は急げ。準備を整えたら、高井をぶっ殺しに行こう」
アリッサの唇から譫言が流れ出し始めた。俺以外の人間には聞き取れていないに違いない、か細い声だ。
胸をいじくり回す両手の動きを止め、千村の顔を注視する。
叫ぶのをやめた千村は、歯を食い縛り、前歯の隙間と鼻孔から盛んに息を吐き出している。双眸は潤み、今にも涙がこぼれそうだ。
「ライト、これ以上あんたの腸内に突っ込めなくなっちゃったね。これがどういう意味か分かる? これ以上あなたがくだらない真似をするようだったら、洒落にならないくらいきつい罰を与えなきゃいけなくなったってこと」
この場で平常心を保っているのは、どうやら三花だけらしい。
「それが嫌なら、誠実に答えて。マジのマジであと一回しか言わないからね。あなたを除くマップスの四人の居場所は?」
「高井は――」
千村は観念したように話し始めた。
「高井は、K町にある『ハイツ・ジョニー』というアパートで暮らしている。羽鳥と板垣に関しては、住んでいる場所は分からないし、よく足を運ぶ場所も把握していない。草刈は、千本松高校に通う一年生。市内のカフェでアルバイトをしていると聞いたことがあるが――」
「『青い霹靂』って猫カフェでしょ。草刈に関しては、もういいよ。ご苦労様」
労うように尻を軽く叩く。千村に跨ったまま、体の向きを百八十度転換する。俺は咄嗟にアリッサから体を離した。
「じゃあ友也、今から高井を殺しに行こっか。『ハイツ・ジョニー』まで」
「は?」
「は、じゃない。向こうはこっちを殺そうとしているんだから、殺される前に向こうを殺す。当たり前でしょう?」
「いや、そうじゃなくて、何で俺も一緒なんだ。三花に協力するとは一言も言ってないんだけど」
「友也に協力する意思がなくても、協力せざるを得ないと思うよ」
「……どういう意味だ」
「だって敵は、友也はあたしの仲間だと認識しているんだよ? 早乙女一樹はあたしだけじゃなくて、あたしの協力者も殺す。そうだよね?」
千村の髪の毛を引っ張って顔を上に向かせ、その顔に向かって笑顔で問いかける。髪の毛を引っ張られているが故に窮屈そうに、しかし間を置かずに、千村は首肯した。
「三花、ちょっと待て。草刈は倒したし、千村はこうして捕まえているんだから、俺と三花が行動を共にしていることを敵は知らないはずじゃないか?」
「いや、知ってるでしょ。だって、草刈は生きているんだから。あたしと佐藤友也は仲間だって、ちょうど今頃報告しているんじゃないかな」
あっ、という声が俺の口から飛び出した。三花は薄く笑っている。思い切り顔をしかめてその面を睨みつける。
「……三花。お前、俺を仲間に引き入れるために、わざと草刈を生かしたのか」
「何で怒るの? 草刈のあそこに包丁をぶっ刺したら抗議したの、友也でしょ。それとも、本当は殺してほしかったの? なるほどなるほど、それが友也の本性なわけね。うわー、残酷ぅ」
「茶化すな! お前、俺をとんでもないことに巻き込みやがって――」
「そんなことよりっ!」
目の醒めるような三花の大声。愕然として発言者の顔を見返すと、あまりにも真剣すぎて、却って冗談かと疑ってしまうほどに真剣な表情が支配している。
重大な発言が飛び出す予感に、俺は抗議をするのも忘れて三花の顔を見つめる。途端に真剣な表情が崩れ、悪戯っぽく微笑んだ。
「千村の顔におしっこかけよう」
「……は?」
「は、じゃない。言葉通りの意味」
「何で、そんな馬鹿げた真似を……」
「馬鹿げているどころか、必要な処置よ。二度とあたしたちに刃向う意思を持てなくなるように、敗者は徹底的に屈辱的な目に遭わせるべき。そうでしょう?」
アリッサの方を向き、怯える顔に向かって爽やかな笑顔で命じる。
「店員さん。悪いけどおしっこ、この女にかけてくれる?」
「三花、やめろ。ただでさえ迷惑をかけているのに、これ以上迷惑をかけるな」
「じゃあ、友也がする? 言っとくけど、あたしは絶対に嫌だから」
「はあ? だったら――」
「ごめんなさい……」
アリッサがおもむろに立ち上がった。スカートの中に手を突っ込み、漆黒のショーツを脱ぎ捨てる。
おいおい、まさか。
俺は腰を上げ、後ずさりをしてアリッサから離れる。巻き添えを食らわない、それでいて行為がよく見える位置で足を止める。
「あなたは悪くない。あなたは何も悪くないけど、でも、私、痛いのは嫌なの。怖いのは嫌なの。ごめんなさい、ごめんなさい……」
アリッサは泣きそうな声で呟きながら、震える両手でスカートの裾をめくった。瞬間、アップルジュースに酷似した色合いの液体が陰部から迸り出た。ダムが爆破され、貯め込まれていた水が溢れ出したかのような激しさで、千村の顔面に降りかかる。
「きたなっ」
三花は上体を大きく退け、放水から極力自らを遠ざけた。それでいて、髪の毛を掴んだ右手は離さない。断固として離さない。
千村は目を瞑り、唇を結んで放尿に耐えている。顔の位置を固定され、為す術もなく汚水を浴び続けるその表情からは、虐げられているが故の色香が感じられる。
放水音に紛れて、アリッサは蚊の鳴くような声で「ごめんなさい」の一語を繰り返している。長く、長く、放尿は続く。
俺は思う。肛門にペン型ライトを挿入して、顔面に尿を浴びた経験のある人間は、地球上で千村だけに違いない、と。
計っていたわけではないので正確な時間は不明だが、体感的には一分近く経って漸く、放尿が打ち止めになった。千村の顔はずぶ濡れだ。百パーセント尿のせいなのか、涙も混じっているのか、判断がつかない。
三花が髪の毛から手を離したため、千村の顔は臭い水溜りにダイレクトで浸かった。立ち上がるなり後頭部を踏みつけ、顔面を汚水に押しつける。その体勢を維持したまま、俺に向かって言う。
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