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vs林&二葉④
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「みりあのこと、佐藤くんは異常だと思ったでしょう? 正解だよ。みりあは異常者。異常者だから、異常な方法でしか思いを表現できないの。でも、方法が異常なだけで、佐藤くんへの愛は偽りじゃない。みりあは佐藤くんのことが好き。誰よりも好き。胸を張ってそう断言できる。それなのに、それなのに……!」
これ以上はないと思っていた涙の量が増大した。声が聴き取りにくくなる。
「みりあ、こんな体になっちゃった! 自力ではご飯が食べられない! 着替えができない! 排泄してもお尻を拭けない! そんな体になっちゃった! 普通の体だった時ですら振り向いてもらえなかったのに、こんな体になったら嫌われるに決まってるよぉ! 好きなのに! 佐藤くんのことがこんなにも好きなのに! こんな体じゃ! こんな体じゃ――うわああああああ!」
「うっせぇな」
吐き捨てるような声。そして舌打ち。林はテーブルからフォークを手に取り、自らの顔の高さにかざした。
「やめろ! これ以上草刈を――」
制止の声も虚しく、四股の刃が草刈の右乳房に突き刺さった。絶叫がダイニングに響き渡り、四つの小さな傷口から鮮血が滲み出す。
林は嘲るように笑いながら、フォークを右に左に捻る。草刈は呻き声と血を吐く。フォークが引き抜かれ、再び振りかざされる。
「やめろっつってんだろ!」
俺は林との間合いを詰め、顔を目がけて拳を振るった。
林はフォークの軌道を修正し、迫りくる拳へとぶつけた。刃が手の甲に刺さったが、殴るのはやめない。拳が敵の顔面に直撃する。フォークが拳から外れて床に落下する。林はふらつく足取りで後退、二人を隔てる距離が再び広がった。
殴った方ではない手でスープの皿を掴み、林の顔を狙って投げつける。林は両腕でそれを防御する。俺はその隙に落ちたフォークを拾い上げ、再度距離を縮めた。
ガードが解かれた瞬間を見計らって、首に突き立てるべく凶器を振るう。力んでしまった上、相手の反応も早かった。フォークは空を切り、逆に強烈な蹴りを腹部にまともに食らった。両足に力が入らなくなり、床に蹲る。
体を起こそうとした瞬間、頭頂部に激しい衝撃を感じ、俺は俯せに床に沈んだ。視界に映し出された薄靄がかかったような映像から、林の踵落としが直撃したのだと理解する。
「調子乗ってんじゃねぇっ! この短小包茎野郎っ!」
両腕で頭部を覆って守りの態勢に入った途端、首から上を狙った蹴りの嵐が吹き荒れ始めた。一撃一撃が重く、攻撃を食らうたびに体が悲鳴を上げる。
少しでも油断すれば敗北に引きずり込まれるだろう。そうでなくても、蓄積したダメージが一定の量を越えるという形で勝敗が決するかもしれない。絶望的な防戦。感情任せに殴りかかって、早々にこの様とは。情けなくて涙が出そうだ。
しかし、負けるわけにはいかない。草刈のために、絶対に林をぶっ倒す。
耐えていればチャンスは必ず来る。そう信じて、一方的に蹴られながらも、虎視眈々と反撃の機会を窺った。
そして、その時が訪れた。
唐突に舌打ちの音が聞こえたかと思うと、攻撃がやんだ。ガードを最小限緩め、様子を窺うと、林が再び踵落としを放つ態勢に入ったのが見えた。
宇宙史上、最大最高のチャンス到来だ。
素早く起き上がり、高々と振り上げられた右脚の下に入る。振り下ろされたそれを左肩で受け止め、左腕を巻きつけてがっちりと抱え込む。
「うらあああっ!」
前方へと力を加え、押し倒す。硬い床と無防備な後頭部が衝突する音。素早く馬乗りになり、フォークを逆手に持ち替える。頸部を狙って振り下ろす。
林は反射的に首から上を右に動かした。刃が皮を切り裂き、少量の血が散った。渾身の力で再度振り下ろす。反撃の右ストレートが放たれ、フォークが弾き飛ばされた。
「このクソ女……!」
右手を握り固め、力いっぱい林の顔面を殴りつける。
「お前っ! 草刈をっ! 俺を好きだと言ってくれた人をっ!」
感情任せの単調な連打は、林の両腕によってことごとく防がれる。それでも俺は殴り続ける。
「お前ごときがっ! 草刈をっ! 草刈を……っ!」
一層力を込めて拳を打ち下ろす。林が頭を大きく横に動かしたため、人体ではなく床を叩いた。無防備になった顎に、突き上げる一撃。脳が揺れ、両手の動きが完全に止まる。胸を思い切り突かれて仰向けに床に倒され、今度は林が俺に馬乗りになる。左手で俺の胸倉を掴み、右拳を振り上げた。
「友也、よく頑張った」
間近で声がしたと思った、次の瞬間、林の体が大きく吹き飛んだ。頭から壁に叩きつけられ、仰向けに崩れ落ちる。振り向くと、三花がキッチンワゴンを両手で持ち上げていた。
「調子に乗ってんのはお前だ、ボケが」
猛然と林へと駆け寄りながらワゴンを頭上に振り上げ、振り下ろす。突然の一撃に混乱し、状況を確認するべく持ち上げた顔に、凶器の角がクリーンヒット。床に大の字に倒れ込む。顔面を押さえて呻吟する敵を目がけて、三花は何度も何度も鈍器を振り下ろす。
十発目が顔面に叩き込まれた瞬間、林は電池が切れた玩具のように動かなくなった。ワゴンが投げ捨てられる。
「友也、ドアを開けて」
両腕が強く痛んだが、立ち上がるのに支障はなく、ドアを開けるのにも何ら問題はない。
林が出入りしていたその部屋は、キッチンだった。
三花は林の両足首を掴んで引きずり、掛け声と共に放り込んだ。調理器具を収納する棚に激突。棚から落下した鍋やフライパンが降り注ぎ、騒々しい音楽を奏でる。
「客も来ないのにこんなに調理器具を置いて……。アホでしょ」
捨て台詞を吐き、ドアを閉めた。
これ以上はないと思っていた涙の量が増大した。声が聴き取りにくくなる。
「みりあ、こんな体になっちゃった! 自力ではご飯が食べられない! 着替えができない! 排泄してもお尻を拭けない! そんな体になっちゃった! 普通の体だった時ですら振り向いてもらえなかったのに、こんな体になったら嫌われるに決まってるよぉ! 好きなのに! 佐藤くんのことがこんなにも好きなのに! こんな体じゃ! こんな体じゃ――うわああああああ!」
「うっせぇな」
吐き捨てるような声。そして舌打ち。林はテーブルからフォークを手に取り、自らの顔の高さにかざした。
「やめろ! これ以上草刈を――」
制止の声も虚しく、四股の刃が草刈の右乳房に突き刺さった。絶叫がダイニングに響き渡り、四つの小さな傷口から鮮血が滲み出す。
林は嘲るように笑いながら、フォークを右に左に捻る。草刈は呻き声と血を吐く。フォークが引き抜かれ、再び振りかざされる。
「やめろっつってんだろ!」
俺は林との間合いを詰め、顔を目がけて拳を振るった。
林はフォークの軌道を修正し、迫りくる拳へとぶつけた。刃が手の甲に刺さったが、殴るのはやめない。拳が敵の顔面に直撃する。フォークが拳から外れて床に落下する。林はふらつく足取りで後退、二人を隔てる距離が再び広がった。
殴った方ではない手でスープの皿を掴み、林の顔を狙って投げつける。林は両腕でそれを防御する。俺はその隙に落ちたフォークを拾い上げ、再度距離を縮めた。
ガードが解かれた瞬間を見計らって、首に突き立てるべく凶器を振るう。力んでしまった上、相手の反応も早かった。フォークは空を切り、逆に強烈な蹴りを腹部にまともに食らった。両足に力が入らなくなり、床に蹲る。
体を起こそうとした瞬間、頭頂部に激しい衝撃を感じ、俺は俯せに床に沈んだ。視界に映し出された薄靄がかかったような映像から、林の踵落としが直撃したのだと理解する。
「調子乗ってんじゃねぇっ! この短小包茎野郎っ!」
両腕で頭部を覆って守りの態勢に入った途端、首から上を狙った蹴りの嵐が吹き荒れ始めた。一撃一撃が重く、攻撃を食らうたびに体が悲鳴を上げる。
少しでも油断すれば敗北に引きずり込まれるだろう。そうでなくても、蓄積したダメージが一定の量を越えるという形で勝敗が決するかもしれない。絶望的な防戦。感情任せに殴りかかって、早々にこの様とは。情けなくて涙が出そうだ。
しかし、負けるわけにはいかない。草刈のために、絶対に林をぶっ倒す。
耐えていればチャンスは必ず来る。そう信じて、一方的に蹴られながらも、虎視眈々と反撃の機会を窺った。
そして、その時が訪れた。
唐突に舌打ちの音が聞こえたかと思うと、攻撃がやんだ。ガードを最小限緩め、様子を窺うと、林が再び踵落としを放つ態勢に入ったのが見えた。
宇宙史上、最大最高のチャンス到来だ。
素早く起き上がり、高々と振り上げられた右脚の下に入る。振り下ろされたそれを左肩で受け止め、左腕を巻きつけてがっちりと抱え込む。
「うらあああっ!」
前方へと力を加え、押し倒す。硬い床と無防備な後頭部が衝突する音。素早く馬乗りになり、フォークを逆手に持ち替える。頸部を狙って振り下ろす。
林は反射的に首から上を右に動かした。刃が皮を切り裂き、少量の血が散った。渾身の力で再度振り下ろす。反撃の右ストレートが放たれ、フォークが弾き飛ばされた。
「このクソ女……!」
右手を握り固め、力いっぱい林の顔面を殴りつける。
「お前っ! 草刈をっ! 俺を好きだと言ってくれた人をっ!」
感情任せの単調な連打は、林の両腕によってことごとく防がれる。それでも俺は殴り続ける。
「お前ごときがっ! 草刈をっ! 草刈を……っ!」
一層力を込めて拳を打ち下ろす。林が頭を大きく横に動かしたため、人体ではなく床を叩いた。無防備になった顎に、突き上げる一撃。脳が揺れ、両手の動きが完全に止まる。胸を思い切り突かれて仰向けに床に倒され、今度は林が俺に馬乗りになる。左手で俺の胸倉を掴み、右拳を振り上げた。
「友也、よく頑張った」
間近で声がしたと思った、次の瞬間、林の体が大きく吹き飛んだ。頭から壁に叩きつけられ、仰向けに崩れ落ちる。振り向くと、三花がキッチンワゴンを両手で持ち上げていた。
「調子に乗ってんのはお前だ、ボケが」
猛然と林へと駆け寄りながらワゴンを頭上に振り上げ、振り下ろす。突然の一撃に混乱し、状況を確認するべく持ち上げた顔に、凶器の角がクリーンヒット。床に大の字に倒れ込む。顔面を押さえて呻吟する敵を目がけて、三花は何度も何度も鈍器を振り下ろす。
十発目が顔面に叩き込まれた瞬間、林は電池が切れた玩具のように動かなくなった。ワゴンが投げ捨てられる。
「友也、ドアを開けて」
両腕が強く痛んだが、立ち上がるのに支障はなく、ドアを開けるのにも何ら問題はない。
林が出入りしていたその部屋は、キッチンだった。
三花は林の両足首を掴んで引きずり、掛け声と共に放り込んだ。調理器具を収納する棚に激突。棚から落下した鍋やフライパンが降り注ぎ、騒々しい音楽を奏でる。
「客も来ないのにこんなに調理器具を置いて……。アホでしょ」
捨て台詞を吐き、ドアを閉めた。
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