わたしの流れ方

阿波野治

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宝島

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 宝島の地図は本物らしい。政府公認の鑑定士が本物という鑑定結果を下したのだから、偽物のはずがない。
 問題は、宝島までどう行くかだ。宝島の地図には、宝島の広さや地形、宝が埋められている場所が克明に記されているが、宝島がどこにあるのかは明記されていなかった。
 分からないならば訊くしかない。問題は誰に訊くかだが、幸いなことに、わたしには困り事や悩み事を気軽に相談できる人が身近にいる。そう、ハリーおじさんが。
 早速ハリーおじさんの自宅を訪問し、事情を説明した。おじさんはかなり長い間、腕組みをして宝島の地図を睨んでいたが、おもむろに顔を上げると、真剣な面持ちで言った。
「どこに宝島があるかは問題じゃない。想い一つだよ。自分は宝島にいると思いさえすれば、自分がいる場所は宝島。そうだろう?」
 ハリーおじさんは気さくに相談に応じてくれるが、頭が切れるわけではない。しかし「想い一つ」という一言は、おじさんの口から出たにしては冴えている。とぼけた人が時たま口にする冴えた一言というのは、えてして正鵠を射ているものだ。
 わたしとハリーおじさんは固く目を瞑り、何度も強く念じた。ここは宝島、ここは宝島、ここは宝島……。
 何十回か念じたのを境に、周囲の雰囲気が一変したような気がした。恐る恐る瞼を開いた。宝島だった。おじさんも成功したらしく、わたしのすぐ隣で、物珍しそうに周囲の景色を眺め回している。
 宝島へ来たのはいいが、肝心の宝島の地図は家に忘れてきてしまった。宝が埋められている地点は大体覚えているが、どういうルートを通ればいいのだろう?
 途方に暮れて立ち尽くしていると、成人男性ほどの大きさのハリネズミがわたしたちに近づいてきた。ハリネズミはわたしたちに一枚の紙切れを手渡し、こう告げた。
「七つのドラゴンの卵を集めなさい。全ての卵を集めた時、宝は君たちのもとに現れるだろう。ドラゴンの卵がどこにあるかは、この地図を見れば分かる」
 それは宝島の地図で、陸地に七つの点が記されている。中央にそびえる火山を挟んで、東側に四つ、西側に三つ、点は分布している。
 ハリーおじさんと話し合った結果、手分けをして卵を回収することになった。おじさんは東へ、わたしは西へ。
 地形は険しかったが、時間をかけて攻略し、わたしは無事に三つのドラゴンの卵を手に入れることに成功した。
 日が暮れる頃に元の場所に戻ると、ハリーおじさんではなく、ハリネズミがいる。
「ほら、四つの卵だ」
 なぜハリーおじさんではなく、ハリネズミがドラゴンの卵を? 尋ねる間もなく、七つの卵は眩い光を放った。思わず目を瞑った。
 目を開くと、そこには七つのドラゴンの卵ではなく、ハリネズミの赤ちゃんが入った飼育ケージがあった。
 いきなり突き飛ばされ、わたしはその場に俯せに倒れた。顔を上げると、ハリネズミが飼育ケージを大事そうに胸に抱き締めたところだった。
「お前は踊らされていたんだよ! 宝は俺がもらった! あばよ!」
 捨て台詞を吐き、ハリネズミはその場から走り去る。ハリネズミの背中にはファスナーがついていて、僅かに開いた隙間から、明らかに人間と思われる生物の姿が垣間見えた。
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