わたしの流れ方

阿波野治

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脳うんこ

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 寝ている間に脳味噌を抜き取られ、生じた隙間にうんこを注入されたらしい。
「忍者鳥取くん」
 唐突にそんな言葉が脳裏に浮かんだ。
 そんなはずはない。そう思ったあとで、わたしが「そんなはずはない」と思ったのは、犯人が忍者鳥取くんではないかと疑うと同時にそう思うように忍者鳥取くんがプログラミングを施していたからではないか、という疑いが生じた。そして、そのような疑いが生じたのは忍者鳥取くんが――。
 いや、止めておこう。仮に忍者鳥取くんが犯人だとすれば、わたしを堂々巡りの罠に誘い込むことこそが、そもそもの目的に違いないのだから。
 パン祭り的な白い皿を持った僧侶が道端に突っ立っている。
 その事実を認識した瞬間、寺の鐘が鳴った気がしたのは、わたしの頭蓋骨の中にうんこが詰まっているからなのか。
 柿食えば、鐘が鳴るなり、パン祭り。
 その白い皿に硬貨を投げ入れれば、いい音が鳴るに違いない。そう、寺の鐘のような。しかし、施しを求める立場からすれば、鐘の音を聞くよりも紙幣が欲しいに決まっている。
 硬貨より、札がいいです、パン祭り。
 パン祭りはそもそも、シールを得るためのパンを買うために金が必要だから、結局は商業主義なのだ。
 皿くれよ、シールないです、パン祭り。
 わたしも金が欲しい。喉から手が出るほど欲しい。少なくとも、パン祭りでもらえる皿よりは。
 皿よりも、金がいいです、パン祭り。
 そして金をもらったら、忍者鳥取くんに注入されたうんこを摘出する手術を受けるために、病院へ行く。
 ――と見せかけて、パチンコ屋の自動ドアを潜る。
 パチンコ屋の店内は甚だうるさい。それにしても、こんなにうるさかっただろうか? なんと言うか、わたしが知っているパチンコ屋ではない気がする。まるで祭りのような騒がしさだ。
 パチンコ屋、玉が出るなり、パン祭り。
 パチンコ屋の祭り。略してパン祭り、というわけだ。
 それにしても、なぜ今日に限ってこうもうるさいのだろう? 自らに問うた瞬間に答えは出ていた。脳味噌がうんこだからだ。それならば仕方がない。
 頭には、うんこいっぱい、パン祭り。
 だが、うんこ、うんこと連呼しているうちに、素晴らしい解決策を見出した。うんこなのだから、トイレで出せばいい。
 パチンコ屋、トイレ駆け込み、クソ捻る。
 最早原型を留めていない。そう、今現在のわたしの頭蓋骨の中身のように。
 トイレの個室を開けて、驚いた。先程の僧侶が佇んでいたのだ。その手には、相も変わらずパン祭りの皿。
 なるほど、そこに出せばいいのか。皿の高さも、頭蓋骨の中にあるうんこを出すにはちょうどいい。
 頭蓋骨内のうんこが器に排泄されたら、鐘の音が鳴るだろうか? それは排泄しなければ分からない。ならば排泄しよう。最後に一句。
 個室内、皿に出そうか、脳うんこ。
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