黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第004話 大戦のあとにもたらされた神様の依頼④

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 穏やかな気持ちで朝を迎え、奇跡的とも言える確率で全員揃っての朝食を終えた矢先。
「さて、それじゃあ食後の時間をまったりと過ごそうか」と上機嫌で食器を片付け終えたツグナたちの耳に、突如として「バタン!」と豪快に開け放たれる扉の音が届けられる。

「うん? ――一体なんなん……」
 穏やかな気分を掻き乱すその聞こえてきた音に、わずかに眉根を寄せてピクリと反応したツグナが声を漏らす。そして玄関に続く扉の方へと目を向けたその時、

「ツ、ツ、ツ、ツゥ~~~グナくぅ~~~ん! た、た、た、大変なんだよ! このままじゃあボク、神様の座を降ろされるかもしれないんだ! 割とマジで助けてよぉ~!」

 泣きそうな――いや、実際に目の端に涙を溜めている神様であるディエヴスが、リビングの扉を勢いよく開けてツグナに飛び込んでくる。

 それを、ツグナはスッと席から立ち、ディエヴスが彼の胸に飛び込む――寸前で避けた。

「ぐべっ!?」

 するりと脇を抜けるように綺麗に避けられたディエヴスは、そのまま床に強かに顔を打ってしまう。

「くぅ~~っ! な、なんでそこで避けるかなぁ!」
 倒れたままツグナに顔だけ向けたディエヴスは、わずかに赤らむ鼻をさすりながら凄む。幸い鼻血が出るほどの事態には至らなかったものの、なかなか消えないその鼻の赤みが衝撃の強さを暗に物語っていた。

「いや、だって危ないし」
「避けなくても受け止められるよね! キミのステータスなら!」
 しかし、ツグナも慣れたもので、ディエヴスの言葉などサラリと聞き流し、むしろ床に転がった神様の不様な姿に、わずかに肩を揺らして笑いを堪える。

「あっはっは。これがホントの神回避ってか?」
「意味全然違うから! ……ったく、もう。くだらないこと言ってないで、真面目に聞いてよね!」
 ガバリと起き上がったディエヴスは、頬を膨らませて不快感を露わにする。一方のツグナは、「はいはい」と喚くディエヴスを宥めつつ席に座るように促した。

「それで? いきなり神様がウチに突撃かましてどうしたんだよ? 何やら『神の座を降ろされる』って穏やかじゃないことを言ってたみたいだけど?」
 ツグナはディエヴスと真向かいの席に腰を下ろすと、シルヴィが淹れてくれた紅茶を流し込みながら訊ねる。

「そ、そうなんだよ! このままじゃあ、ボクは神の座から降ろされ、新たに着任する神の小間使いとして働かなくてはならなくなるんだよ……」
「いや、それのどこが悪いんだ? 神様って基本見るだけの存在なんだろ? 俺たちにとって神様ってのは雲の上の存在だ。神様が交代しようが何しようが、直接は影響ないだろ。それに、小間使いとはいえ、仕事がある分、日々の生活にメリハリが出来ていいんじゃないのか?」

 ふとツグナはこの地に転生した時のことを脳裏に思い出しながら訊ねる。地球で「神様の手違い」によりその短い生涯を閉じた少年――佐伯さえき継那つぐなは、今目の前に座る神であるディエヴスの力によって今いる世界に転生を果たした。

 その際、神様は「数多くの世界を見ているだけの存在だ」と聞かされる。神は管理する世界に対して干渉はできない。幾百ともある世界を、ただ見ているだけの存在なのだと聞かされたツグナは、その寂しい存在である彼に「ディエヴス」の名を送った。

「そうだよ。キミの言う通り、神はただ世界を見ているだけの存在さ。仮に交代だけなら話は簡単なんだけれど、今回の事態はいよいよもってマズイんだよ……」
「はぁ? ちょっと待て、未だ要領が――」

 ふと顔を下に向けたディエヴスは、やおら親指の爪を噛み始めると、急にガリガリと頭を掻き出した。その切迫詰まったただならぬ様子に、ツグナは「これはヤバイ」と声をかけようとした時。

「だから、キミに行って欲しいんだ――地球に」

 呼び止めようとした声に被さるようにして発せられたディエヴスの言葉に、その場にいた全員の声が消えた。
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