黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

文字の大きさ
20 / 129
本編

第019話 いざ征かん、学校という名の日常へ④

しおりを挟む
 リーナ姉、あの隣で喋ってたのは……友達?」
「まぁそうね。今日知り合ったばかりだけれど」
 帰り道、校舎から出たアリアが隣で歩くリーナに訊ねる。

「そうなんだ。いいなぁ~リーナ姉は。もうお友だちが出来て」
 わずかに肩を落として羨むアリアに、リーナが聞き返す。

「そう? 意外ね。どちらかと言うと、こういったコミュニケーションは貴方の方が得意だと思うけど……」
「あ~、まぁそうなんだけどね。何というか……遠巻きにジロジロ見られるのがウザったるくて。気になって話をするどころじゃなかったんだよねぇ~」
 げんなりした様子で口を開くアリアに、キリアも軽くため息を吐きながら同意する。

「そうなのよね……最初は『この指輪が上手く機能してないのか?』とも思ったんだけど、トイレの鏡を見てもちゃんと指輪の効果は発動していたし、問題も無いように思えるのよね。だけど、突き刺さる視線は変わらないし、振り解こうと見てくる輩に視線を向けると、何故か顔を赤らめて視線を外すし……」

 そうして揃って「気疲れした」とため息を吐くアリアとキリアとは対照的なのがソアラだった。彼女は「それは災難だったねぇ……」と苦笑しながら、自分が席に着いた時のことを思い返しつつ話す。

「私は逆に自分から話し始めたからなぁ……アリアやキリアの言う『ウザったるい視線』を気にしてる余裕はなかったよ。話してみると、案外スムーズに意思疎通できたよ? 聞けば『ハッと見惚れちゃってどう声をかければいいのか分からなかった』ってさ。それにしても不思議なのが、クラスの何人かの女の子から『お姉様と呼んでもいいですか?』って聞かれたことなんだよね」
「お姉様ねぇ……ソアラはどっちかと言うと、ボクと同じ『妹ポジション』な気がするけどなぁ。まぁそれはいいとして……それで? どう答えたの?」
 ため息を吐き切って心が軽くなったのか、アリアが眉根を寄せつつ訊ねる。

「いや、無難に『ソアラって呼んでね』って返しておいたよ。私は貴女の姉じゃあないんだけど……って突っ込みたかったけど、相手の事を考えると、ね」
「それもそうだね。相手が何か悪いことをしたワケじゃないんだし、キッパリと正面から断るのも都合が悪い……か」
「そうね、まだ学校が始まったばかりだものね」
 ソアラの返答に、アリアとリーナが軽く頷きながら同意する。

 そんな他愛もない会話を続けていると、彼女たちの前に学院の校門が見えて来た。

「あ、ツグ兄だ!」
 大きな校門の柱に寄りかかりながら人を待つツグナに気付いたアリアが、一直線に彼のもとへと駆け寄る。

「おー、お疲れ様。どうだった、学校は?」
「不安と緊張、かなぁ……人が多いし、むず痒い視線は刺さるし。気疲れしたよー」
 スルリとアリアはツグナの背後に回って抱きつく。ツグナは猫のようにトロンとした表情で気持ちよさそうに抱きついてくるアリアに、「やれやれ……」と小さく肩を上下させて苦笑いを浮かべた。

「ある程度まとまっていたら話は違ったんだろうが、生憎とバラバラになったからなぁ……」
「そうですね。兄さんの言う通り、同じクラスになっていたら少しは違っていたんでしょうが……こればかりは仕方がありませんね」

 ツグナに抱きつくアリアを羨ましそうに見ながらも、追いついたリーナが言葉を返す。
「半日しか経ってないけれど、私も疲れたわ。向けられる視線はどれも好意的なのだけれど……私のちょっとした仕草にも反応してくるから気を遣うのよね。数日経てばまた違ってくるでしょうけど、それまでが大変そうね……」
 げんなりした顔で呟くキリアに、ツグナは「反応してしまう相手のことも、分からんでもないな」とわずかばかりの同情を寄せる。

 キリアはおよそ日本人とは思えない、金髪青眼の美少女だ。この姿で目立つなと言うのが無理というものだろう。
「まぁ最初から上手くことが運べるなんてのは無理だろうさ。この学校にはしばらく世話になることだし、新しい環境に慣れるのには時間も必要だ。なぁに、心配はいらないさ。授業が始まれば、このうわついた空気も落ち着くだろうよ」
「そういうものなのかなぁ……?」
「まぁ、兄さんの言うことですし、どのみちこの学校には通わないといけないのですから、仕方がないでしょう」
 ツグナの言葉に首を傾げつつ呟くソアラに、リーナが諭すように言葉をかける。

「ふむ……今日は半日で終わりだ。なら――昼前だけど、どこかで甘いものでも食べていくか? 疲れた時には甘いものがいい、ってのはよく聞くしな」
 ふとツグナの口から呟かれた提案に、女性陣は「それは本当か!?」などとまるで獲物を狙うような目つきで、分かりやすい反応を示す。

「ただぁし! 行くとしてもどこか一箇所だけだからな。いくつもの店をハシゴする時間的余裕はないし、帰ったら昼飯があるからな」
「「「「はーい!」」」」
 ツグナの提案に気をよくしたソアラたちは、先ほどまでの憂はどこへやら、といった感じで一転して嬉しそうな顔で「どれを食べようか」と話し合っている。
「ほら、いつまでもここに居たら、食べられるものも食べられなくなるぞ。移動しながら決めたらいいだろ?」
 ガラリと変わった女性陣の空気に、ツグナは何度目かの苦笑を浮かべて彼女らを先導するのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 会社員の俺が交通事故に遭いました。二か月後、病院で目覚めた時、ほぼ全身不随。瞼と瞳が動かせるものの、手足も首も動かない。でも、病院で寝ると異世界の別人の身体で憑依し、五体満足で生活している。また、異世界で寝ると現代世界に目が覚めるが体の自由は利かない。  睡眠の度に異世界と現代世界を行ったり来たり、果たして、現代社会の俺は、元の身体に戻れる方法があるのだろうか?  そんな男の二重生活の冒険譚です。  毎週水曜日午後8時に投稿予定です。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...