黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第085話 魔煌石を巡る攻防(南の陣) A part⑦

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 しかし、空中機動のスキルで即座に態勢を整えたリルは、夜空にその長い銀髪ツインテールをなびかせながら、地に足をつける。トップスピードで駆けて生まれたエネルギーを、ガリガリと靴底を大きく減らしながら急制動をかけてようやく制止した彼女は、徐に口を開き――

「なるほど。まだ数分も・・・・・あるのか」

 わずかに口の端を持ち上げながら呟いた。

「……なんだと?」
 予想外の返答に、ガンマは訝しく思いながらもその真意を問いただす。

「言った通りだ。『まだ数分もある』と。お前の動きはこれまでの攻撃を通して見させてもらった。そちらがジワジワと嬲る気なら……こちらはその間に一気に決着ケリをつけさせてもらうまでだ」
「ハッ! 烙印の効果で身体の自由が利かなくなってきて、ついにトチ狂ったか? お前の身体はあと一分もかからないうちに自由を奪われる。そんなわずかな時間で一体何を――」

「なら、見せてやろう。魔法を合わせた剣技――魔法戦士としての真髄を!」

 ギラリと鋭い目でガンマを一瞥したリルは、体内にある魔力を高速で練り上げる。その練り上げられた魔力を全身に流すと、体表から漏れた魔力がバチバチッと青白い光とスパーク音として現れた。

「行くぞ。魔法短剣技・・・・・――雷刃双破らいじんそうは

 瞬間、ガンマの視界からリルの姿が掻き消えた。

◆◇◆

「えっ――?」

 リルの繰り出した技が発動したその時、気の抜けた声を漏らしたガンマの目に移ったのは、懐に飛び込んで短剣を振るう相手の姿と首から上が無くなった・・・・・・・・・・自分の姿だった。

「あ……れ――」
 一体何が、と思考するのも束の間、ガンマの視界がぐらりと揺れ動く。

(あ……そう、か――)
 そして彼女は唐突に理解する。

(私は……)


 敗けたしんだのだと。



「くっああああぁぁっ! 疲れたあああ……」
 ガンマを倒した直後、影蜘蛛の群れは黒い砂塵となって風と共に消えた。膨大な量の影蜘蛛を相手に奮闘した白兎は、クリアディーヴァの刃を地面に突き立て、ぐったりとした様子で地べたに腰を降ろす。
 その表情は疲労が色濃く、いつもの軽口や愚痴めいた言葉すら発することがない。
「お疲れ。ほい、回復薬ポーション。結構魔力を消費したでしょ? 気付けも兼ねて、ぐいっと飲んどきな」
 フランはぐったりと腰を降ろして身体を休ませていた白兎に歩み寄ると、懐から小瓶に入った回復薬を取り出してて手渡すr。
「あいよ」
 回復薬を受け取った白兎は、素直にそれを一気に呷る。
「フラン。すまんが、私にも回復薬をもらえるか? さすがに魔法とスキルを多用し過ぎて消耗度合いが尋常ではないんでな」
「はいはい。ちょっと待っててね~。ほい、お待たせ」
 今回の勝利の立役者であるリルがフランたちのもとに帰ってくるが、相手を労う言葉もなく、回復薬をせがんだ。

 雷系統魔法と二刀短剣技の複合技・雷刃双破。これは自身の魔法適性と獲得した短剣技のスキルを組み合わせたリルのオリジナル技である。
 ベースとなっている魔法は、彼女の系統魔法である「蒼雷」だ。本来は生み出した雷をそのまま相手に放つ魔法なのだが、これを「発動待機」の状態で押し留めつつ、自身と短剣に宿らせる。
 この技の特徴として、雷を纏った状態で駆けることになるため、まず速度を飛躍的に向上することが挙げられる。
 その速さはまさに「雷」と表現するに相応しいほどで、瞬間的なスピードならば、魔闘技を発動させたツグナのそれをも上回るレベルだ。
 そして、雷を纏った短剣の攻撃性能の向上、放電による麻痺効果付与が存在する。

 なお、この技を仕掛ける際は、他の魔法は発動できない、魔力の消費が激しく燃費が悪いといったデメリットも存在する。

 効果やデメリットを考慮すると、この技は「一撃必殺」を突き詰めて生まれたものだといえよう。

「さて……こっちは片付けたよ、主。あとはそっちの番・・・・・だ」

 スッと目をツグナの方に向けたフランは、小さな声で呟きつつ、ことの趨勢をじっと見守っていた。
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