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本編
第091話 魔煌石を巡る攻防(南の陣) B part⑥
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「我々の目的はあくまで魔煌石の回収のみ。目的の物は先ほど私の方で回収しました」
そして彼女はそれを証明するように、腰に下げていたポーチから拳大の魔煌石を取り出して目の前に掲げる。
「……で? それがどうした? お前が持っているというのが判明したのなら、こっちとしては取り返せばいいだけの話だろ?」
アルファの発言を受け、ツグナは彼女の顔を真っ直ぐに見ながら無表情で呟く。彼の周囲に発せられる圧力により辺りの空気はピリピリと張り詰めたものに変化し、虫の鳴き声すらも聞こえないほどに静まり返る。
ツグナの言葉に、後方に控えていたリルや白兎、また「阿修羅」の発動による反動で大きく弱体化したサクヅキや背後に負傷した健介・蓮を擁するフランの各召喚獣の表情が険しいものに変化する。
「ふむ……そう言われればそうですね。ですが――これならどうですか?」
ツグナから発せられる圧にも微動だにせず、むしろわずかに微笑を浮かべたアルファはパチンと指を弾く。
「キキィッ! キチキチキチッ!」
「な、何だ――!?」
指を弾くと同時に、両者の間に突如として黒い竜巻が発生する。ゴウッと土埃が巻き上がり、打ち付けられる強風に思わずツグナはその袖で視界を遮る。
そして再び静寂が辺りを包み込み、視界を遮っていた腕を下ろしたツグナの目に飛び込んできたのは――
「――っ!?」
腕を縛られ、満身創痍の状態でぐったりとした様子で俯くアリアに、両翼を圧し折られて瀕死状態のコクヨウだった。
「お判りいただけましたか? もしこのまま何事も無く立ち去らせてもらえれば、彼女らはこのまま貴方にお引渡ししましょう」
「もし断ったら?」
ツグナの問いに対し、アルファはくすりと笑いながら答えを返す。
「そうですねぇ……このままただ殺すのももったいないですし……どうせだったら私の配下として最期までこき使ってあげるとしましょうかねぇ」
「できると思うのか? この状況で」
徐に双短剣を構え、ゆっくりと臨戦態勢に移るツグナ。だが対峙するアルファは眉一つ動かさず、微笑んだまま口を開く。
「確かに。戦力差を鑑みるに、直接戦闘を仕掛けられればこちらの敗北は確実でしょう。もし戦うのであれば、ですが……」
口を開くと同じくして彼女の瞳が深紅に染まり、どこからともなく一匹のコウモリが彼女の肩に止まった。
「吸血鬼、か……下僕を使えば逃げる時間くらいは稼げるってことか?」
「えぇ、その通りです。このコたちは優秀ですよ? 命令をよく聞くし、いざとなればその身を楯にして守ってくれますしね」
アルファは肩に止まったコウモリの頭をコリコリと指で撫でながら言葉を紡ぐ。
「……それで、返答のほどは?」
微笑を浮かべながら回答を催促するアルファに、ツグナはギリッと口惜しそうに奥歯を噛み締める。暫くの間を置き、一度大きく息を吐いたツグナは、ゆっくりと口を開いた。
「――分かった。取引成立だ」
告げると同時、構えを解いたツグナはその手に握っていた三錬琥魄を鞘に戻す。
「ありがとうございます。賢い方は素直に好感が持てますね」
「ハッ、冗談だろ? 最初っからこうなることは予想してただろうに」
苦虫を噛み潰したような表情を見せながら呟くツグナに、アルファはただ微笑のみを浮かべ下僕と九条たちを引き連れて去っていった。
そして彼女はそれを証明するように、腰に下げていたポーチから拳大の魔煌石を取り出して目の前に掲げる。
「……で? それがどうした? お前が持っているというのが判明したのなら、こっちとしては取り返せばいいだけの話だろ?」
アルファの発言を受け、ツグナは彼女の顔を真っ直ぐに見ながら無表情で呟く。彼の周囲に発せられる圧力により辺りの空気はピリピリと張り詰めたものに変化し、虫の鳴き声すらも聞こえないほどに静まり返る。
ツグナの言葉に、後方に控えていたリルや白兎、また「阿修羅」の発動による反動で大きく弱体化したサクヅキや背後に負傷した健介・蓮を擁するフランの各召喚獣の表情が険しいものに変化する。
「ふむ……そう言われればそうですね。ですが――これならどうですか?」
ツグナから発せられる圧にも微動だにせず、むしろわずかに微笑を浮かべたアルファはパチンと指を弾く。
「キキィッ! キチキチキチッ!」
「な、何だ――!?」
指を弾くと同時に、両者の間に突如として黒い竜巻が発生する。ゴウッと土埃が巻き上がり、打ち付けられる強風に思わずツグナはその袖で視界を遮る。
そして再び静寂が辺りを包み込み、視界を遮っていた腕を下ろしたツグナの目に飛び込んできたのは――
「――っ!?」
腕を縛られ、満身創痍の状態でぐったりとした様子で俯くアリアに、両翼を圧し折られて瀕死状態のコクヨウだった。
「お判りいただけましたか? もしこのまま何事も無く立ち去らせてもらえれば、彼女らはこのまま貴方にお引渡ししましょう」
「もし断ったら?」
ツグナの問いに対し、アルファはくすりと笑いながら答えを返す。
「そうですねぇ……このままただ殺すのももったいないですし……どうせだったら私の配下として最期までこき使ってあげるとしましょうかねぇ」
「できると思うのか? この状況で」
徐に双短剣を構え、ゆっくりと臨戦態勢に移るツグナ。だが対峙するアルファは眉一つ動かさず、微笑んだまま口を開く。
「確かに。戦力差を鑑みるに、直接戦闘を仕掛けられればこちらの敗北は確実でしょう。もし戦うのであれば、ですが……」
口を開くと同じくして彼女の瞳が深紅に染まり、どこからともなく一匹のコウモリが彼女の肩に止まった。
「吸血鬼、か……下僕を使えば逃げる時間くらいは稼げるってことか?」
「えぇ、その通りです。このコたちは優秀ですよ? 命令をよく聞くし、いざとなればその身を楯にして守ってくれますしね」
アルファは肩に止まったコウモリの頭をコリコリと指で撫でながら言葉を紡ぐ。
「……それで、返答のほどは?」
微笑を浮かべながら回答を催促するアルファに、ツグナはギリッと口惜しそうに奥歯を噛み締める。暫くの間を置き、一度大きく息を吐いたツグナは、ゆっくりと口を開いた。
「――分かった。取引成立だ」
告げると同時、構えを解いたツグナはその手に握っていた三錬琥魄を鞘に戻す。
「ありがとうございます。賢い方は素直に好感が持てますね」
「ハッ、冗談だろ? 最初っからこうなることは予想してただろうに」
苦虫を噛み潰したような表情を見せながら呟くツグナに、アルファはただ微笑のみを浮かべ下僕と九条たちを引き連れて去っていった。
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