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本編
第090話 魔煌石を巡る攻防(南の陣) B part⑤
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「グルオオオオオオオオオッ!」
あと少しというところでサクヅキによって獲物を仕留め損ねた呪い竜は、邪魔された怒りを吐き出すように一段と大きな咆哮を上げて襲い掛かる。
「ハッハアアアァッ! 来いよ、デカブツゥ! このクッソだるい戦いもフィナーレと行こうじゃねぇか!」
口の両端を大きく吊り上げ、テンションがMAXになったサクヅキは、襲い来る牙をするりと紙一重で躱して飛び上がると、落下エネルギーを上乗せした六本の剣を竜の上顎に叩き付ける。
「グオオオオオオッ!?」
阿修羅の発動により威力と破壊力が増したその力は、およそ無理だと思われたその骨に大きな亀裂を生じさせる。たまらず悲鳴を上げた呪い竜だが、その程度でサクヅキの攻撃が止まることは無い。
「いい加減砕けろ! ――六連壊劫!」
「グルゥアアアアアアアアアアアァァァッ!?」
叫ぶと同時、壱~陸とナンバリングされた漆黒の剣が全く同じタイミングで呪い竜の頭蓋に打ち付けられる。直後、彼が打ちつけた箇所が大きく窪む。
彼の放った技「六連壊劫」は、破壊属性を持たせた六本の黒剣を「全く同じタイミング」かつ「全く同じ箇所」叩き付ける剣技で、繰り出した直後に計6回の音が轟く。
この技の特徴は、破壊の力を一点に集中させ、硬い外殻に覆われた相手をその外殻ごと打ち砕くことにある。
「――壱」
「ドゴオオオオオォォォン!」
ポツリとサクヅキの口から漏れる言葉。それに合わせて身を震わせるほどの大きな轟音が辺りに響き渡る。
「――弐……参」
「ドゴオオオオオォォォン! ――……ドゴオオオオオォォォン!」
続いて紡がれるサクヅキのカウント。その言葉が紡がれる度に轟音が響く。
「――伍……陸。そして、終幕だ」
最後の数まで数え終え、計6回の轟音が鳴り響いた時、
「グ……ルゥオ、オォォァァ……」
ガラガラと破片を撒き散らしながら呪い竜の頭蓋が崩落した。
「ウ、ウソだろ……お、俺の腕が――」
ツグナとサクヅキによって右腕と左腕を砕かれた九条は、茫然とした顔で膝から崩れ落ちた。
彼にとってアザエルにより与えられた新たな力――「呪い竜」は正に「強さ」を示す象徴であった。
九条はこの力を使い、多くの者を喰らってきた。
そこに貴賤の差はなく、男女の差も関係がない。
なお、中には「捕食者」たる九条に対し、拳を握り挑んできた者も少なからず存在した。自分の命を守るため、この狂った状況から脱するため――理由については様々だが、九条にとってそんな「餌」一人一人の背景について欠片ほどの興味も湧かない。
あるのは、純粋な享楽だけだ。
その結果、彼に挑んだ者たちは、一人も漏れることなくその身に絶望の二字を刻み込まれながら喰らい尽くされた。
絶対的強者。
その言葉を象徴する呪い竜が砕かれた。
「――っ!」
両腕を失い、力なく崩れる九条に迫ったツグナは、ガラ空きとなった相手の胴体、その心臓へ双短剣の刃を突き立てようと仕掛けるが――
「……そこまでにしてもらおうか」
突如何者かがツグナと九条の間に割って入り、三錬琥魄の刃を指で挟んで止める。
「あ゛ぁ? 何だお前は……」
短剣を止められたツグナは、一旦距離をとって乱入してきた相手を見つめる。
「申し遅れました。私の名はアルファ。この者たちを引き連れる者……と言えば分かり易いでしょうか」
「ほぉ……指揮官自らお出ましか。それで? いきなり現れて何の用だ?」
ツグナは警戒を露わにしてじっとアルファを見つつもスッと構えを解いた。抜き身の短剣は手にしているが、構えを解いたことで「一応話ぐらいは聞いてやる」と態度で示す。
「端的に申し上げましょう――ここらでこの場は手を引いてもらえませんか?」
「……何だと?」
アルファの申し出に、ツグナはわずかに語気を強めて問い返した。
あと少しというところでサクヅキによって獲物を仕留め損ねた呪い竜は、邪魔された怒りを吐き出すように一段と大きな咆哮を上げて襲い掛かる。
「ハッハアアアァッ! 来いよ、デカブツゥ! このクッソだるい戦いもフィナーレと行こうじゃねぇか!」
口の両端を大きく吊り上げ、テンションがMAXになったサクヅキは、襲い来る牙をするりと紙一重で躱して飛び上がると、落下エネルギーを上乗せした六本の剣を竜の上顎に叩き付ける。
「グオオオオオオッ!?」
阿修羅の発動により威力と破壊力が増したその力は、およそ無理だと思われたその骨に大きな亀裂を生じさせる。たまらず悲鳴を上げた呪い竜だが、その程度でサクヅキの攻撃が止まることは無い。
「いい加減砕けろ! ――六連壊劫!」
「グルゥアアアアアアアアアアアァァァッ!?」
叫ぶと同時、壱~陸とナンバリングされた漆黒の剣が全く同じタイミングで呪い竜の頭蓋に打ち付けられる。直後、彼が打ちつけた箇所が大きく窪む。
彼の放った技「六連壊劫」は、破壊属性を持たせた六本の黒剣を「全く同じタイミング」かつ「全く同じ箇所」叩き付ける剣技で、繰り出した直後に計6回の音が轟く。
この技の特徴は、破壊の力を一点に集中させ、硬い外殻に覆われた相手をその外殻ごと打ち砕くことにある。
「――壱」
「ドゴオオオオオォォォン!」
ポツリとサクヅキの口から漏れる言葉。それに合わせて身を震わせるほどの大きな轟音が辺りに響き渡る。
「――弐……参」
「ドゴオオオオオォォォン! ――……ドゴオオオオオォォォン!」
続いて紡がれるサクヅキのカウント。その言葉が紡がれる度に轟音が響く。
「――伍……陸。そして、終幕だ」
最後の数まで数え終え、計6回の轟音が鳴り響いた時、
「グ……ルゥオ、オォォァァ……」
ガラガラと破片を撒き散らしながら呪い竜の頭蓋が崩落した。
「ウ、ウソだろ……お、俺の腕が――」
ツグナとサクヅキによって右腕と左腕を砕かれた九条は、茫然とした顔で膝から崩れ落ちた。
彼にとってアザエルにより与えられた新たな力――「呪い竜」は正に「強さ」を示す象徴であった。
九条はこの力を使い、多くの者を喰らってきた。
そこに貴賤の差はなく、男女の差も関係がない。
なお、中には「捕食者」たる九条に対し、拳を握り挑んできた者も少なからず存在した。自分の命を守るため、この狂った状況から脱するため――理由については様々だが、九条にとってそんな「餌」一人一人の背景について欠片ほどの興味も湧かない。
あるのは、純粋な享楽だけだ。
その結果、彼に挑んだ者たちは、一人も漏れることなくその身に絶望の二字を刻み込まれながら喰らい尽くされた。
絶対的強者。
その言葉を象徴する呪い竜が砕かれた。
「――っ!」
両腕を失い、力なく崩れる九条に迫ったツグナは、ガラ空きとなった相手の胴体、その心臓へ双短剣の刃を突き立てようと仕掛けるが――
「……そこまでにしてもらおうか」
突如何者かがツグナと九条の間に割って入り、三錬琥魄の刃を指で挟んで止める。
「あ゛ぁ? 何だお前は……」
短剣を止められたツグナは、一旦距離をとって乱入してきた相手を見つめる。
「申し遅れました。私の名はアルファ。この者たちを引き連れる者……と言えば分かり易いでしょうか」
「ほぉ……指揮官自らお出ましか。それで? いきなり現れて何の用だ?」
ツグナは警戒を露わにしてじっとアルファを見つつもスッと構えを解いた。抜き身の短剣は手にしているが、構えを解いたことで「一応話ぐらいは聞いてやる」と態度で示す。
「端的に申し上げましょう――ここらでこの場は手を引いてもらえませんか?」
「……何だと?」
アルファの申し出に、ツグナはわずかに語気を強めて問い返した。
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