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聖女の親友
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妖精も精霊も女神もいる魔法の世界。
魔素の澱みによる魔獣の凶暴化と、厄災を引き起こす澱みをまとったドラゴンの来襲。魔素の澱みを浄化できるのは聖女のみ。
聖女となったヒロインは貴族たちが通う学園に入園し、攻略対象との恋愛を楽しみながら聖魔法を学び、最後にはドラゴンを討伐し、魔素の乱れを正して国に平和をもたらす。
人気のあったゲームの続編。
全作品の子供世代のお話し。
それが私の生まれてきた世界だ。
そうか、魔素が澱んでいるのか。
そうか、ドラゴンが襲ってくるのか。
私の中の記憶はゲームという簡単な話しの流れだけ。未来に厄災が起こるのはわかったが、私にできることなど何もない。
もしもこの記憶が本当に起こることならば、すでに数回は女神様の神託があったはずだ。ゲームの中では、聖女が生まれる前と、5歳になる年と、入学前にも神託が下ろされていた。
我が家の裏手の森側にある作業場からはいつも剣を鍛える音が聞こえてくる。我が家の剣が勇者たちの使う聖剣となるのだろう。
仕事場は無骨で荒々しくて、それでもきらきらと輝いている。それはどこか厳かなきらめきで、たまに肌がぞわぞわする。
フレイはついに見習いとなり、その輝きの中に加わった。うらやましくもあるが、私には無理だと納得もできている。女の子だからとかではなく、きっと男に生まれていても私に剣は造れなかっただろう。
一人でこの広場にいるのはつまらない。
けれど、変な記憶を持った今、あのゲームが現実なのか確かめたかった。この世の平和を守るヒロインをこの目で見てみたかった。
だからここに来た。
ただの野次馬だ。
彼らは広場の端に集まっている。昔は騎士様ごっこをして遊んでいると思っていたが、今見ると訓練しているようにも見える。
ヒロインの立ち位置は聖女と言うよりお姫様だ。男子の注目を集め、ちやほやされている。
もう一人いる女の子はヒロインの親友だ。
「私の親友。いつも一緒にいたの」
頭の中で少し大人になったヒロインが話している。
「いつも一緒にいた」
そう、いつも一緒に遊んでいた。
あれ?
今も同じ集まりにはいる。でも、一緒にはいない。
彼女は彼らから少し離れた場所にポツンと一人で立ち、仲間の様子を眺めている。
ヒロインは男子たちに囲まれ、お姫様のように特別に扱われている。
攻略対象の幼なじみはその目に、態度に、ヒロインへの恋心を溢れさせ、耳の先を赤く染めている。
その様子をただ見ている親友の女の子。その表情だけで彼女の恋の相手もよくわかった。
ねえ、なんでそんな離れたところで見つめているの?
なんでヒロインと一緒に話そうとしないの?
彼女の姿はとても切ない。
目が離せなくなった。
目が離せなくて、ジッと見すぎたのだろうか。
彼女は私の視線に気がつき振り返った。
しかっりと目が合った。
魔素の澱みによる魔獣の凶暴化と、厄災を引き起こす澱みをまとったドラゴンの来襲。魔素の澱みを浄化できるのは聖女のみ。
聖女となったヒロインは貴族たちが通う学園に入園し、攻略対象との恋愛を楽しみながら聖魔法を学び、最後にはドラゴンを討伐し、魔素の乱れを正して国に平和をもたらす。
人気のあったゲームの続編。
全作品の子供世代のお話し。
それが私の生まれてきた世界だ。
そうか、魔素が澱んでいるのか。
そうか、ドラゴンが襲ってくるのか。
私の中の記憶はゲームという簡単な話しの流れだけ。未来に厄災が起こるのはわかったが、私にできることなど何もない。
もしもこの記憶が本当に起こることならば、すでに数回は女神様の神託があったはずだ。ゲームの中では、聖女が生まれる前と、5歳になる年と、入学前にも神託が下ろされていた。
我が家の裏手の森側にある作業場からはいつも剣を鍛える音が聞こえてくる。我が家の剣が勇者たちの使う聖剣となるのだろう。
仕事場は無骨で荒々しくて、それでもきらきらと輝いている。それはどこか厳かなきらめきで、たまに肌がぞわぞわする。
フレイはついに見習いとなり、その輝きの中に加わった。うらやましくもあるが、私には無理だと納得もできている。女の子だからとかではなく、きっと男に生まれていても私に剣は造れなかっただろう。
一人でこの広場にいるのはつまらない。
けれど、変な記憶を持った今、あのゲームが現実なのか確かめたかった。この世の平和を守るヒロインをこの目で見てみたかった。
だからここに来た。
ただの野次馬だ。
彼らは広場の端に集まっている。昔は騎士様ごっこをして遊んでいると思っていたが、今見ると訓練しているようにも見える。
ヒロインの立ち位置は聖女と言うよりお姫様だ。男子の注目を集め、ちやほやされている。
もう一人いる女の子はヒロインの親友だ。
「私の親友。いつも一緒にいたの」
頭の中で少し大人になったヒロインが話している。
「いつも一緒にいた」
そう、いつも一緒に遊んでいた。
あれ?
今も同じ集まりにはいる。でも、一緒にはいない。
彼女は彼らから少し離れた場所にポツンと一人で立ち、仲間の様子を眺めている。
ヒロインは男子たちに囲まれ、お姫様のように特別に扱われている。
攻略対象の幼なじみはその目に、態度に、ヒロインへの恋心を溢れさせ、耳の先を赤く染めている。
その様子をただ見ている親友の女の子。その表情だけで彼女の恋の相手もよくわかった。
ねえ、なんでそんな離れたところで見つめているの?
なんでヒロインと一緒に話そうとしないの?
彼女の姿はとても切ない。
目が離せなくなった。
目が離せなくて、ジッと見すぎたのだろうか。
彼女は私の視線に気がつき振り返った。
しかっりと目が合った。
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