聖女の幼なじみ

野原もな

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裏 騎士団

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 結局俺は騎士団に引き渡されることになった。

 奴隷印はそのままだ。

 潜在的な俺の魔力に恐れをなした神父が教皇に進言していた。どんな子供かわからない今は制限をはずすべきではないと。
 
 魔力制限の魔道具を付けようじゃなく、奴隷のままで飼うべきだという意味なのだろう。俺が討伐に参加したがら無くても、奴隷ならば強制的に参加させられる。

 神父も考えることは腐ってる。

 だから言わなかったが、俺は奴隷印の制限を受けていても普通に魔法が使える。大きな魔力を消費する攻撃魔法や強力な結界は無理だが、身体強化や風魔法を使った盗み聞きなどお手のものだし、他人の魔力を感じることもできる。

 魔力が使えない、非力な子供でいることに安心している神父たちを鼻で笑いながら担当の騎士が来るのを待った。

 やって来たのは大柄で逞しい応王宮騎士団の騎士団長と、背は高いが細身で大きな魔力を隠している副団長だった。
 俺は副団長の親族の養子となり、町で生活を送りながら騎士になるべく訓練をすることに決まった。

「君のことを調べたけど、はっきりとした身分はわからなかったんだ。推測だけで証拠は全くない」

 そんな説明を俺は意外な思いで聞いていた。
 確かに、娼館の人がお前の母親はと話してくれたが、それがどこまで本当の事なのかわかっていない。

 だが、かすかに記憶に残る母の叫びが嘘だったとは思えない。

「なので、君は孤児院で育った孤児だということにする。戸籍もこちらで用意した。君の名は今日からカイルだ」

「俺は奴隷だけど?解放してはくれないの?」
 
 そう聞くと、彼らはひどく驚いた顔をした。

 俺が奴隷だと知らなかったらしい。
 副団長が慌てて確認に行ったが、俺の鍵は教皇が持ったままだという。持ったまま本教会に帰ったと。しばらく連絡も取れなくなると。

 副団長は苦々しく顔をしかめていた。
 奴隷だとは聞いていないと呟いていた。

 その日のうちに俺は辺境から異動してきた副団長の親族という騎士と引き合わされた。

 俺は彼の息子カイルとなった。
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