とある警察の事件奇譚

くろいぴあすのひと。

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「罪人は」

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「警部」

   凛と通った声に反応し起き上がる。

...仕事中に寝てしまったみたい。

「あー...ごめん李奈ちゃん...」

   ...この人は僕の部下の山本李奈。
体術などに優れた僕の良き相棒であり部下だ。

   ...あ、僕は柚木圭。
よく童顔だとか低身長だとか言われるけど、
30代目前の警察やってます。

「...この前の殺人事件ですが」

資料を見ながら事件の概要を説明しようとする李奈ちゃん。

「4丁目のところだよね~?」

...頭に入ってるから正直言っておさらいはいらないかな。

「はい。今月に入って3回目です。」

「3回目...いい加減捕まえるべきだけど...」

情けない話、犯人のことは何も分かってないわけで...
...僕の正義のため、平和のためにも早く捕まえないとね

「...警部はいつも正義を貫きますよね」

「え、聞こえてた!?」

「普通に言ってましたよ」

普通に聞こえてたって...ちょっと恥ずかしいなあ...

「んー...ちょっと糖分補給させて...」

引き出しから一口サイズのチョコレートを取り出して口に入れる。
ミルクの優しい甘さが広がる。美味しい。

「...警部、それただのおやつタイムです」

「え、バレた?
...李奈ちゃんも食べる?」

「大丈夫です。自分甘いもの苦手なので。」

残念だなぁ、とか口走りながら机の上のパソコンを見る。
...あれ、もしかして...

「...李奈ちゃん。これみてくれるかな?」

「...なんですか?警部」

「ヘビ女の話。」

ヘビ女とは、今巷を騒がせている爆破テロの通り名である。
...で、僕に何がわかったか、の話だね

「ヘビ女について何かあったんですか?」

「...毎週火曜日にどこかの建物を爆破するんだ。
でも、いつも爆破するのは『前爆破したところの半径1キロ以内』なんだよね。」

「...本当ですね。よく気付きましたね」

「...で、これは偶然かもなんだけど、
連続殺人事件の被害者の頭文字を見てみると...」

「...『曽山雅之そやままさゆき』『海島貴仁うみしまたかと』『児島智也こじまともや』...そうこ?」

「倉庫、だね。そして最後に爆破したところから、
半径1キロを探してみると倉庫は1件見つかった。」

「...警部、まさか?」

「もしかしたら、いるかもしれないね。」

少し得意げに言う。
李奈ちゃんも驚いている様子。

「...罠かもしれませんよ?」

「...その可能性もあるけど、僕は行くつもりだよ?」

「...丁度明日の様子ですしね」

「明日この倉庫に乗り込む。用意をしようか」
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