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水瀬佑香
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昼休み。
俺はすぐに教室を出て、水瀬佑香に接触するために、隣の2年2組に向かった。
2組の教室にはまだ人がたくさんいた。
俺は、佑香がまだ教室を出ていないことを祈って、適当な女生徒を捕まえた。
「ごめん、水瀬さん教室にいる?」
「水瀬さんならあそこにいるよ」
そう言って指差した場所は、1番廊下側の席の、後ろから2番目だった。
そこには、髪がショートの女の子が座っていた。
しかし、悠のように勝気な女の子の印象ではなく、なんとなく気の弱そうで静かな女の子の印象だった。
顔も、優しそうな雰囲気を漂わせている。
今回は、自分の記憶を探るために話しかけるため、一応メニュー画面を開いて教室の前でセーブした。
4月5日 火曜 13時00分。
俺は2組に入って、その女の子に近付いた。
「佑香、ちょっといいかな?」
なるべくフレンドリーに、話しかけた。
「?!」
何故か驚いた顔をしていた。何かまずかったのだろうか。
「ごめん、驚かせちゃって。2年は同じクラスになれなかったな」
俺は、相手に好印象を持たれる話題を振って、話しやすい雰囲気にした。
「う、うん。1年の時も同じじゃなかったし、2年間同じクラスじゃないね」
「ちょっと残念だなー。幼馴染だし、3年は同じクラスになりたいよ」
そう言って微笑んだ。
実際、水瀬佑香とは初対面なのに、こんな風に佑香という女の子の心をもてあそんでしまって、本当に申し訳ない気持ちになった。
「海人くん、今日はどうしたの? 私は嬉しいけど……」
最後のほうは声が小さくなり聞こえなかった。
「いや、ちょっと佑香に聞きたいことがあるんだよ」
「どうしたの?」
そこで一度、間を置いてから佑香に質問した。
「種田心愛って人、知ってる?」
「っ?!」
俺がそう言った時、明らかに佑香が動揺した。
目は見開かれて、過呼吸気味になっていた。
「ごめん、佑香!大丈夫?!」
「どうしてっ?! どうして心愛の話をするの?!」
俺は佑香が内気そうな女の子だと思っていたから、突然こんな大声を出してきて驚いた。
佑香の瞳からは、大粒の涙が流れている。
「佑香、ちょっと落ち着いてくれ……」
「阿澄のやつ、水瀬さんのこと泣かしてるよ……」
「私、水瀬さんがあんな声出すの初めて見たよ……」
教室の生徒の視線が俺たちに集中して、みんなが口々に俺たちのことを話し始めた。
きっと、心愛という少女のことは、俺たち幼馴染の中では絶対に話題に上げちゃダメなことだったんだ。
もう少し、注意を払うべきだった。
佑香は今もなお、泣き続けている。
「ちょっとキミ、何水瀬さんのこと泣かせてるのよ」
知らない女の子が話しかけてきた。
髪は、鎖骨のあたりまで伸びていて、身長は165?あたり、目は割と大きく、顔は色白、すれ違えば、自然と目が行くくらいの可愛い女の子だった。
「ごめん、泣かせるつもりは本当に無かったんだ……」
「それは、あなたを見てれば分かるから」
そう言い、その女の子は佑香に近付いた。
「水瀬さん、ちょっと一緒に来てくれる?」
佑香は泣きながら戸惑っていたが、首を縦に振って席を立った。
俺は、その場でじっとしていた。
「何してるの? あなたも来るのよ」
「あ、はい……」
もう少し、気を使って動けば佑香を泣かせずにすんだのだろうか。
そう思ったが、こればっかりは仕方の無いことだと、自分の中で言い聞かせて佑香とその女の子に着いていった。
心の中で、佑香に謝りながら。
俺はすぐに教室を出て、水瀬佑香に接触するために、隣の2年2組に向かった。
2組の教室にはまだ人がたくさんいた。
俺は、佑香がまだ教室を出ていないことを祈って、適当な女生徒を捕まえた。
「ごめん、水瀬さん教室にいる?」
「水瀬さんならあそこにいるよ」
そう言って指差した場所は、1番廊下側の席の、後ろから2番目だった。
そこには、髪がショートの女の子が座っていた。
しかし、悠のように勝気な女の子の印象ではなく、なんとなく気の弱そうで静かな女の子の印象だった。
顔も、優しそうな雰囲気を漂わせている。
今回は、自分の記憶を探るために話しかけるため、一応メニュー画面を開いて教室の前でセーブした。
4月5日 火曜 13時00分。
俺は2組に入って、その女の子に近付いた。
「佑香、ちょっといいかな?」
なるべくフレンドリーに、話しかけた。
「?!」
何故か驚いた顔をしていた。何かまずかったのだろうか。
「ごめん、驚かせちゃって。2年は同じクラスになれなかったな」
俺は、相手に好印象を持たれる話題を振って、話しやすい雰囲気にした。
「う、うん。1年の時も同じじゃなかったし、2年間同じクラスじゃないね」
「ちょっと残念だなー。幼馴染だし、3年は同じクラスになりたいよ」
そう言って微笑んだ。
実際、水瀬佑香とは初対面なのに、こんな風に佑香という女の子の心をもてあそんでしまって、本当に申し訳ない気持ちになった。
「海人くん、今日はどうしたの? 私は嬉しいけど……」
最後のほうは声が小さくなり聞こえなかった。
「いや、ちょっと佑香に聞きたいことがあるんだよ」
「どうしたの?」
そこで一度、間を置いてから佑香に質問した。
「種田心愛って人、知ってる?」
「っ?!」
俺がそう言った時、明らかに佑香が動揺した。
目は見開かれて、過呼吸気味になっていた。
「ごめん、佑香!大丈夫?!」
「どうしてっ?! どうして心愛の話をするの?!」
俺は佑香が内気そうな女の子だと思っていたから、突然こんな大声を出してきて驚いた。
佑香の瞳からは、大粒の涙が流れている。
「佑香、ちょっと落ち着いてくれ……」
「阿澄のやつ、水瀬さんのこと泣かしてるよ……」
「私、水瀬さんがあんな声出すの初めて見たよ……」
教室の生徒の視線が俺たちに集中して、みんなが口々に俺たちのことを話し始めた。
きっと、心愛という少女のことは、俺たち幼馴染の中では絶対に話題に上げちゃダメなことだったんだ。
もう少し、注意を払うべきだった。
佑香は今もなお、泣き続けている。
「ちょっとキミ、何水瀬さんのこと泣かせてるのよ」
知らない女の子が話しかけてきた。
髪は、鎖骨のあたりまで伸びていて、身長は165?あたり、目は割と大きく、顔は色白、すれ違えば、自然と目が行くくらいの可愛い女の子だった。
「ごめん、泣かせるつもりは本当に無かったんだ……」
「それは、あなたを見てれば分かるから」
そう言い、その女の子は佑香に近付いた。
「水瀬さん、ちょっと一緒に来てくれる?」
佑香は泣きながら戸惑っていたが、首を縦に振って席を立った。
俺は、その場でじっとしていた。
「何してるの? あなたも来るのよ」
「あ、はい……」
もう少し、気を使って動けば佑香を泣かせずにすんだのだろうか。
そう思ったが、こればっかりは仕方の無いことだと、自分の中で言い聞かせて佑香とその女の子に着いていった。
心の中で、佑香に謝りながら。
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