伝説の富豪デンバー伯爵

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献上品

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ペリアッド5世の即位式において大商人ベルケルの贈った品々は、どれも新王の深い興味を掻き立てるのに十分でした。
それらは大きく美しい宝石の嵌め込まれた、金や、オレイカルコスの工芸品、絵画、英雄の彫塑、またいかにも美味しそうで美しい見たことのない作物の類いでした。
新王ペリアッド5世は、献上品に感嘆の声をあげる人々が静まるのを待ってから、ベルケルに尋ねました。
「ベルケルよ、これらの品々を一体どこで手に入れたのか?」
ベルケルは先王ペリアッド4世の弟であった。
彼は口髭を蓄え、体格も良く、人望もあって彼こそ王の資質を備えては居たものの、兄の指名を尊重して政治から退いて商人になっていたのです。
今回、甥の即位を記念に残るものにしてあげるために労をして手に入れた品々であり、本来で有れば自分の邸宅に飾りたいものでした。
「これらの品々はデンバー伯爵様よりお譲り頂いたものでございます」
王を始め集まっていた一同が鎮まりかえりました。
ペリアッド5世その他貴人たちもデンバー伯爵に会ったことがなく、デンバーなる人物はただの作り話だとされていたからです。
「ベルケル!たとえ叔父であろうとも王を侮辱する者に極刑が下ることは存じておろうな!」
「はい、存じております」
ペリアッドは自分への贈り物に存在の定かではない人物の名を持ち出すとはけしからんこどだと難癖を付けたのです。
つい最近も、デンバー伯爵に教えをこうて財を為したと吹聴する商人が捕らえられて死刑になり、王室が財産を没収すると言う事件があったばかりでした。
場に緊張が走り、控えていた近衛兵達が一斉にベルケルを取り囲んで槍を向けた所で、一人の女性が歩み出ました。
「お辞めなさい、みっともない!」
王妃ホラムでした。
「我が夫ペリアッド、私は真実を語ると誓います。デンバー伯爵はあの川の向こうに本当にいらっしゃるのです」
ホラム王妃の登場にたじろいだペリアッドでしたが、取り直してこう言いました。
「真であれば、今夜この城にデンバーを連れて来るがよい!」
「私を信じないのね」
王妃ホラムは冷たく言い放ちました。
「そもそもだが、私の即位式に隣国の伯爵が来ていないとは何事だ!今すぐここへ連れてまいれ!」
興奮する新王に呆れた王妃は次の様に言いました。
「あなた、国の歴史を学んでいないのね」
実際ペリアッドは、剣の才能には恵まれて稽古に熱を入れていましたが、書物による勉強は嫌いで王家にとって学んでおくべき事柄について知りませんでした。
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