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森の女主人
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オオカミは、痛さに耐えながらも、アレンのしてくれた事にいたく感銘を受け、強く心に念じた。
「森の精霊よ、俺が間違っていたよ。この方がますますご立派になられるようにお助け申し上げたいのだが、良い方法を教えてくれないか?」
「良かろう、どうやら今こそ、その力を使う時が来たようだ」
「何の話だ?」
「実はな、これは特例なのだが、やがてある出来事により、私は野生動物を人間にしてやる事になっていてその力を授かっておるのだ」
「何と! じゃその力をもしかしてオレに?」
「そうだ、お前で間違いなかろう。力を授かる当事者のお前に経緯を教えてやろう」
「ありがとう、教えてくれ」
まだ、人が生活を始めて間もない昔の事、この森に神々が住んでおられたのだ。そして支配者の名に因んで、ここはサンドラーチェの森と呼ばれておったのだ。まだ女性の影響力が強かった頃だ。
余談だが一つ教えておいてやろう。
今世界を支配しているのは男だ。
しかし、それは当然ではなく、文明と呼ばれる時代が始まってからの極最近の話なのだ。
その前にもある種の文明が栄えており、世界中で主に女性が支配していたのだ。
女性文明は平和を好むあまり停滞していると思われはじめ、その後好戦的な男性文明に取って変わり始めたのだ。
さて、お前が傷を洗って貰った河は、聖河ガルバトスと呼ばれていた、同名の竜ガルバトスによって支配され、大魔女サンドラーチェ様も、この河にだけは口出しすることは叶わなかったのだ。
サンドラーチェ様は、森の女主人として森の動植物、そして人間を愛し面倒を見ておられた。
私を創って下さったのもサンドラーチェ様なのだ。
森の生き物達は、女神の庇護の元、それぞれ幸せに暮らしていたが、だんだんと地上に人間が増え始め、ついに森の東にも人間の王国が誕生したのだ。
この頃から世界は男性支配に移行し始めたのだ。
メリナス王の5年、空から星の欠片が落ちてきて、世界中が寒くなり、飢饉が襲った。
メリナス王は、国中の領主、呪術師、神官達を呼び寄せて、会議を開いたのだ。
「皆の者よく聞け! 王たる私は民の安全と幸せを第一に考えておる。この困難を解決する知恵のある者が居れば発言するが良い」
古代の王達は、それはそれは神の如き魂を持ち、民に尊敬されて君臨していたのだ。
こうして、民の王メリナスは、集まった人々に意見を求めたのだよ。
すると一人の神官が言ったのさ。
「女神ダモスの神官カリウメネでございます、発言の許可を」
「よろしい」
「神々がお隠れになりつつある今も、西の森は我が女神ダモスの娘、サンドラーチェ様によって治められております。」
「ふむ、それで?」
「古い伝えによりますと、500年程前に、慈悲深きサンドラーチェ女神は、周囲の村の飢饉を救ったと言われております」
「左様か、では早速女神に使いを出して懇願しようではないか」
「はい、しかし一つ問題があります」
「言ってみよ」
「女神は頼み事については生贄を所望されると言われております」
「何と! それは確かか?」
「そうでございます」
「民は救いたいが、生贄は反対じゃ、何とかならんのか?」
皆が事の成り行きを見守って、静まりかえっていた。
「森の精霊よ、俺が間違っていたよ。この方がますますご立派になられるようにお助け申し上げたいのだが、良い方法を教えてくれないか?」
「良かろう、どうやら今こそ、その力を使う時が来たようだ」
「何の話だ?」
「実はな、これは特例なのだが、やがてある出来事により、私は野生動物を人間にしてやる事になっていてその力を授かっておるのだ」
「何と! じゃその力をもしかしてオレに?」
「そうだ、お前で間違いなかろう。力を授かる当事者のお前に経緯を教えてやろう」
「ありがとう、教えてくれ」
まだ、人が生活を始めて間もない昔の事、この森に神々が住んでおられたのだ。そして支配者の名に因んで、ここはサンドラーチェの森と呼ばれておったのだ。まだ女性の影響力が強かった頃だ。
余談だが一つ教えておいてやろう。
今世界を支配しているのは男だ。
しかし、それは当然ではなく、文明と呼ばれる時代が始まってからの極最近の話なのだ。
その前にもある種の文明が栄えており、世界中で主に女性が支配していたのだ。
女性文明は平和を好むあまり停滞していると思われはじめ、その後好戦的な男性文明に取って変わり始めたのだ。
さて、お前が傷を洗って貰った河は、聖河ガルバトスと呼ばれていた、同名の竜ガルバトスによって支配され、大魔女サンドラーチェ様も、この河にだけは口出しすることは叶わなかったのだ。
サンドラーチェ様は、森の女主人として森の動植物、そして人間を愛し面倒を見ておられた。
私を創って下さったのもサンドラーチェ様なのだ。
森の生き物達は、女神の庇護の元、それぞれ幸せに暮らしていたが、だんだんと地上に人間が増え始め、ついに森の東にも人間の王国が誕生したのだ。
この頃から世界は男性支配に移行し始めたのだ。
メリナス王の5年、空から星の欠片が落ちてきて、世界中が寒くなり、飢饉が襲った。
メリナス王は、国中の領主、呪術師、神官達を呼び寄せて、会議を開いたのだ。
「皆の者よく聞け! 王たる私は民の安全と幸せを第一に考えておる。この困難を解決する知恵のある者が居れば発言するが良い」
古代の王達は、それはそれは神の如き魂を持ち、民に尊敬されて君臨していたのだ。
こうして、民の王メリナスは、集まった人々に意見を求めたのだよ。
すると一人の神官が言ったのさ。
「女神ダモスの神官カリウメネでございます、発言の許可を」
「よろしい」
「神々がお隠れになりつつある今も、西の森は我が女神ダモスの娘、サンドラーチェ様によって治められております。」
「ふむ、それで?」
「古い伝えによりますと、500年程前に、慈悲深きサンドラーチェ女神は、周囲の村の飢饉を救ったと言われております」
「左様か、では早速女神に使いを出して懇願しようではないか」
「はい、しかし一つ問題があります」
「言ってみよ」
「女神は頼み事については生贄を所望されると言われております」
「何と! それは確かか?」
「そうでございます」
「民は救いたいが、生贄は反対じゃ、何とかならんのか?」
皆が事の成り行きを見守って、静まりかえっていた。
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