14 / 19
大聖メノン
しおりを挟む
「てやんでい! どうしてこうも人間は決まり事が好きなんでしょうねえ、アレンさん」
「そうだねカミル君、ただ断食修業は危険な修業ゆえ段階が設けられているのだろうさ」
「なるほど、それはそうとアレンさん、腹減りましたね」
「そうだね、しかし私は修業中だから君は食べて来るがいい」
「いや、だって100日間断食の許可は下りなかったんでしょう?」
「うん、私の修業を決めるのは他の誰でもなく私自身のはずだから、このまま断食修業を開始するよ」
「はー、そう言うもんですか。
じゃあ、あっしは食べに行きますぜ」
「そうだね、私の分まで楽しんで来てくれたまえ」
カミルは一瞬アレンを心配したが、食欲の方が勝ったのでサッサと食堂にかけて行きました。
アレンはカミルを見送る事なく再び森に分け入って瞑想を始めたが、ここ数日間の疲れもあって石の上で寝入ってしまいました。
どの位の時が経っていたか、誰かがアレンの肩を揺すりました。
アレンが目を覚ますと、目の前に自分より少しだけ歳上と思われる青年が立っていました。
「見かけない方ですが、こんな所でどうなさいましたか?」
「寝入ってしまった様です。私は今日この断食郷に入門しましたアレンと申します」
「そうでしたか、私は同じく修行僧のメノンと言います。夕食は食べましたか?」
「いいえ」
それからアレンはこれまでの経緯をメノンと言う青年に話して聞かせました。
青年はとても感心して、噛み締めながらアレンの話しを聞き終えるとこう言いました。
「素晴らしいです、貴方の修業の成功を応援しましょう。ただこの山は夜は非常に冷え込みます故、どうか館の中でおやすみ下さい。夜が明けたらまたここで瞑想なさると良いでしょう」
「分かりました。話を聞いて下さりありがとうございました」
「こちらこそ」
と言い残し、青年は去ってゆきました。
アレンは青年の助言に従って、5の館に戻りました。
カミルが先に寝ていたので、その隣で寝る事にしました。
夜明け前、アレンが館を出ると一人の男がうやうやしく頭を下げて、彼を出迎えました。
「おはようございます、アレン様でございますね」
「はい、昨日入門したばかりのアレンです」
「100日間修業のお供をさせて頂くエンゲメネーと申します」
「は?100日間修業は昨日認められませんでしたよ!」
「いいえ、2の聖のソフィール様の命により参じておりますので間違いありません」
その時、朝日を背に別の男が現れました。
「アレンさん、おはようございます」
昨晩の青年でした。
エンゲメネーが振り返って、驚いて深々とお辞儀をしました。
「エンゲメネー君もおはよう!」
「あ、おはようございます」
「修業の件ですが私が許可したのです」
アレンが驚いて目をクリクリさせていると、エンゲメネーがこういったのでした。
「あぁ、そうか知らないのですね、この方はこの里の第一人者で大聖のメノン様ですよ」
どう見てもソフィールより30は若く見えたが、実は30歳年上だったのです。
修業の神通力によって若者に見えていたのです。
「アレンさん、私は貴方の魂の経歴を見通せるのです。残念ながらソフィールはそれが見えないので、貴方を他の輩と一緒にしてしまい、大変失礼をいたしました。貴方様は100日間修業を開始する資格がお有りです。私は恥ずかしながら75日までしか成功しておりません。貴方が成功した暁には、喜んで大聖の位をお譲りいたしますので、健康に留意しつつお励みください」
「そういう事でしたか。しかし一つだけ教えて下さい」
「何でしょうか?」
「修業中に死んだ場合、真の世界に於いて罪に問われますか?」
「そのことでしたら心配ありません。修業は聖なる目的故咎を問われないと伝えられております」
「そうですか、分かりました。私は必ず達成します」
「頼もしいです」
「アレンさーん!待って下さいよー!」
寝坊をしたカミルが血相変えて館から飛び出して来ました。
「カミル君おはよう! 修業が許可されたよ」
「そうですか、良かったですね」
「うん、さぁ行こう!」
アレン、狼のカミル、監視官のエンゲメネーは、大聖メノンに見送られて山に入ってゆきました。
「そうだねカミル君、ただ断食修業は危険な修業ゆえ段階が設けられているのだろうさ」
「なるほど、それはそうとアレンさん、腹減りましたね」
「そうだね、しかし私は修業中だから君は食べて来るがいい」
「いや、だって100日間断食の許可は下りなかったんでしょう?」
「うん、私の修業を決めるのは他の誰でもなく私自身のはずだから、このまま断食修業を開始するよ」
「はー、そう言うもんですか。
じゃあ、あっしは食べに行きますぜ」
「そうだね、私の分まで楽しんで来てくれたまえ」
カミルは一瞬アレンを心配したが、食欲の方が勝ったのでサッサと食堂にかけて行きました。
アレンはカミルを見送る事なく再び森に分け入って瞑想を始めたが、ここ数日間の疲れもあって石の上で寝入ってしまいました。
どの位の時が経っていたか、誰かがアレンの肩を揺すりました。
アレンが目を覚ますと、目の前に自分より少しだけ歳上と思われる青年が立っていました。
「見かけない方ですが、こんな所でどうなさいましたか?」
「寝入ってしまった様です。私は今日この断食郷に入門しましたアレンと申します」
「そうでしたか、私は同じく修行僧のメノンと言います。夕食は食べましたか?」
「いいえ」
それからアレンはこれまでの経緯をメノンと言う青年に話して聞かせました。
青年はとても感心して、噛み締めながらアレンの話しを聞き終えるとこう言いました。
「素晴らしいです、貴方の修業の成功を応援しましょう。ただこの山は夜は非常に冷え込みます故、どうか館の中でおやすみ下さい。夜が明けたらまたここで瞑想なさると良いでしょう」
「分かりました。話を聞いて下さりありがとうございました」
「こちらこそ」
と言い残し、青年は去ってゆきました。
アレンは青年の助言に従って、5の館に戻りました。
カミルが先に寝ていたので、その隣で寝る事にしました。
夜明け前、アレンが館を出ると一人の男がうやうやしく頭を下げて、彼を出迎えました。
「おはようございます、アレン様でございますね」
「はい、昨日入門したばかりのアレンです」
「100日間修業のお供をさせて頂くエンゲメネーと申します」
「は?100日間修業は昨日認められませんでしたよ!」
「いいえ、2の聖のソフィール様の命により参じておりますので間違いありません」
その時、朝日を背に別の男が現れました。
「アレンさん、おはようございます」
昨晩の青年でした。
エンゲメネーが振り返って、驚いて深々とお辞儀をしました。
「エンゲメネー君もおはよう!」
「あ、おはようございます」
「修業の件ですが私が許可したのです」
アレンが驚いて目をクリクリさせていると、エンゲメネーがこういったのでした。
「あぁ、そうか知らないのですね、この方はこの里の第一人者で大聖のメノン様ですよ」
どう見てもソフィールより30は若く見えたが、実は30歳年上だったのです。
修業の神通力によって若者に見えていたのです。
「アレンさん、私は貴方の魂の経歴を見通せるのです。残念ながらソフィールはそれが見えないので、貴方を他の輩と一緒にしてしまい、大変失礼をいたしました。貴方様は100日間修業を開始する資格がお有りです。私は恥ずかしながら75日までしか成功しておりません。貴方が成功した暁には、喜んで大聖の位をお譲りいたしますので、健康に留意しつつお励みください」
「そういう事でしたか。しかし一つだけ教えて下さい」
「何でしょうか?」
「修業中に死んだ場合、真の世界に於いて罪に問われますか?」
「そのことでしたら心配ありません。修業は聖なる目的故咎を問われないと伝えられております」
「そうですか、分かりました。私は必ず達成します」
「頼もしいです」
「アレンさーん!待って下さいよー!」
寝坊をしたカミルが血相変えて館から飛び出して来ました。
「カミル君おはよう! 修業が許可されたよ」
「そうですか、良かったですね」
「うん、さぁ行こう!」
アレン、狼のカミル、監視官のエンゲメネーは、大聖メノンに見送られて山に入ってゆきました。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
勇者の様子がおかしい
しばたろう
ファンタジー
勇者は、少しおかしい。
そう思ったのは、王宮で出会ったその日からだった。
神に選ばれ、魔王討伐の旅に出た勇者マルク。
線の細い優男で、実力は確かだが、人と距離を取り、馴れ合いを嫌う奇妙な男。
だが、ある夜。
仲間のひとりは、決定的な違和感に気づいてしまう。
――勇者は、男ではなかった。
女であることを隠し、勇者として剣を振るうマルク。
そして、その秘密を知りながら「知らないふり」を選んだ仲間。
正体を隠す者と、真実を抱え込む者。
交わらぬはずの想いを抱えたまま、旅は続いていく。
これは、
「勇者であること」と
「自分であること」のあいだで揺れる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる