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第一章
追放したらすぐにバチがあたった
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「カノス!お前をパーティーから追放する!」
ゼルエン王国の王都の酒場でパーティーメンバーとの打ち上げ中、リーダーで物理攻撃担当のソークが急にそんなことを言い出した。
ソークの一言をきっかけに、ほかのメンバー二人も俺に険悪な視線を向けてきた。
「カノス、君は戦闘時、痛覚操作魔法以外に何をしている?何もしてないだろ!役立たずは俺たちのパーティー『レゴヨーズ』に必要ないんだよ!」
パーティーの攻撃魔法担当であるローゲが眼鏡をセットしなおしつつ俺を責めた。
確かに俺は戦闘時に味方と敵の痛覚操作魔法の発動以外なにもやっていない。
なぜなら俺は痛覚操作魔法以外の魔法が使えないうえに、武器を扱えるほど力がないからである。
「俺たちは今や痛みを痛みと思わなくなり、モンスターを一瞬で殺せるほどにまで強くなった!もう痛覚操作とかいうわけの分からないものはいらないのだ!」
パーティーの回復魔法担当である紅一点のウニョが高らかに宣言する。
俺はそれを聞いて気付いてしまった。
彼らはどうやら忘れているようだ。
俺がみんなに痛覚軽減魔法をかけているおかげで、痛みを感じなくなっていることを。
俺がモンスターに痛覚増幅魔法をかけているおかげで、モンスターが激痛のあまり一瞬で死ぬようになったことを。
「そういや、お前だけ確か冒険者ランクがBだったよな。俺たちはAなのに。弱っちいザコはいらないんだよ」
冒険者ランクはギルドが冒険者をランク付けするために導入したシステムである。
FランクからSランクまであり、功績によってランクが上がる仕組みとなっている。
そのため、俺はギルドにもあまり評価されず、ソークの言う通りB止まりなのだ。
「とにかく、レアな魔法が使えるだけのお前はもう用済みだ!出ていけ!」
そう言ってソークは強面の顔に怒りを浮かべながら俺の頭を掴み、馬鹿力で酒場の外に引っ張り出した。
俺は、もう『レゴヨーズ』には戻れないことを噛み締めつつ、彼らにかけていた痛覚軽減魔法を解いた。
まあ、実質あそこはソークの太鼓持ちパーティーみたいな感じで居心地悪かったし、これはこれでいいか。
***
「痛い!痛いよ~!!!」
カノスを追い出してからしばらく経った後、ソークの叫び声が酒場中に響き渡った。
「どうしたのソークさん?!どこか痛いところがあったら私がすぐに直すから!」
ウニョがソークに駆け寄る。
そして、ウニョはソークの痛みの原因を見た。
なんと、彼は首筋を蚊に刺されただけで子供のごとく泣きさけんでいたのだ。
ウニョはモンスターに刺された可能性を考えて念のため回復魔法をかけてみたものの、ただ単に蚊に刺されただけだったので回復対象としてみなされず、何も変わらなかった。
「もしや…カノスのクソ野郎が置き土産とばかりに痛覚増幅魔法をかけたのでは…」
ウニョがソークの名誉回復のために仮説を立てる。
そして、魔法解除のための魔法をひたすらにかけた、
しかし、何も変わらなかった。
魔法は何にもかかっていなかった。
その時、ウニョは気付いた。
ソークは痛覚軽減魔法によって痛みを知らなくなったことで、痛みに敏感になってしまったのだと。
そして、この痛みをもって、彼らの苦しみが始まったのであった。
ゼルエン王国の王都の酒場でパーティーメンバーとの打ち上げ中、リーダーで物理攻撃担当のソークが急にそんなことを言い出した。
ソークの一言をきっかけに、ほかのメンバー二人も俺に険悪な視線を向けてきた。
「カノス、君は戦闘時、痛覚操作魔法以外に何をしている?何もしてないだろ!役立たずは俺たちのパーティー『レゴヨーズ』に必要ないんだよ!」
パーティーの攻撃魔法担当であるローゲが眼鏡をセットしなおしつつ俺を責めた。
確かに俺は戦闘時に味方と敵の痛覚操作魔法の発動以外なにもやっていない。
なぜなら俺は痛覚操作魔法以外の魔法が使えないうえに、武器を扱えるほど力がないからである。
「俺たちは今や痛みを痛みと思わなくなり、モンスターを一瞬で殺せるほどにまで強くなった!もう痛覚操作とかいうわけの分からないものはいらないのだ!」
パーティーの回復魔法担当である紅一点のウニョが高らかに宣言する。
俺はそれを聞いて気付いてしまった。
彼らはどうやら忘れているようだ。
俺がみんなに痛覚軽減魔法をかけているおかげで、痛みを感じなくなっていることを。
俺がモンスターに痛覚増幅魔法をかけているおかげで、モンスターが激痛のあまり一瞬で死ぬようになったことを。
「そういや、お前だけ確か冒険者ランクがBだったよな。俺たちはAなのに。弱っちいザコはいらないんだよ」
冒険者ランクはギルドが冒険者をランク付けするために導入したシステムである。
FランクからSランクまであり、功績によってランクが上がる仕組みとなっている。
そのため、俺はギルドにもあまり評価されず、ソークの言う通りB止まりなのだ。
「とにかく、レアな魔法が使えるだけのお前はもう用済みだ!出ていけ!」
そう言ってソークは強面の顔に怒りを浮かべながら俺の頭を掴み、馬鹿力で酒場の外に引っ張り出した。
俺は、もう『レゴヨーズ』には戻れないことを噛み締めつつ、彼らにかけていた痛覚軽減魔法を解いた。
まあ、実質あそこはソークの太鼓持ちパーティーみたいな感じで居心地悪かったし、これはこれでいいか。
***
「痛い!痛いよ~!!!」
カノスを追い出してからしばらく経った後、ソークの叫び声が酒場中に響き渡った。
「どうしたのソークさん?!どこか痛いところがあったら私がすぐに直すから!」
ウニョがソークに駆け寄る。
そして、ウニョはソークの痛みの原因を見た。
なんと、彼は首筋を蚊に刺されただけで子供のごとく泣きさけんでいたのだ。
ウニョはモンスターに刺された可能性を考えて念のため回復魔法をかけてみたものの、ただ単に蚊に刺されただけだったので回復対象としてみなされず、何も変わらなかった。
「もしや…カノスのクソ野郎が置き土産とばかりに痛覚増幅魔法をかけたのでは…」
ウニョがソークの名誉回復のために仮説を立てる。
そして、魔法解除のための魔法をひたすらにかけた、
しかし、何も変わらなかった。
魔法は何にもかかっていなかった。
その時、ウニョは気付いた。
ソークは痛覚軽減魔法によって痛みを知らなくなったことで、痛みに敏感になってしまったのだと。
そして、この痛みをもって、彼らの苦しみが始まったのであった。
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