夕凪にきらめく花

やっさん@ゆっくり小説系Vtuber

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【第4章 花冷~はなびえ~】

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 部活の練習。夏の大会後に3年生が引退して以来、半年以上キャプテン不在。今日は、次期キャプテン候補の小沢と試合。序盤は競り合う展開。いけるかもしれいと思った僕は、全力で攻撃ショットを打ちまくる。しかし、21-9 結局いつも通りの完敗。肩で息をする僕に対して、涼しそうな表情でコートを出る小沢が言った。

 「だっせぇ、この程度で息あがてんの?」
 すると、周囲で見ていたチームメイトたちが一斉に笑う。

 いつものこと、悔しくなんてない。そう自分に言い聞かせながらコートを出る。その時すれ違った咲良が、何か言いたそうに見えた。けど、情けない姿を晒したくないので、逃げるように離れる。


 部活の後は、自宅と逆方向へ急ぐ。住宅地を外れた緑地の細い道を進むと、そこには小さな体育館。今日もシューズが床に擦れる音が響いている。

「あら、いらっしゃい」

 空花さんは僕に気づくと、いつものように両手をいっぱいに振りながら、優しい笑顔と可愛いらしい声で迎えてくれる。その瞬間、部活の疲れや仲間から受けたイヤな気持ち、そういうものが全て吹き飛ぶ。

 今日も打ち合いをする。相変わらず綺麗なフォームの空花さんはコートの隅々に配球し、僕はシャトルを追いかけ走り回る。ひたすらシャトルを追いかける僕に言う。

 「うーん。諦めずにシャトルを追いかけるのは、いいねいいねー。でも、ただひたすら追いかけて打ってるだけだと、正気か?って思うよー」

 空花さんはパンケーキを一口食べて、ジャスミンティーを飲み込む。そしてアドバイスを続けてくれる。

 「対戦中は、相手をよく見て。よーく、ぼくを見て、ぼくのいない方に向かって打つ。でね、自分が打つよりも先にぼくが予測して動いたら、打つ瞬間にショットを変える。そのためにも、ぼくをよく見て」

 不思議と、空花さんに言われると素直に受け止めることが出来る。それに、バドミントンの練習でこんなに時間が早く過ぎるのも、自分の上達を感じるのも初めてだった。



 部活の後は、空花さんとの練習。そして、空花さんが作ってくれたお菓子で休憩。そんな毎日を送り、2か月が過ぎた。三年になり、春めいた桜野町。中学へ向かう途中、女子達の浮かれる会話が聞こえてきた。
 「夕凪にきらめく桜を見たものは、願いが叶うんだよ」
 この町の伝説。そんなわけないだろうと思う。夕凪にきらめく桜なんて。そもそも、この町は宅地化されて以降、桜が無い。

 そんなことを考えていたら、女子たちの話題は校内の噂話に変わっていた。バドミントン部キャプテンの小沢が、咲良と付き合い始めたという噂。
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