想い想われ恋い焦がれ

周乃 太葉

文字の大きさ
19 / 37

17.自覚

しおりを挟む
イーサンが目覚めたのは夜中だった。

イーサンが気配を感じて横を見ると、ベッド横で椅子に座り、寝落ちしているジュリがいた。

イーサンは起き上がってジュリをベッドに移し、自分はリビングに移動した。

リビングの机にはさっきのカートリッジが入った宝石箱が置いてあった。

まさかジュリが持っていただなんて…

今はもうコアは反応しなかった。

イーサンはダイニングでジュリが用意してくれていた水差しから水を飲んだ。

ガタッ

物音がしてリビングに行くと、ジュリが起きていた。

「イーサン、もう体は大丈夫?」

「あぁ、ありがとう。心配かけたね」

「ううん、どうする?何か食べる?」

「いや、今はいいかな」

「そう。じゃあ、あったかいお茶どう?」

「それなら。ありがとう。いただくよ」

ジュリはキッチンで湯を沸かし、気分が落ち着くハーブティーを入れた。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

イーサンとジュリは静かにお茶を飲んだ。
ジュリがおもむろに

「ねぇ、イーサン、あなたの具合が悪くなったのって、あのカートリッジが関係してる?」

「なんでそう思うの?」

「あのカートリッジ、ぼんやりとしか思い出してないんだんだけど、たぶん、私が小さい時、お祖母ちゃんの診察室から持ってきたものなんだ…と思う」

ジュリは続けて、

「お祖母ちゃんの診察室って不思議なものがいっぱいで、触っちゃイケナイっていわれてたんだけど、これだけはどうしても欲しくなっちゃって持ってきちゃったんだと思うの。でも、怒られるのが怖くなっちゃって隠したんだと思う」

「イーサン、お祖母ちゃんの患者でしょう?ってことは魔術魔力関係よね?」

「そう…なるね」

「どうしてかは思い出せないけど、なんとなくイーサンと私は関係があるような気がしてるの」

「どんな?」

「うまく言えないんだけど、切っても切れないような…。本当はずっと一緒にいないといけないような」

イーサンは天を仰ぎ、はぁ~と盛大に溜息をついた

「ジュリ、わかって言ってる?」

「えっ?」

「まるで一生の相手って言われてるようなんだけど…」

「えぇっ!?」

「ジュリはさ、どんどん距離詰めてくるから俺、勘違いしちゃうよ?」

「えっ?」

「俺を惚れさせてどうするつもり?」

「え?あ、そ、そんなつもりじゃ…」

ジュリが、あまりにも狼狽するからイーサンは攻めるのをやめた。

「なーんて!冗談だよ」

「…も、もう!からかわないでよ」

ジュリは怒ってそっぽを向いてしまった。
イーサンはニコニコとその様子を見ながら、“俺は本気だよ”と声にならない声で呟いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

彼女の離縁とその波紋

豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

盲目公爵の過保護な溺愛

クマ三郎@書籍&コミカライズ3作配信中
恋愛
伯爵家の長女として生まれたミレーヌ。平凡な容姿に生まれた彼女は、美しい妹エミリアと常に比べられ、実の両親から冷遇されて育った。 パーティーでは家族の輪に入れて貰えず、いてもいなくてもいい存在。 そんな現実から逃れようと逃げ出した先で、ミレーヌは美しい容姿をした目の不自由な男性と出会うが──

ソウシソウアイ?

野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。 その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。 拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、 諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。

処理中です...