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1日目①

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いつもの暗闇
いつもの悪夢
いつもの囁き

あぁ、またこの夢か…

いつもと違うのは光の道があるところ

なんとなく、シーラはその道を歩き始めた。

光の道を進んでいるとアレンとディアナとの想い出、バーニーとの思い出が交互に浮かんできた。


最初に幼い姿のシーラとアレンとディアナが浮かび上がる。

“「アレン、ディアナ。私、2人が大好き!2人とも幸せにならなきゃイヤよ」

「じゃあまずシーラが幸せにならないとね。知ってた?私の幸せはシーラの幸せと一緒にあるの」

「ディアナ、俺のことは?」

「アレンはシーラが幸せなら幸せでしょ。だからいいの!」

「まぁそうだけど。じゃあ俺がシーラを幸せにする!ディアナも幸せになるし、俺もシーラを幸せにして幸せだ!」

「変なの~」”

3人でクスクスと笑ってる。

幼い頃の約束
幸せな時間

3人の姿が消え、次に浮かんだのは幼い頃のバーニーだ。

“「はっ、婚約者?僕に従え。僕に逆らうなよ」”

思い返せば、最初から不機嫌だったな。



光の道をさらに進むと、少し成長した姿が浮かび上がった。


“「世界は広いんだよ!俺は色々な街へ行ってみたいんだ!」

「まーた、アレンの夢語りが始まったわ」

「いいだろ。シーラの家で働くっておじさんと約束してんだから。ディアナだって似たようなもんじゃないか」

「私の夢は素敵な白馬の王子様と燃えるような恋をすることよ」

「そんな王子様どこにいるんだよ」

「いるわ。きっと見つけてみせる。ねぇシーラの夢はなぁに?」”

これは中等部のときかな。

夢を語る2人が眩しかった。
私の夢は…


“「俺が何しようと自由だろ?後始末しとけよ!どうせお前はそれくらいしか役に立たないんだし」”

…私はバーニーのなんだろう?



光の道をさらにさらに進む。
浮び上がる姿が大人の姿になっていた。

“「シーラ、今度の仕事先は優れた工芸品が集まる街なんだよ。半年だからいつもより長いけど、お土産買ってくるね」

「もちろん私にもね」

「わかってるよ。あとが怖いもんな」

「当然」

半年前、アレンが仕事に行く前に3人で遊びに行ったときのだわ。


“「影でじっとしてろよ。今日は仕方なくお前を同伴させたけど、本当はヘレナと…」”

これは先々月。パーティーで言われた言葉だわ…
きっとこの頃にはバーニーは彼女のことを…


そして、光に触れる直前に浮かんだのは、


“「明日からもよろしくな」”
下腹部を撫でるヘレナとせせら笑うバーニーの姿と、

“「シーラの幸せを一番に思ってる」”
優しい顔をしたアレンだった。

そして夢から醒めた。

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