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1日目④

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追い出されたアレンはシーラの部屋に向かいながら考えた。

シーラは長年バーニーの親父に暗示をかけられている。
あの親父とバーニーは暗示を継続させることができる。
バーニー側はシーラを手放したくない。

目的はなんだ?
逆玉の輿だが、そこまで拘るか?

シーラはどうなんだ?

シーラは暗示がなくてもバーニーのことを想っているのか?

そして、神様とのゲーム…
神様はシーラの幸せを保証するって言ってたが、
憐れな彼女…
幸せの種類…

その真意は?

考えにふけっていると庭に出ていた。

見当違いの方にきてしまった…

東屋に続く道に誰かいる。

…神様?

アレンは瞬きをした。
そこにいたのはイザベラだった。

「こんにちは」

「あぁ、こんにちは。今日も診察に?」

「えぇ。でも、彼女まだ寝ているようだから、少し庭を見させてもらってたの。ここの庭はきれいね」

イザベラは庭に咲き誇る花を見て言った。

アレンはイザベラに聞いてみた。

「なぁ、暗示のキーワードって何だと思う?」

「さぁ?私にはなんとも。貴方のほうがわかるんじゃない?」

「俺…?」

「幼馴染なんでしょう?そうね、暗示のキーワードっていうのは“心の一番柔らかいところ”に突き刺さる言葉が多いわ。一番単純な暗示は弱ったところに、甘い言葉で懐柔して、“味方はこの人だけ”って思わせるの」

「弱いところ…」

「一番多いのは身近な者の死だけど…それに近いのは、襲われたとか。自責の念にかられるような出来事も多いわね」

「幼い頃の…。襲われた…シーラがずっと気に病んでいること…。お祖母様の事件か!」

「その前後で変わったことない?」

「シーラは自分の幸せや夢を言わなくなったんだ…」

「間違いなくそれね。その引っ掛かりが解決できれば、好転する可能性があるわ」

「そうか!ありがとう。イザベラ」

そう言うとアレンはシーラの部屋ではなく、自分の家へと走っていった。

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