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第22話 クラス決め(1)

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「それじゃあ、私の本気見せますか!」

 アリアの順番が回ってきた。
 アリアは笑顔で緊張感は全くない。

「なんだあいつ」
「余裕っぽく見せるなよ」

 アリアの緊張感の無さに、周りから批判の声が聞こえる。
 他の人たちは、このクラス決めに今後の人生が託されているのだから、批判があっても仕方がない。
 アリアは、そんな声を気にすることなく魔法を放つ。

「いっくよー! 光の新星ライトノヴァ!!!」
「それはまずいって。障壁バリア

 ドガァァン!!!

「危なかったー。もう少しで建物が壊れるとこだった」
「こ、これは、Sランクを軽く越しているが……」
「えっへん! さて、どのランクになるかなー」
「こ、こんな化け物がいるのか……」

 アリアは、光の新星ライトノヴァによって検査場一面をまっ平にしてしまった。
 オズは、周りの建物が壊れることを恐れたが、バリアが何とか張れたことに安堵している。
 アリアは、自信満々の顔で先生を見るが、アリア以外の人たちはとてつもない威力の魔法を目の当たりにして、言葉を失っている。

「え、Sランクです」
「Sランク⁉ オズ、やったよー!」
「よかったな。でも、建物は傷つけるなよ」
「あはは。つい本気になって忘れてた」
「なんで、あいつら普通に話してんだ?」

 オズとアリアは、何もなかったかのようにアリアのSランクを喜びあっている。
 周りは、より一層引いている。

「ゴホン! それじゃあ、気を取り直して、次の人」
「あ、はい」
「オズ、頑張ってね!」
「おう。まかせろ」
「もしかして、あいつも化け物なのか?」
「アリアと同じくらいの威力でいくか」
「流石にあいつは違うだろ。身体も細いし、弱そうだぜ」
「なんか腹が立ってきた」

 オズが魔法を放とうと準備をしていると、周りから『弱そう』という声が聞こえた。
 それを聞いたオズは、イライラしてきていた。

「アリアが光の新星ライトノヴァだったよな。決めた。それじゃあ、先に建物が壊れないようにっと」
障壁バリア
「なんでバリアなんか張ったんだ?」
「ってか、そこまで大きいバリアなんか初めて見たぞ」
「いくか。闇の新星ダークノヴァ!!!」
「真似してきたねー」

 ドガァァン!!!

「こ、こいつまで、化け物かよ」
「先生、これならSランクですか?」
「も、もちろんよ」
「オズもSランクじゃん! やったね!」
「おう」
「この2人、やばいぞ」
「歯向かったら殺される……」
「(ハハッ、すっきりするな)」
「あいつ、悪魔だ」

 アリアを超える威力で魔法を使った為、もちろんSランクは確定だ。
 オズは、バカにしてきた奴らを見下すような不気味な笑みを浮かべた。
 もう既に、オズたちのグループで2人に近づく者はいなくなっていた。

「じゃ、じゃあ、次の検査場へ行きます」
「気を抜かないように、頑張ろうね」
「そうだな」

 次の検査は、剣術だ。
 この検査では、生徒同士で魔法なしの一対一での実戦形式の検査だ。

「あいつらとはやりたくないな」
「あいつらとやったら、命が危ないぞ」
「それじゃあ、君と君だ」
「私だー」
「俺かよ! 詰んだわ」
「その後は、君と君だ」
「僕だ」
「ふん! さっきのはまぐれだろ! 俺が倒してやるよ!」
「暑苦し」
「な、なんだと!」

 検査は、『オズとアリアと当たった人は終わる』と言われてしまっている。
 アリアの相手は、既に戦意喪失している。
 しかし、オズの対戦相手は貴族の子供で体格が良く、自身があるのか、威勢がいい。

「それでは、始め!」
「いっくよー!」
「ああああぁぁぁぁあああ!!!」
「それまで!」
「私、どのランクですか?」
「あ、Sランクです」
「やったー! 次はオズだよ!」
「任せな」
「次、始め!」
「細すぎて負ける気がしねえな」
「こいつ、腹立つし、痛めつけてやろ」
「なんだ、その気持ち悪い笑いは」
「オズ、また悪い顔してる」

 アリアは、あっという間に勝ち、Sランクの判定を貰った。
 オズが戦う番だが、また馬鹿にされたので、少し意地悪をすることにしたらしい。
 オズは、仕返しをする時に笑う癖があるようで、周りから不気味に思われている。

「おりゃぁ!」

 ヒュン

「余裕すぎだろ。もっと本気で来いよ」
「な、なんだと⁉ この俺様をバカにするんじゃねぇ!」
「アリアに教えてもらった技を使うかー」
「剣技狂撃バースト!!!」
「ぐはぁぁ!」
「やっば、やり過ぎた。ごめん、大丈夫か?」
「この俺様に……許さねぇ……」
「あんな綺麗な剣技初めて見た」
「私も、すごいわね」

 アリアに教えてもらった剣技は、魔法を使わずに、身体の使い方で攻撃の威力を上げられる。
 オズは、学校の為にこの剣技を学んだのだ。
 アリア曰く、剣技はみんな使うそうだ。

「先生、僕はどのランクですか?」
「え、Sよ」
「またまたやったね!」
「おう。アリアに教えてもらった剣技が役に立ったよ」
「私の教え方が上手いからね」
「それは、どうかな」
「なんか言った?」
「何でもない」

 こうして、剣術の検査が終わり、2人は、異常なほど目立ちながら、最後の運動の検査へと向かっていった。
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