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第55話 魔族の始まり
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「瞬間移動」
「消去」
「なんだ、瞬間移動が使えていない⁉」
「フフフ」
ドガァァン!!!
「グハッ!」
「これから、あなたが私に攻撃することはできないでしょう」
オズは瞬間移動を使ったはずなのに、移動することはなく、その場に立っていた。
オズが瞬間移動できていないと気づいた時には、ジークの攻撃を受けてしまっていた。
ジークは余裕そうに笑っている。
「クソッ、これならどうだ」
「獄炎」
ゴゴゴゴゴ
オズが放った魔法は、ジークへ一直線に向かって行く。
しかし、ジークはその場から動こうとしない。
「消去」
シュゥゥゥン
「消えた⁉」
「ハハハー! 私は最強だぁー!」
オズが放った魔法は、ジークが何か言うと何も起きていないのに、消え去った。
「まさか、僕が唯一使えなかった魔法を使ったのか⁉」
オズが魔王だった頃からほとんどの魔法を使ってきたが、1つだけ1度も成功しなかった魔法があった。
その魔法は、この世に存在する魔法で最強と言われた2つの魔法の中の1つである。
それが『消去』だ。
その最強と言われた2つの魔法は、遥か昔にある村に住む2人の夫婦によって使われていた。
今では神話の世界として語り継がれている。
男は『アポロン』、女は『エリス』という名前だ。
◆
「やあ、アポロンさん。元気かい?」
「どうも、元気が有り余って仕方がないですよ!」
「ど、どうもこんにちは……」
「ああ、こんにちは。それじゃあアポロンさん」
「はい、また!」
アポロンは明るく、誠実で社交的な性格で村の人たちからも頼りにされている。
一方のエリスは誠実だが、暗く誰とも関りを持たないような人だった。
その為、エリスは村の人から嫌われており、アポロンの居ないところで嫌がらせを受けていた。
「今日もお話しできなかった」
「大丈夫だよ。また明日頑張ってみよう」
「うん。ありがとう」
しかしエリスは村の人たちと仲良くなりたいと思っていた。
そう思っているのにも関わらず、小さい頃いじめられていた影響で人と話すことに恐怖を覚えているのだ。
そのことはエリスが他の人に言ってほしくないとアポロンに念を押していた為、村の人は知らない。
その為、エリスのことを愛想の悪い人としか捉えていないのだ。
しかし、アポロンはそんなエリスを大事にしていた。
そのことがエリスの心の支えであり、村の人と仲良くなろうと頑張る力の源となっていた。
しかしある日、アポロンは街に用事があって村から出ていた。
エリスは1人でいつも通り、川に洗濯に行っていた。
「今日はアポロンが居ない……頑張るぞ!」
いつも助けてくれるアポロンが居ないので、エリスはやる気をいつも以上に出していた。
川から家に帰ろうとした時に、村の女性と出会った。
エリスはチャンスだと思い、勇気を振り絞った。
「こ、こ、こんにちは!」
エリスは普段よりも大きな声で挨拶をした。
そうして、ようやく仲良くお話ができると思っていた。
しかし、反応は思ったのとは違っていた。
「急に何よ! 気持ち悪いわね!」
「え……」
頑張って挨拶をしたのに、返ってきたのは罵倒だった。
プツン
その瞬間に、エリスの中で何か糸が途切れるような音がした。
「こんな世の中、潰してやる……」
「な、何言ってんのよ!」
「うるさい!」
グサッ
「あ、悪魔だ……」
「もう、いいや……」
エリスは角、翼が生え、魔族の姿へとなっていた。
「スベテ……ケシサル……」
そうしてエリスは魔族の始祖となり、消去を用いて全てを消し去っていった。
それと共に、魔族の時代が築かれていった。
最終的には、アポロンが使う最強魔法とエリスの消去が相打ちとなり、共に亡くなったそうである。
◆
「神話でしか聞いたことが無い。こんなのに勝てるのか?」
「あなたがビビっている姿は綺麗だ」
オズはあまりの実力差に弱気になってしまう。
しかし、そんなオズにみんなの応援が思いだされる。
頑張れ! 頑張れ! 頑張れ!
「いや、やるしかない。勝つんだ!」
「私は負けませんよ!」
「消去」
「なんだ、瞬間移動が使えていない⁉」
「フフフ」
ドガァァン!!!
「グハッ!」
「これから、あなたが私に攻撃することはできないでしょう」
オズは瞬間移動を使ったはずなのに、移動することはなく、その場に立っていた。
オズが瞬間移動できていないと気づいた時には、ジークの攻撃を受けてしまっていた。
ジークは余裕そうに笑っている。
「クソッ、これならどうだ」
「獄炎」
ゴゴゴゴゴ
オズが放った魔法は、ジークへ一直線に向かって行く。
しかし、ジークはその場から動こうとしない。
「消去」
シュゥゥゥン
「消えた⁉」
「ハハハー! 私は最強だぁー!」
オズが放った魔法は、ジークが何か言うと何も起きていないのに、消え去った。
「まさか、僕が唯一使えなかった魔法を使ったのか⁉」
オズが魔王だった頃からほとんどの魔法を使ってきたが、1つだけ1度も成功しなかった魔法があった。
その魔法は、この世に存在する魔法で最強と言われた2つの魔法の中の1つである。
それが『消去』だ。
その最強と言われた2つの魔法は、遥か昔にある村に住む2人の夫婦によって使われていた。
今では神話の世界として語り継がれている。
男は『アポロン』、女は『エリス』という名前だ。
◆
「やあ、アポロンさん。元気かい?」
「どうも、元気が有り余って仕方がないですよ!」
「ど、どうもこんにちは……」
「ああ、こんにちは。それじゃあアポロンさん」
「はい、また!」
アポロンは明るく、誠実で社交的な性格で村の人たちからも頼りにされている。
一方のエリスは誠実だが、暗く誰とも関りを持たないような人だった。
その為、エリスは村の人から嫌われており、アポロンの居ないところで嫌がらせを受けていた。
「今日もお話しできなかった」
「大丈夫だよ。また明日頑張ってみよう」
「うん。ありがとう」
しかしエリスは村の人たちと仲良くなりたいと思っていた。
そう思っているのにも関わらず、小さい頃いじめられていた影響で人と話すことに恐怖を覚えているのだ。
そのことはエリスが他の人に言ってほしくないとアポロンに念を押していた為、村の人は知らない。
その為、エリスのことを愛想の悪い人としか捉えていないのだ。
しかし、アポロンはそんなエリスを大事にしていた。
そのことがエリスの心の支えであり、村の人と仲良くなろうと頑張る力の源となっていた。
しかしある日、アポロンは街に用事があって村から出ていた。
エリスは1人でいつも通り、川に洗濯に行っていた。
「今日はアポロンが居ない……頑張るぞ!」
いつも助けてくれるアポロンが居ないので、エリスはやる気をいつも以上に出していた。
川から家に帰ろうとした時に、村の女性と出会った。
エリスはチャンスだと思い、勇気を振り絞った。
「こ、こ、こんにちは!」
エリスは普段よりも大きな声で挨拶をした。
そうして、ようやく仲良くお話ができると思っていた。
しかし、反応は思ったのとは違っていた。
「急に何よ! 気持ち悪いわね!」
「え……」
頑張って挨拶をしたのに、返ってきたのは罵倒だった。
プツン
その瞬間に、エリスの中で何か糸が途切れるような音がした。
「こんな世の中、潰してやる……」
「な、何言ってんのよ!」
「うるさい!」
グサッ
「あ、悪魔だ……」
「もう、いいや……」
エリスは角、翼が生え、魔族の姿へとなっていた。
「スベテ……ケシサル……」
そうしてエリスは魔族の始祖となり、消去を用いて全てを消し去っていった。
それと共に、魔族の時代が築かれていった。
最終的には、アポロンが使う最強魔法とエリスの消去が相打ちとなり、共に亡くなったそうである。
◆
「神話でしか聞いたことが無い。こんなのに勝てるのか?」
「あなたがビビっている姿は綺麗だ」
オズはあまりの実力差に弱気になってしまう。
しかし、そんなオズにみんなの応援が思いだされる。
頑張れ! 頑張れ! 頑張れ!
「いや、やるしかない。勝つんだ!」
「私は負けませんよ!」
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