泥酔魔王の過失転生~酔った勢いで転生魔法を使ったなんて絶対にバレたくない!~

近度 有無

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第54話 魔王再誕!

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「魔王……様……?」
「まままま、ま、魔王だと⁉」

 ジークは突然の魔王の出現に驚きを隠せない。
 それは、街の人たちも同じである。
 しかし、アリアたち5人は違った。

再誕リザレクションしたんだ……」
「とんでもない魔力ですよ(キラーン)」
「やべぇ、あまりの迫力に漏らしそうだ」
「もう漏れてるよぉ」
「あの姿なら、勝てます!」

 魔王の姿へと再誕リザレクションしたオズは、とんでもない程の魔力を持っており、その迫力は言葉では言い表せない程だ。
 その迫力に耐えられなかったジャックは、ズボンをビショビショにしている。

「ジーク、お前に魔王と呼ぶ資格はない」

 ドガァァン!!!

「グハッ」
「な、何が起こったんだ⁉」

 一瞬にしてジークが吹き飛ばされ、かなりのダメージを負っている。
 その速さは誰も目で追うことができない程であり、攻撃を受けたジークですら吹き飛ばされるまで気付かなかった。

 タッ、タッ、タッ

「なな、な、な、何をする気だ!」

 オズは、街の人たちの元へ歩いていく。
 1人の青年が怯えながらも、オズに向かって大声で叫ぶ。

「怯えなくていい。僕はみんなには危害を加えない。ちょっと安全なところに移動させるだけだ」
瞬間移動テレポート

 ヒュィン!

「い、一瞬で移動したぞ!」
「ここなら安全だ。安心しろ」
「この数を一気に移動させるなんて!」

 オズは数十万人ほどの人数を一気に瞬間移動テレポートさせた。
 瞬間移動テレポートの生みの親であるアリアでさえ、数百人が限界であるのに、オズは簡単そうにやって見せた。

「僕はジークを倒す。お前ら、街のみんなを守ってくれ」
「わ、わかった」
「任せてぇ」
「おう!」
「任せたまえ(キラーン)」
「わかりました」
「頼んだぞ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 そう言い残し、ジークの元へと向かおうとした時、1人の男がオズを呼び止めた。
 オズは振り返らずに、足だけを止めた。

「この前からの事、すまない。謝っても許してもらえないだろうが、言いたかったんだ。そして、あいつを倒してくれ」
「俺も同じだ! 悪かった。頑張ってくれ!」
「私も!」
「僕も!」
「「「頑張れ!!!」」」

 1人の男の発言に続いて、次々にオズに対して謝罪と応援の声が響き渡った。

「ありがとう」

 ヒュィン

 そう囁くと、オズはみんなの前から一瞬で姿を消した。
 オズの心の中には、温かいものでいっぱいになっていた。

 ヒュィン

「はぁ、はぁ、はぁ」
「何とか生き延びたようだな」
「ど、どうして私に攻撃を……」
「姿は変わっても、心は人間のままだ。僕は人間の為に戦う」
「人間がそこまで好きなのですね。いいでしょう。私は全力で貴方を倒します」
「できるものならやってみろ」

 オズは覚悟を決めた様子で話す。
 魔王の身体となり、もう人間としては生きていけない。
 しかし、あれだけの応援を貰ったオズは、人間と一緒に生きてみたいと思ってしまったのだ。
 その為にも、ここで負ける訳にはいかないのだ。
 ジークはそんなオズを見て、戦うことを決めたようだ。

「いくぞ」
「全力でいきますよ!」
獄炎インフェルノ
「そんなもの効きませんよ!」
吸収キャッチ!」

 オズが放った獄炎インフェルノを、ジークは軽々と吸収キャッチで消し去った。

「面倒な技だ」
「全属性融合魔法虹の世界レインボーワールド
「何をしようと無駄ですよ!」
吸収キャッチ!」

 最大級の魔力を使う技である虹の世界レインボーワールドもジークによって簡単に吸収キャッチで消し去られる。

「フフフ。次は私の番です」
「お前の次の行動はもうわかった」
瞬間移動テレポート

 ヒュゥン

「今です!」
放出リリース!」

 ドゴゴゴゴゴ

 オズがジークの目の前に瞬間移動テレポートすると同時に、ジークは放出リリース吸収キャッチしたオズの攻撃を全て吐き出した。

「自分から受けに来てくれるとは、ありがたいですよ」
「ただ受けに来ただけだと思ってるのか?」
反射リフレクト

 オズは、放出リリースされた攻撃を反射リフレクトによって跳ね返した。
 オズは初めからジークの攻撃を読んでいたのだ。
 しかし、予測をしていたのはオズだけではない。

「そんなことは予測済みですよ!」
吸収キャッチ!」
「隙ありだ」
異空間移動ワープ

 ボワンッ

「なんだと⁉」

 なんとオズはジークが初めから自分の行動が読まれていると分かっており、あえて吸収キャッチを使わしたのだ。
 吸収キャッチの使用中には、背後が無防備となる。
 オズはジークが吸収キャッチを引き出せたところで異空間移動ワープを使い、放出リリースされた攻撃を背後へと移動させた。

 ドガァァン!!!

 ジークは一切守ることができず、そのまま攻撃を受け、大きな爆発に飲み込まれた。

「ぐわぁぁぁぁ!!!」

 ジークはそのまま地面へと打ち付けられた。

「クッ、ハァ、ハァ」
「お前は勝てない。諦めろ」
「とどめを刺さないのですか?」
「ああ」
「ハハハ。甘い、甘いですよ! その甘さが命取りとなるのです!」

 ジークが笑いながら取り出したのは、赤く強い魔力をもつドロドロとした液体である。
 その液体からは、ゼシルの魔力を感じた。

「おい! やめろ!」
「これで私は最強になる!」

 ガブガブガブ

 ゴクッ

「ぐわあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「こいつ、魔族食いをしやがった」

 ジークは瞬く間に大きくなっていき、翼が大きくなり、顔が伸び、鱗が作られていく。
 その姿はドラゴンと変わらない。
 魔力は今までに感じたことのない程であり、その迫力はオズを超えている。

「さあ、第2ラウンドを始めましょう!」
「望むところだ!」
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